大学入試研究ジャーナル
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26 巻
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • ――合否入替り率を用いた検討――
    木村 拓也, 林 篤裕
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 1-8
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    本研究では,過去20年間の合否入替り率の検証を行った。本学データでは,1次・2次入替り率ともに,過去20年間に大きな変化はなかった。また,過去入研協で行われた全国国立大学の調査結果と同様,2次入れ替わり率には,受験倍率が最も大きな影響を与える,という構造に変化がないことも合わせて明らかにされた。以上を踏まえ,個別大学から見た大学入試センター試験は相当な頑健性を持った制度であると結論づけられる。

  • 林 寛子
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 9-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    山口大学では一部の募集単位で「配点の自己申告制」という入試方法を導入している。この入試方法を15年前に開発したR学部A学科は,導入以降志願倍率が上昇し,そのまま志願倍率を維持している。「配点の自己申告制」は筆記試験における1点刻みの選抜ではあるが,画一化した条件の下での選抜ではない。入学者は大学入学後に「配点の自己申告制」の条件の違いによる特徴がみられ,「配点の自己申告制」という入試方法により多様な入学者を獲得してきたことが明らかになった。

  • ――入試方式変更による実践事例報告――
    神戸 悟
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 15-21
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    私立大学にとって志願者数の増加は重要な課題であるが,どのような受験生を志願者として得るかという質の問題はさらに重要な課題であろう。本報告は,センター試験を利用した入試を行う私立大学理工系学部が,自らが意図した受験者層に,入試方法の変更という手法によってアプローチを試みた事例の検証である。受験生の質を評価するため出身高校の進学実績をスコア化し,その平均値,分散を用いて検証した結果,一定の効果が確認できた。

  • 西郡 大, 園田 泰正, 兒玉 浩明
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 23-28
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    高大接続改革について提言された中央教育審議会答申(2014)では,各大学の個別選抜において「確かな学力」の3要素を多面的・総合的に評価することが求められているとともに,大学入試の評価の在り方を梃子に高等学校教育と大学教育の在り方を転換していくことが示されている。本稿では,同答申の趣旨を踏まえ,佐賀大学の入試改革として第3期中期目標・計画期間中に着手する「佐賀大学版CBT(Computer Based Testing)」「特色加点」「継続・育成型の高大連携活動」という考え方を紹介し,大学入試改革に向けた課題と展望について考察する。

  • 山本 以和子
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 29-36
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    多面的・総合的な評価を行う入試の導入が,入試改革政策の中で強調されている。そのような入学者選抜において,どのような入試方法,内容,さらに情報を必要とするだろうか。推敲を繰り返して進化したAO入試での合否判定に関わる試験・出願資料の現状を調査して,さらに出願資料に関しては,韓国の入学査定官制での出願資料と比較をした。その結果,日本では受験生による自由な記述を促す資料が多いが,韓国では担任の教師による項目ごとの詳細記述が求められる資料が多い状況などが見られた。

  • ――入学時調査と卒業時調査から――
    山田 貴光, 森川 修, 古塚 秀夫
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 37-43
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    少子化が進行する中、看護系大学の新たな設置は今年度も続いている。国立大学の医学部看護学科においても入試は非常に厳しい状況にある。鳥取大学医学部保健学科看護学専攻では、ステークホルダーの意見から自学の強みを見つけるために、新入生への入学時調査と4年生への卒業時調査を行った。これまで認識することができなかった入試広報素材を発掘し、新たな検討を行うことができるようになった事例について、報告する。

  • 椎名 久美子, 桜井 裕仁, 荒井 清佳, 伊藤 圭, 宮埜 寿夫, 小牧 研一郎, 田栗 正章, 安野 史子
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 45-51
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    教科・科目別の試験とは異なる観点から大学での学修に必要な基本的能力を評価する目的で開発してきた「言語運用力」と「数理分析力」試験を,学力の高い受験者に適用可能かどうかについての示唆を得るために,測定の枠組みに合致すると思われる問題を,「法科大学院適性試験」やセンター試験の「情報関係基礎」「工業数理基礎」から選んだり,新規作成したりして問題冊子を作成し,国立大学1年生を受験者とするモニター調査を実施した。本稿では,各問題の難度やセンター試験の科目別得点との相関について検討する。

