2018 年 32 巻 5 号 p. 900-907
症例は61歳,男性.59歳時に肝門部領域胆管癌に対し,右肝切除術,肝尾状葉切除術,肝外胆管切除術を施行した.術後2年3カ月目の血液検査でCA19-9が上昇し,PET-CTで十二指腸下行脚に異常集積を認めた.ERCPで十二指腸乳頭部の腫大とその口側に潰瘍形成を認め,同部の生検でadenocarcinomaと診断した.画像上,前回手術の再発所見はなく,腫瘤潰瘍型の十二指腸乳頭部癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し,根治切除を行うことができた.初回手術後5年3カ月現在,再発は認めていない.肝門部領域胆管癌の肝切除術後に発症した異時性胆道癌に対し手術を行うことは稀であるが,根治を望める場合は手術適応について検討する意義はあると考えられた.