2003 年 6 巻 1 号 p. 015-022
これまで,鉄道によって提供されるサービス水準は,冷房化率,混雑率といった個別の指標に基づいて路線別に議論されてきた.しかし近年の利用者ニーズの多様化により,様々なサービス指標を考慮した評価が必要となっている.そこで本研究では東京近郊圏を対象に,これらのサービス指標を一体的に評価するために一般化費用を用い,地域別のサービス水準評価を行った.さらに地理情報システム(GIS)を用いて,その地域的な分布状況を視覚的に示すことを試みた.その結果,距離帯別のサービス水準の偏在状況,ピーク時とオフピーク時等の時間帯別サービス水準の変化,都心の目的駅別鉄道サービス水準の差異などを把握できるようになった.