日本水産学会誌
Online ISSN : 1349-998X
Print ISSN : 0021-5392
ISSN-L : 0021-5392
メバチ筋肉の成分組成とその呈味におよぼす脂質の役割
郡山 剛木幡 知子渡辺 勝子阿部 宏喜
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 66 巻 3 号 p. 462-468

詳細
抄録

メバチマグロの赤身とトロの呈味の違いを明らかにするために, 一般成分, エキス成分, 脂質および脂肪酸組成を分析, 比較した。また, 80%エタノールエキスの味の差およびエキスにマグロ油を加えた時の味の変化を官能的に調べた。一般成分では, 脂質は赤身に少なく(0.5%), トロに多かった(6.6∿7.2%)。エキス成分ではいずれの部位もアンセリンとヒスチジンが著量認められたが, 赤身にアンセリン, トロにヒスチジンが多かった。官能試験の結果, 赤身とトロの間に味の強さや味質に差異はなかったが, エキスにマグロ油を加えると, 酸味が明瞭に減少し, 甘味の増加と苦味の減少傾向が認められた。パターン類似要因の解析から, この味の変化に最も寄与した項目は甘味であることが判明した。

著者関連情報
© 社団法人 日本水産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top