抄録
症例は69歳女性. 25年前に胆嚢摘出術+総胆管空腸吻合術+乳頭形成術の既往あり. 2003年5月,右季肋部痛,発熱を主訴に来院. 総ビリルビン2.9mg/dl,CRP 31.2mg/dl,白血球10,100/μlと上昇を認め,精査加療目的にて入院となった. 体温38℃, 右季肋部に圧痛を認めた.腹部USでは肝S5を中心に径83mm大のhyperechoic lesionを認め, 腹部CTでは肝門部にlow density areaと肝内胆管拡張を認めた. PTCでは中部胆管と空腸の吻合,左肝内胆管の中断, 左肝内胆管分岐部付近の不整圧排像を認めた. 胆道鏡では左肝管に顆粒状の隆起性病変を認め, 同部の生検および胆汁細胞診にてadenocarcinomaが検出され胆管癌と診断した. 吻合部からの逆行性感染による胆管炎と考え,総胆管にcovered metallic stentを留置し, 一方,癌による閉塞予防のため,右肝管にnon-covered metallic stentを留置した. その後, 胆管炎の再発はみられていない. 今回我々は,総胆管空腸吻合術の吻合部よりの逆行性感染が考えられる胆管炎に対して,covered metallic stentが有効であった症例を経験したので報告する.