目的:Adolescent and Young Adult(以下「AYA」)世代のがん患者に対する、がん診療連携拠点病院等(以下「拠点病院」)における、がん診療・診療支援の実態把握を目的とした。
方法:全国の拠点病院の施設長に質問紙を送付し、拠点病院の指定要件に関連する事項全般を対象としたアンケート調査を行った。本稿においては、そのうちのAYA世代支援に対する回答を分析対象とした。回答は施設の機能別比較に加え、拠点病院のうち「小児がん拠点病院と小児がん連携施設である施設群」と「そうでない施設群」の比較も行った。
結果:拠点病院451施設中256施設(回収率56.8%)から回答を得た。各施設群の実態が明らかとなり、都道府県がん拠点病院や小児がん拠点病院・小児がん連携施設の多くではそれ以外の拠点と比較して、生殖機能温存や就学支援等において、他の世代と区別してAYA世代特有な支援がより行われていたことが明らかになった。
結論:拠点病院の現況報告では今まで明らかにならなかった、施設群毎のAYA世代患者への診療体制や支援の現況・実態が示された。
本研究は厚生労働省科学研究費「拠点病院の実態把握とがん医療提供体制における均てん化と集約化のバランスに関する研究」(研究代表者:若尾文彦)の助成を受けた。
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