日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: AWL3
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受賞者講演
日本毒性学会における国際的な知名度の向上と国際連携の推進、及び、国際水準による学術振興-国際連携活動の勧め-
*菅野 純
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抄録

国立医薬品食品衛生研究所(衛研)の病理部(林裕造部長)の発癌研究、毒性部(井上達部長~北嶋聡部長)におけるシグナル毒性、Percellomeトキシコゲノミクス研究、ナノ材料毒性研究等に参加しつつ、厚生労働省、環境省などの審議会活動のほか、OECD/EDTA等、WHO/IPCS、WHO/IARCなどの国際的評価審議活動に関わり、また学会活動として、ASIATOXのCouncil、IUTOXの役員および会長を務めるなど、国際的な活動をしてきました。

林裕造部長の時代は、米国NTP(National Toxicology Program)と連携した国立がんセンター(杉村隆先生)、名古屋市立大(伊東信行先生)等とともに発癌データを国際的に発信する日本版NTPの時代でした。林先生曰く「国際会議で、ブロークンイングリッシュでも、日本人研究者が何か言おうとすると、皆、一生懸命聞いてくれるんだよ、何か意義のあることを言うんじゃないかと」。OECD・TG440のリードラボを任された際にも「自分の解釈に基づいて作った自分のデータを持っていること」が大きな突破力になった記憶があります。

当初はIUTOXのICTは私にとっては興味の沸く学会ではなかったのですが、関りは井上達先生がIUTOX Vice Presidentになられて、その後任に急に指名された事が始まりです。長~い話を短くすると、国際連携活動の結果、以下の様な状況が得られます。それは、『何か国際的に知りたいことが生じた際に、直接電話(メール)できる人がいろいろな国に居る状況』、『その電話相手から、その国や地域で、さらに適切な人を紹介してもらえる状況』です。すなわち人のネットワーク。

新型コロナでWeb会議が多くなりましたが、最近、SBI(https://www.sbi.jp/index.htm)のSamik氏から『Web会議で大丈夫なのはCommunication=情報交換』ですが、『Web会議では達成できないのはConnection作り=人同士の理解』、という話を聞きました。国際連携活動の核心は、やはり、人同士の理解、という結論です。

ASATOXの創始5学会は日本、韓国、タイ、台湾、中国で、理事会では台湾と中国の理事が隣同士に座ります。某国に於いて仲の良くない2つの学会がIUTOXに加盟する際に、この台中の話をお聞かせして、何とか和んで頂いた、と言う事もありました。

授賞講演では、今までの写真を中心にお示しして国際情勢をお伝えできれば幸甚です。

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