2019 年 85 巻 3 号 p. 331-339
産地卸売市場における水産物価格形成メカニズムの一端を解明することを目的として,日本の漁港におけるデータを基にセリの形式の差異が水産物価格に与える影響の有無とその傾向を分析した。具体的には,三重外湾漁協を対象にセリに関する質問票調査と,イセエビの日毎の漁獲量と落札価格のデータをもとに,統計分析を行った。その結果,価格が高い傾向にあるセリの運営方法として,落札額だけではなく各仲買人の入札額まで公開していること,仲買人の人数が多いこと,1回のセリ毎のイセエビの取引重量が大きいこと,などが見出された。