2023 年 28 巻 2 号 p. 2_42-2_47
女性の政治参画を促進するために、多くの国でクオータが採用されている。フランスでは、憲法院の1982年性別クオータ違憲判決が、ポジティブ・アクションの政治分野への導入を阻止してきた。その間フランスの女性議員率の低迷が続き、EU諸国の中で後れを取るに至った。男女の普通選挙制が確立し、法的処遇に形式的な違いがないにもかかわらず、女性の過少代表は厳然たる事実だった。その是正のために実質的平等を追求すると、形式的平等に違背する。パリテはこの思考回路からの脱却を可能にしたが、1982年の違憲判決を乗り越えるための憲法改正を必要とした。現在三つの方式で、パリテが適用されている。国会、地方議会双方で女性の量的進出は顕著であるものの、男女による権力の分有というパリテの理念からすると、女性のサブ化という質のパリテが問われなければならない。序列化された性の二元性が、補完性の女性への割振りとして政治分野において再生産されているのだ。