抄録
症例は34歳, 女性. 上腹部痛を主訴に近医受診. 腹部超音波検査にて胆管の著明な拡張を指摘された. ERCPでは主乳頭からの造影で僅かに細い腹側膵管を認めるのみであり, 副乳頭からの造影で背側膵管が描出された. 以上より完全型の膵管非癒合を併存した先天性胆道拡張症, 膵・胆管合流異常と診断し拡張胆管切除・肝管空腸吻合術を施行した. 膵管非癒合に対しては, 膵炎の既往を認めず背側膵管に拡張を認めないことより経過観察とした. 術後経過は概ね良好であり現在まで膵炎症状は認めていない. 本症例のように先天性胆道拡張症, 膵・胆管合流異常に完全型の膵管非癒合を合併することは非常に稀であり, 自身が検索し得た限り過去に6例の報告を認めるのみである. 過去の報告では何れも本症例と同様に膵・胆管合流異常あるいは先天性胆道拡張症に対する手術のみ施行しており, 良好な経過を得ている. 今後さらなる症例の蓄積と長期の経過観察が必要と考えられた.