肝胆道領域における局所解剖の難しさは肝動脈,胆管の分岐・合流形態が様々であり,走行の変異が多いこと,さらに門脈に対しての三次元的な位置関係を把握しなければならないことにある.胆管癌手術の際に知っておくべき解剖学的破格として胆管系では,右後区域胆管枝の南回り(Infraportal type),肝動脈系では,右後区域肝動脈の北回り(Supraportal type)は良く知られている.しかしながら,非常に希な破格であっても胆道癌手術においてそれが安全性・根治性にまで影響を与え,術後に重大な合併症を引き起こす可能性があれば,術前の画像診断にて見落とさないように注意しておかなければならない.胆道癌の各術式においてその解剖学的破格のもつ意義を十分に理解した上で,胆道外科医は,症例ごとにCTから構築した立体解剖を詳細に検討し,術前に綿密な手術シミュレーションをしておくことが重要なポイントである.