Anthropological Science
Online ISSN : 1348-8570
Print ISSN : 0918-7960
ISSN-L : 0918-7960
102 巻, 5 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 埴原 和郎
    1994 年 102 巻 5 号 p. 455-477
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    この論文は, 沖縄人およびアイヌを含む日本人集団の形成史を単一の仮説で説明する二重構造モデルを提唱するものである。このモデルは次の点を想定する。すなわち, 日本列島の最初の居住者は後期旧石器時代に移動してきた東南アジア系の集団で, 縄文人はその子孫である。弥生時代になって第2の移動の波が北アジアから押し寄せたため, これら2系統の集団は列島内で徐々に混血した。この混血の過程は現在も続いており, 日本人集団の二重構造性は今もなお解消されていない。したがって身体•文化の両面にみられる日本の地域性-たとえば東西日本の差など-は, 混血または文化の混合の程度が地域によって異なるために生じたと説明することができる。またこのモデルは, 日本人の形質•文化にみられるさまざまな現象を説明するのみならず, イヌやハツカネズミなど, 人間以外の動物を対象とする研究結果にも適合する。同時に, このモデルによって日本の本土, 沖縄およびアイヌ系各集団の系統関係も矛盾なく説明することができる。
  • 諏訪 元
    1994 年 102 巻 5 号 p. 479-488
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    初期人類の化石記録は南アフリカでの1930年以降の大量発掘, 東アフリカでの1970年代の発見ラツシュを経, 今日では1500点を越す標本群からなる. これらの化石標本はアファール猿人, アフリカヌス猿人, 初期ホモ属, およびロブスト型猿人 (エチオピクス猿人, ロブストス猿人, ホイセイ猿人) に分類される. 本小論ではこれらの初期人類の系統関係をめぐる現理解と問題点をまとめ, アファール猿人の実体, アフリカヌス猿人の系統的位置, ロブスト型猿人の進化様式とホモ属の出現について論じる.
  • 溝口 優司
    1994 年 102 巻 5 号 p. 489-496
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • 大橋 克巳, 井上 昌一, 亀谷 哲也, 井上 直彦
    1994 年 102 巻 5 号 p. 497-500
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    ケニア共和国北部のロドワー地区に居住する, ツルカナ族住民の3歳から9歳までの15名にみられた107歯の喪失は, 風習抜歯によるものであることが確認された。一人あたりの抜歯数は2歯から12歯で, 平均7.12歯であつた。一人平均抜歯数は, 乳犬歯3.67歯, 乳側切歯2.00歯, 第一乳臼歯1.47歯であつた。抜歯の方法は, 萌出前の乳歯の歯槽堤を切開して, 粘膜下の歯胚を摘出するものであった。この風習抜歯は, 乳歯の萌出の際に生じる異和感が全身の健康状態の悪化の原因となる, という考え方に基づいて行われていた。
feedback
Top