2019 年 85 巻 4 号 p. 406-420
暖流系大型アワビ類稚貝の生息場造成手法を検討するため,神奈川県長井地先の造成試験区において,天然稚貝の出現・成長,無節サンゴモ被覆度等に関する調査を行った。約2年の調査期間中,試験区に投入した基質では天然転石に劣らない生息環境が創出・維持された。大型アワビ類当歳貝は2017年と2018年の春に出現し,基質表面積当り密度はメガイアワビで最大6.2尾・m−2に達した(2017年5月)。2017年のメガイアワビ当歳貝において殻長20 mm手前で顕著な成長停滞が見られ,餌料不足が一因と推測された。