【目的】小児・AYA世代の悪性骨腫瘍サバイバーのスポーツ活動の実態を多施設共同研究で明らかにすることを目的とした。
【方法】2000年から2020年までの間に原発性悪性骨腫瘍に対して当院を含む6つの医療機関で根治的手術が実施され、調査時に12歳から39歳であるサバイバーを対象とした。ウェブアンケートで治療前後のスポーツ実施状況を調査した。
【結果】70名から有効な回答を得た。治療前にスポーツ活動があった48名の内、なんらかのスポーツを継続していたのは24名だった。治療前にスポーツ活動がなかった22名の内、6名は治療後にスポーツを開始していた。治療後にスポーツ活動を行っているのは計30名(43%)だった。1週間のスポーツの合計時間は治療前群で中央値7時間、治療後群で中央値3時間と減少傾向がみられたが、有意差はなかった。運動強度の指標であるメッツは治療前群で中央値7だったが、治療後は中央値5.75と有意に低下した(t検定、p=0.0044)。スポーツによる1週間の消費カロリーは治療前群で中央値2695kcalだったが、治療後群で中央値1140kcalへと有意に低下していた(t検定、p=0.0344)。
【考察】小児・AYA世代の悪性骨腫瘍サバイバーの治療後のスポーツ頻度や運動強度は低下する傾向がみられた。医療者側からの情報提供が重要と考えられた。
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