我々は、小型魚類等で従来法より迅速・簡便な骨染色法(A rapid and nondestructive tissue clearing system optimized for whole-mount bone staining; RAP-B)を開発し、RAP-Bで作製した全身骨格標本の深部観察や多重染色への応用について報告した。今回はマウス及びラットでのRAP-Bによる骨染色プロトコルの最適化について検討した。
まず、マウスおよびラット胎児におけるRAP-Bの最適化を検討した。妊娠ICRマウスおよびWistarラットを深麻酔下で開腹し、各齢の胎児を得た。透明化前処理として、胎児をRAP固定液に浸漬して42℃でインキュベートした後(24h<)、さらに透明化促進液に浸漬して同様にインキュベートした(24h<)。透明化前処理後の胎児はAlizarin Red Sを含む染色液に浸漬後、RAP-B洗浄液で分別を行い、高屈折率性溶媒で透明化した。皮膚や筋肉の除去を行っていないにも関わらず、得られた全身骨格標本は軟部組織の透明度が高く、蛍光ズーム顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡による深部観察が可能であった。続いて、出生後~成獣マウスにおけるRAP-Bの最適化を検討した。各齢のICRマウスを深麻酔下で4%パラホルムアルデヒド/リン酸緩衝液にて灌流固定し、内臓を取り除いた。体毛を有する個体はメルカプト酢酸ナトリウム/KOH溶液で除毛処理を行った。RAP固定液に(42℃, 24h<)、さらに透明化促進液に(42℃, 24h<)浸漬した後、同様に骨染色を行い、透明骨格標本を作製した。本法では、約5日で骨格の深部観察が可能な成獣マウスの全身骨格標本を作製することが可能であった。
RAP-Bは従来よりも簡便かつ短時間で全身骨格標本を作製できるため、骨染色の自動化に骨格検査のハイスループット化が期待される。