  • ― 採点者による得点の違いについて ―
    荒井 清佳, 石岡 恒憲
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 53-58
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    課題及び制限字数の異なる小論文試験を行い,3名の採点者がどのように採点をしたのかについて,基礎的な分析を行った。採点は,11の観点による分析的評価と総合的評価を行った。採点に当たっては事前に得点の一致を図るために得点基準の調整を行った。その結果,分析的評価については,3名の得点分布は互いに異なるものもあったが,総合的評価については似たような形の分布になった。また,得点分布は,課題の違いよりも採点者の違いによる方が違いが大きかった。

  • ――問題・選抜の検証と入学後の追跡調査――
    大塚 智子, 高田 淳, 武内 世生, 瀬尾 宏美
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 59-66
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    高知大学医学部医学科では,入学者選抜において「思考力・判断力」を統合した能力である「問題解決能力」を測る問題解決能力試験(KMSAT)を行ってきた。解析によりKMSATはセンター試験と相関しながらも異なる能力を評価すると推察された。また21歳以上の合格率が高く,測る能力が年齢に依存する可能性も示唆された。入学後の追跡調査より,KMSATが問題解決能力の評価尺度として妥当性を有することが示唆された。

  • ――地方私立看護系短期大学の一例――
    塚本 恭正
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 67-72
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    地方の私立短期大学では,18才人口の減少と4年制大学の入学定員の増加に伴い,入学者選抜で学力を担保することが難しくなってきている。そのため学力の劣る入学生をいかに教育していくかが近年の課題となっている。岩手看護短期大学では入学から卒業までの成績追跡調査を行い,入学してから6ヵ月後(1年前期)の成績が,卒業するまでの在学中の成績と関連することを明らかにした。この分析結果を学内の教員と共有して1年前期終了時から成績下位学生に対する個別指導及び初年次教育を考えるための情報として活用している。

  • 齋藤 朗宏
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 73-79
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    大学における三つの方針の重要度が増している。中でもアドミッション・ポリシーは早い段階で普及が進んでおり,様々な調査が行われているが,ディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーについては,まだ研究は十分ではない。そこで本研究では,三つの方針の現状について確認し,特にアドミッション・ポリシーとディプロマ・ポリシーとの一貫性について検討を行った。その結果,三つの方針に共通するキーワードやそれぞれに特有のキーワードを見出すことができ,また,一貫性の高い方針を持つ大学を抽出することができた。

  • 吉村 宰
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 81-88
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    高校教育,大学教育,大学入試の一体的改革についての中央審議会答申(2014年12月),及び文部科学省の「高大接続改革実行プラン」(2015年1月)では,アドミッション・ポリシー(以降APとする)に基づく選抜が重要であると強調されている。しかしそれが具体的にどうあるべきなのかは不透明な部分も多い。本稿ではAPに基づく入学者選抜のあり方と課題について,2014年4月に新設された長崎大学多文化社会学部の入試設計の例を示しながら論じる。

  • 倉元 直樹
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 89-96
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    中教審答申 (2014) では高校教育と大学教育の一体改革を旗印に大学入試の大幅な変革が企図された。個別大学にはアドミッション・オフィス機能の強化と入学者選抜体制の整備が求められるが,元来,国立大学のアドミッションセンターは入学者選抜研究を担う組織として構想されたものである。本稿では国立大学に様々な形態で普及しているアドミッションセンターの組織と機能について,主として規程類を素材として指標化,数量化し,特徴の抽出を試みた。

  • 立脇 洋介, 山村 滋, 濱中 淳子, 鈴木 規夫
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 97-102
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    入試方法や進学への意識が多様な進学中堅校の高校生を対象に,学習時間の変遷及び希望進学先の決定時期と,学内外の友人関係との関連を検討し,以下の2点を明らかにした。①進学準備の進んでいない2割の生徒は,一般入試で大学に進学することを漠然と考え,友人も類似した状態であった。②進学準備の進んでいる生徒は,基本的に進学準備の進んでいる学内友人が多いが,一部の生徒は学内友人の準備状態を物足りなく感じたり,テスト期間に学外友人をより重視したりしていた。

