東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C-19
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TKA施行後 姿勢制御に着目して介入した1症例
*工藤 貴司中村 和美佐野 光浩堀野 広光松本 武士高塚 俊行金子 和代山根 達也千田 亜香
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キーワード: TKA, 荷重痛, 姿勢制御
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抄録

【はじめに】
今回右TKA術後5日目において荷重痛が強く歩行困難であった症例を経験した。そこで機能改善に加え姿勢制御に着目しアプローチを行い良好な結果を得たので報告する。なお症例に対しては、十分な説明を行い、同意を得た。
【症例紹介】
70代女性。診断名は両変形性膝関節症。FTA:190°腰野のOAグレード:3 JOAscore:35点BMI:27.6% 既往歴はH11脳梗塞、腰椎脊柱管狭窄症。術前ROM:右膝屈曲60°伸展‐10。術後1日目より理学療法開始し術後23病日目で転院となった。
【術後5日目評価】
右下肢全体に重度の腫張を認め、内転筋群・半膜、半腱様筋で短縮、大腿筋膜張筋(以下:TFL)・腓腹筋で過緊張であった。ROM:右膝屈曲65°伸展-15°右足背屈5°腰椎可動性低下。MMT:右膝伸展3。立位姿勢は胸椎伸展、骨盤後傾、右股関節外転・内旋、膝関節屈曲、足部回内位で重心は左側優位。右下肢への荷重は半膜様筋腱移行部・腸脛靭帯・腓腹筋でNRS6の疼痛を認め困難であった。
【問題点】
急激な膝アライメント変化による半膜・半腱様筋への伸張ストレス増大により、術前からのTFL~腸脛靭帯の過緊張に加え、股関節内旋姿勢を作っていた。加えて骨盤後傾・腰椎可動性低下により、後方重心を胸椎伸展にて代償。さらに右膝伸展制限は伸筋群の活動性低下・Knee in姿勢を引き起こし、膝内側への荷重ストレスが増大し疼痛増強の要因と考えた。
アプローチとして半膜、半腱様筋・TFLに対して筋コンディショニングを行い膝伸展制限の改善を図った。膝伸筋群・腹部・殿筋群の筋力強化に加え、下部体幹を安定させる事で荷重痛軽減を図った。
【結果】
膝伸展-15から-5°へ改善し立位姿勢では骨盤後傾位から前傾方向へ促され、右膝伸展も促進されている。術後13病日目では荷重痛なくT字杖歩行が見守りで可能となった。
【考察】
荷重痛に対して機能的な問題だけでなく、姿勢制御に着目し介入することで効率良く疼痛を軽減し、T字杖歩行獲得に繋げる事ができたと考えられた。

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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