日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-110
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メダカを用いたエクインエストロゲン類のエストロゲン様作用の評価
*有薗 幸司石橋 弘志内田 雅也宮川 信一冨永 伸明石橋 康弘井口 泰泉
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抄録

【目的】エクインエストロゲン類(EQs)は馬尿中から同定されたエストロゲン受容体(ER)アゴニストであり、これまでにエクイリン(Eq)、エクイレニン(Eqn)及びこれら代謝物の存在が知られている。また、Eqとその代謝物、及びエストロンの抱合体混合物は、世界各国で更年期障害のホルモン補充用医薬品として使用されている。これまでEQsによる水環境汚染が懸念されているが、日本における汚染実態や生態影響に関する知見はほとんどない。本研究ではメダカ(Oryzias latipes)をモデルとし、EQsの潜在的内分泌かく乱作用を評価した。
【方法】Eq及びEqnとこれらの代謝物である17α-Eq、17β-Eq、17α-Eqn及び17β-Eqnについて、エストロゲン応答遺伝子の発現に及ぼす影響をリアルタイムPCR(qPCR)によって解析した。また、in vitroレポーター遺伝子アッセイによりEQsのERα依存的転写活性化能を、in silico評価系によりERサブタイプ(ERα, ERβ1及びERβ2)との相互作用を解析した。
【結果及び考察】qPCRの結果、Eq>Eqn>17β-Eq>17β-Eqn>17α-Eq>17α-Eqnの順でエストロゲン様活性が強く、レポーター遺伝子アッセイの結果では、17β-Eq>17β-Eqn>17α-Eq>Eq>Eqn>17α-Eqnの順であった。このことから、生体内代謝物がエストロゲン応答遺伝子の発現に影響することが示唆された。また、EQsの17β体は17α体より活性が強く、in silico解析の結果からは、ERαに対しては17β-Eqが最も強く相互作用し、ERβ1及びERβ2に対しては17β-Eqnが強く相互作用した。このことから、エストロゲン応答遺伝子の発現にはERサブタイプに対するEQsの結合親和性や転写活性化能の違いも影響すると考えられた。

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© 2015 日本毒性学会
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