2023 年 28 巻 3 号 p. 3_74-3_78
事故によるこどもの傷害は、日常的な生活場面で多発している。救急搬送データをみると、毎年、ほぼ同じ発生数となっている。傷害を予防するためには、傷害データを収集、分析し、それに基づいた対策を検討して実施し、その結果を評価するという一連の流れが不可欠であるが、現在、傷害予防に関連する組織、機関は分断されており、傷害予防は有効な社会システムになっていない。
傷害予防の原則は、3つのE(製品・環境の改善、教育、法制化)で取り組み、傷害が発生した状況の中から「変えられるもの」を見つけ、変えられるものを変えることである。そして、変えたことの結果を数値で評価する必要がある。
これまで企業や行政機関の各部署は、傷害が発生した製品や環境についてのみ検討し、こどもの傷害すべてに関与することはなかった。こどもに関するすべての傷害に関与する司令塔として、2023年4月に設置される「こども家庭庁」の役割が期待される。