2018 年 84 巻 1 号 p. 45-53
大分県国東地域の伊呂波川と桂川に調査用石倉かごを設置し,採集されたニホンウナギと水生動物群集の関係を,ニホンウナギの食性を中心に解析した。石倉内の動物群集は,河口からの距離,底質,水温により,カニ類とウミニナ類が優占する下流グループとテナガエビとイシマキガイが優占する上流グループに分けられた。ニホンウナギの約半数が石倉で採集された水生動物を摂餌し,上流の個体はイソガニ属,下流の個体はアナジャコ類を主食した。以上の結果から,本種とその餌生物の採集調査器具としての石倉かごの特性が明らかになった。