日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: ST-1
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化学物質の安全性をin silicoで評価する
有害性評価支援システム開発プロジェクトの背景と概要
*山田 隼
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抄録
2007年度から5年間、NEDOおよびMETIの開発資金を得て、反復投与毒性に関わる「有害性評価支援システム」(Hazard Evaluation Support System: HESS)の開発を行った。その背景と概要を報告する。
【プロジェクトの背景】 化学物質管理の国際的な取り組みは、2020年までに流通する化学物質のリスクを評価、管理することが目標としている(WSSD2020)。有害性評価がなされないまま流通している化学物質が数万物質以上あり、これらを実測評価することは不可能に近く、動物試験による有害性についての有効な予測手法が求められていた。これに対し、OECDは予測手法開発に関する専門家会合(2003)を組織し、様々な討議を重ね、作用機序に基づくカテゴリーアプローチ手法およびこのためのプラットフォームOECD Toolboxを開発している。一方、我が国では化審法既存物質の評価データを蓄積・公開しており、その中で反復投与毒性の試験報告書をベースとして、各種データベースとカテゴリーアプローチのためのToolboxと互換性のあるプラットフォームの開発を行った。
【HESSの概要】HESSのシステムは基本的には、試験報告書DB、代謝DBおよびシミュレータ、作用機序DB、体内動態DBおよびBaysian Netによる毒性予測システムで構成される。
 試験報告書DB:化審法28日反復投与毒性試験および反復・生殖併合毒性試験報告書、NTP短期および長期試験報告書、その他の学術文献から採取した約500物質の詳細なデータのDB;代謝DBおよびシミュレータ:約800物質のラットの代謝情報を網羅し、これを用いて代謝のパスウエイのシミュレーションを行う。;作用機序DB:収載した500物質の試験結果から、特定の臓器に重篤なレスポンスを示した物質を選び、その毒性発現のメカニズム情報を検索・収集し、可能な限り確証して、毒性発現のパスウエイを構成した。
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© 2012 日本毒性学会
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