目的 教員の多忙感,教員同士の互恵性及び信頼とメンタルヘルスとの関連を明らかにする。
方法 静岡県の2市にある公立中学校全8校の教員に質問紙調査を行った。教員の属性と多忙感(生徒指導が必要な生徒の増加,保護者や地域住民への対応の増加),互恵性(教員同士の力を合わせた問題解決,教員同士の助け合い),信頼(人は信頼できる,人は他人の役に立とうとする)を把握した。メンタルヘルスの指標として気分障害・不安障害のスクリーニング調査票K6を用い,多忙感,互恵性,信頼との関連について,性,年齢,担当学年を調整したロジスティック回帰分析を行い検討した。
結果 K6,性と年齢に欠損のない学級担任89人,学級担任以外24人の合計113人を分析対象とした。K6の平均値は4.5(標準偏差4.1; 範囲0.0-19.0),5点以上は42.5%であった。生徒指導が必要な生徒の増加,保護者や地域住民の対応の増加を「感じる」と回答した者は,其々74.1%と76.1%であった。問題発生時に教員同士が力を合わせて解決しようとする,教員同士助け合っているについて「思う」と回答した者は,其々56.6%と54.9%であった。人は信頼できる,人は他人の役に立とうとするについて「思う」と回答した者は,其々34.9%と25.9%であった。生徒指導が必要な生徒の増加はK6と正の関連があり,オッズ比が高かった(OR=2.87; 95%CI=0.97-8.53)。信頼はK6と負の関連があり,人は信頼できる(OR=0.42; 95%CI=0.17-1.01) ,人は他人の役に立とうとする(OR=0.37; 95%CI=0.14-1.00) のオッズ比が低かった。
結論 生徒指導が必要な生徒の増加は教員のメンタルヘルスのリスク要因,信頼はメンタルヘルスの促進要因であることが示唆された。教員のメンタルヘルスのリスク要因と促進要因を明らかにしたことは,メンタルヘルスの取り組みを促進させる。