ビタミン
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Pseudomonas putida 由来DpkA の耐熱化とN-メチル-L-フェニルアラニン合成への応用
村松 久司松井 祐士岡田 凌山川 匠山本 浩明永田 信治
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2020 年 94 巻 7 号 p. 382-392

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抄録
DpkAはN -メチル-L-アミノ酸デヒドロゲナーゼと1-ピペリデイン-2-カルボン酸/1-ピロリン-2-カルボン酸レダクターゼ活性を持つ.DpkAは医薬品のキラルビルディングブロックとして役立つN -メチル-L-アミノ酸やL-ピペコリン酸の生産に有用である.DpkAを用いてこれらの化合物の工業的合成法を構築するために,エラープローンPCRによるDpkAの耐熱化を行った.V117MとQ302Rの変異は本酵素の耐熱性を改善した.野生型DpkAは30℃まで安定で,50℃で失活するが,V117M/Q302R変異DpkAは45℃まで安定で,55℃で失活した.V117MとQ302Rの変異はDpkAのキネティック・パラメータに僅かな影響を及ぼしたが, N -メチル-L-フェニルアラニンの酵素合成に変異DpkAを利用することができた.DpkAは補酵素としてNADPHを必要とするため,Bacillus subtilis 由来グルコースデヒドロゲナーゼを耐熱化し,N -メチル-L-フェニルアラニン合成のためのNADPH再生用酵素として用いた.24時間の反応後,野生型酵素は16.4 mMのN -メチル-L-フェニルアラニンを生産したが,耐熱化酵素では0.13 MのN-メチル-L-フェニルアラニンが生産された.
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© 2020 日本ビタミン学会

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