2023 年 28 巻 2 号 p. 2_27-2_33
地方議会における議員在任中の出産・子育てについては、実態把握も両立を可能とする環境整備もこれまで進められてこなかった。女性議員を増やそうと提唱されて久しい中で、女性議員が在任中に出産・子育てをする可能性も視野に置いた環境を整えることは当然に必要となる。しかしながら、議員の出産というだけで批判にさらされる状況から、議会での議論・取組が進まず、当事者も環境整備を求めることに注力してこなかった。
調査からは、出産間近まで職務にあたり、早期に議会へ復帰しながらも、休憩場所もなく過重な負担がかかっており、殆どの議員がマタニティハラスメントを経験している結果であった。また、子の乳幼児健診・予防接種、保育にも困難が伴っていた。当事者・議会内で取組を進めることが難しい状況があり、政治分野における男女共同参画推進法やIPU「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」を論拠に、さらに実効性のある取組が求められる。