2023 年 28 巻 2 号 p. 2_34-2_37
2021年に改正された「政治分野における男女共同参画を推進する法律」では、国・地方公共団体に対し、公選による公職等にある者及び公職の候補者について、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産に関するハラスメント等の予防・対応を講じることや、家庭生活との両立環境を整備することを義務化した。この改正にあたり参考とされたのは、労働分野の男女雇用機会均等法や育児介護休業法であるが、例えば、企業内に設置されている相談窓口に相談すると「不利益が生じる」「中立的で公正な窓口でない」と思われたりして、窓口がほとんど利用されていなかったり、法に基づき定められたハラスメント指針の各措置を履行していない組織を国が監督しきれていないなど、両法のハラスメント規定やその運用にも課題がある。本稿では、これら労働法の先行規定やその運用をめぐる課題を明らかにし、議会におけるハラスメント対策等への示唆を得ようとするものである。