日本水産学会誌
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平成30年度水産学進歩賞
水産資源と生態系の音響モニタリング手法の開発と応用
宮下 和士
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2019 年 85 巻 3 号 p. 294-296

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抄録

 昨今の人間活動の増大により,資源の枯渇が顕在化しつつある。このような背景のなか,国連環境計画が「持続可能な開発目標」を掲げ,環境,資源の持続性を考慮した社会システムの構築,移行を求めている。そして水産分野もその例外ではなく,環境(生態系など)と調和を取りつつ水産資源を持続的に活用して行くことが求められる。

 水産資源を持続的に活用するためには,先ず,それらが「どのような大きさ」で,「いつ」,「どこに」,「どれくらい」いるのかを知ることが基本となる。しかしながら水産資源は広大な海中を「立体的」に活用したり,「能動的」に移動したりするものも多く,それらを可視化することは簡単ではない。ましてや定量性を担保することは困難を極めるものとなる。

 この様な水産資源の定量的可視化を実現するための強力なツールの一つとして,音波を使った計測法,すなわち音響モニタリング手法が国内外で注目され,研究が進められている。本稿では,著者が中心となり世界に先駆けて開発・研究した音響モニタリング手法に関する成果について,その概略を紹介する。

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© 2019 公益社団法人 日本水産学会
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