2023 年 37 巻 5 号 p. 857-863
優れた空間分解能を有するCTにより,3次元的に脈管の分岐形態を把握することが可能となった.術前の血管走行把握は安全に手術を行う上で必須である.特に膵頭十二指腸切除(PD)においては胃十二指腸動脈(GDA)を処理するにあたって,GDAと肝動脈(HA)との関係を把握しておくことは重要となる.当院で施行したPD 172例の術前CTを検討した結果,PD時に最も注意を要するのは,GDAから右肝動脈(RHA)が分岐する破格であった.これは0.28%から2.0%と比較的稀である.自験例では4例(2.3%)に同破格を認め,全例でRHAの温存が可能で,術後合併症はなかった.HA損傷予防のためには,術前3D構築画像でHAとGDAとの位置関係を把握するのみでなく,日本肝胆膵外科学会の推奨するGDA切離前のクランプテストが肝要である.