本研究の目的は、小児期や思春期・若年成人期(AYA期)発症がん経験者が就職活動において、どのような周囲の支援・関わりを役立ったと評価したかについて、その支援源に留意しながら探索することである。15名の経験者に半構造化面接を行い、録音の許可が得られた14名分の逐語録を定性的に分析した。その結果、協力者が役立ったと評価した支援・関わりとして、【現在の病状や今後の見通しに関する医学的所見の提示】【選考方法やキャリアパスに関する助言と就職についての考えをまとめるための支援】【希望する就職先で働く人からの情報提供】【履歴書の書き方への助言および面接指導】【就活中の悩みの受け止めや励まし】の5つのカテゴリーが抽出された。これらの結果により、一般の就活生からも評価される支援に加え、医師や病気・障害を抱えた学生の就職活動にも詳しいキャリアカウンセラーによる病気体験に関連した支援が高く評価されていることが明らかになった。また、就活中の悩みの受け止めや励ましについても、病気体験に関連する要素が含まれていることが示唆された。こうした知見を踏まえて本稿では、就職課における専門的人材の拡充の必要性、医師や患者会が就活支援において果たす役割の重要性を指摘した。
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