AYAがんの医療と支援
Online ISSN : 2435-9246
3 巻, 2 号
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原著
  • 力武 諒子, 渡邊 ともね, 山元 遥子, 市瀬 雄一, 松本 公一, 新野 真理子, 松木 明, 伊藤 ゆり, 太田 将仁, 坂根 純奈, ...
    2023 年 3 巻 2 号 p. 40-46
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル 認証あり

     目的:Adolescent and Young Adult(以下「AYA」)世代のがん患者に対する、がん診療連携拠点病院等(以下「拠点病院」)における、がん診療・診療支援の実態把握を目的とした。

     方法:全国の拠点病院の施設長に質問紙を送付し、拠点病院の指定要件に関連する事項全般を対象としたアンケート調査を行った。本稿においては、そのうちのAYA世代支援に対する回答を分析対象とした。回答は施設の機能別比較に加え、拠点病院のうち「小児がん拠点病院と小児がん連携施設である施設群」と「そうでない施設群」の比較も行った。

     結果:拠点病院451施設中256施設(回収率56.8%)から回答を得た。各施設群の実態が明らかとなり、都道府県がん拠点病院や小児がん拠点病院・小児がん連携施設の多くではそれ以外の拠点と比較して、生殖機能温存や就学支援等において、他の世代と区別してAYA世代特有な支援がより行われていたことが明らかになった。

     結論:拠点病院の現況報告では今まで明らかにならなかった、施設群毎のAYA世代患者への診療体制や支援の現況・実態が示された。

     本研究は厚生労働省科学研究費「拠点病院の実態把握とがん医療提供体制における均てん化と集約化のバランスに関する研究」(研究代表者:若尾文彦)の助成を受けた。

総説
  • 西森 久和
    2023 年 3 巻 2 号 p. 47-50
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル 認証あり

     AYA世代では白血病などの造血細胞移植の適応となる方が多く、治療期間も長期となり、学業の中断や休職を余儀なくされるため、AYA世代における就学支援や就労支援は重要である。

     中国地方での造血細胞移植患者に対する就学・就労支援の実態調査では、調査対象医師全員が現状の就学支援体制を不十分と回答し、就労支援においても、約85%の医師が不十分と回答した。また、就労支援窓口の利用が少ない、療養・就労両立支援指導料の算定が少ないなどの問題点も明らかとなった。

     日本造血・免疫細胞療法学会では移植後長期フォローアップ(long term follow up:LTFU)外来の運用に有用なツールとして、2022年2月に診断時、移植前、移植後の3種類からなる「就労支援リーフレット」を公表し、就労支援に必要な情報提供をしている。

     40歳以降の「ポストAYA世代」においても43歳までは妊孕性温存療法および温存後生殖補助医療の対象となるが、医療者も含めて社会の認識が少なく、就労にも影響するため周知が必要である。

事例報告
  • 髙嶋 希世子
    2023 年 3 巻 2 号 p. 51-55
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル 認証あり

     小児がん経験者の妊孕性に対する看護師の継続的な関わりを記述することを目的に本研究を行った。生殖医療科のクリニックに勤務する不妊症看護認定看護師1人、生殖医療科を持たない病院で小児科病棟と長期フォローアップ外来に携わる小児看護専門看護師1人に半構造化面接を実施し、グラウンデッド・セオリー・アプローチのオープン・コーディングを用いて分析を行った。分析の結果、<生殖医療科の受診に繋げるための種まき>と<人生に寄り添う支援>という共通の関わりを実践していることが明らかとなった。生殖医療に携わる看護師、長期フォローアップに携わる看護師の役割は異なることも明らかとなったが、お互いの相違を知ることで看護師間の連携が円滑に行われる可能性が示唆された。

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