  • ― テレメール全国一斉進学調査を利用した一地方大学の分析事例から ―
    福島 真司, 小田 和久, 鈴木 達哉
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 103-110
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    効果的な学生募集戦略の構築には,入学前に自学に接触してきた受験生(接触者)や出願者データの分析はもちろんのこと,自学に接触していない受験生(非接触者)やそれらを含む非出願者データの分析も,特に,新規志願者獲得等のために重要な意味を持つ。本稿では,進学先大学の検討から出願,入学に至るまでの全国的な受験生の調査結果を利用し,一地方大学への進学を検討した層に注目することで,非接触者,非出願者等を含めた受験生の進路動向を考察し,その特性を示した。

  • ――入試広報の効果検証を中心に――
    雨森 聡
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 111-116
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    加熱する入試広報は量よりも質への転換を検討する段階になったと考えられる。質を問うには入試広報の効果検証が肝要である。アンケートを用いた効果検証がよく行われるが,評価者である学生の質は問われることはなかった。そこで本稿は,その質の情報を加え,入試広報の効果検証を行った。その結果,学生の質を含めて議論することにより,ターゲットによってより厳密な入試広報の戦略を立てる可能性を示唆することができた。

  • ――広島大学の事例を中心に――
    杉原 敏彦, 高地 秀明, 永田 純一, 下山 晋司, 石田 達也
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 117-122
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    広島大学では,「志願者の利便性の向上」と「大学のグローバル化と市場化への対応」をねらいとして,2015年度入学者選抜からインターネット出願を導入した。国立大学に先行事例が乏しく,当初の想定とは異なる対応を要する事態も出来したが,一般入試におけるインターネット出願利用率は20%に達し,無事完了した。今後は,出願書類等のデータを登録・保存して大学に提出させたり,それを入学後の指導等に活用したりできる機能の装備も考えている。本論では,本学の事例を基に,主として国立大学におけるインターネット出願の現状と今後の課題・展望を述べる。

  • 上山 浩次郎, 井上 敏憲
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 p. 123-128
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    インターネット出願の現状を把握し,その導入の際に考慮すべき点を検討するため高校教員を対象としたアンケート調査を行った。結果,ネット出願は多くの学校で把握されており,5割弱はネット出願について生徒を指導・助言した経験があること,経済面やミスの軽減に関するメリットが認識されていること,セキュリティーへの懸念や現状では郵送の手間が存在することにデメリットを感じていること等の知見を得た。

  • ――配点変更による動向変化と個別試験理科選択の影響の分析――
    高木 繁
    原稿種別: ノート
    2016 年 26 巻 p. 129-134
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    入試において,配点変更は志願動向に大きな影響がある。名古屋工業大学は9年ぶりに大きな配点変更を行った。物理・化学選択の4学科について受験者の成績分析を行い,個別重視に変えたことによりボーダーライン以下の層(特にセンターリサーチで「以下」の層)の出願を増やすことには成功した。物理選択と化学選択の影響は,科目間の平均点の影響が出てはいるものの,それほどの違いは無いことが確認された。個別試験を理数重視に変更したため,英語で逃げ切る受験生を一部排除することはできたが,それ以外に大きな変化は見られなかった。

  • 森川 修, 山田 貴光, 小山 直樹, 古塚 秀夫
    原稿種別: ノート
    2016 年 26 巻 p. 135-140
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    鳥取大学の2005年度~2011年度入学者の修業年限内退学率は4.8%であった。入試区別にみると,学力試験を課さないAO入試と推薦入試Ⅰ入学者に有意差はなく,推薦入試Ⅱ(大学入試センター試験を課す)入学者が有意に低く,後期入試入学者が有意に高かった。また,学部別では,医学部が有意に低く,工学部が有意に高かった。さらに,鳥取大学AO入試入学者の修業年限内退学率は6.3%であり,国立大学のAO入試入学者の退学率の平均3.1%よりも高かった。

  • 永野 拓矢, 門馬 甲児, 岡本 崇宅
    原稿種別: ノート
    2016 年 26 巻 p. 141-146
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    入試分析や広報を主業務とした国立大学アドミッションセンターの教員(アドミッションオフィサー)において,期限付きの任期制で採用された者も少なくない。更新は可能であるものの,新設で当組織が設置された大学では更新基準が未定状態で選考が行われている事例もあり,着任後の雇用について不安の声が聞かれる。本稿では国立大学アドミッション系の任期制教員を対象に,業務内容と労働条件等(任期制と更新)についてアンケート調査を行い,現状と課題について考察した。

  • ―― 現状と将来 ――
    上田 一郎, 田中 克己, 飯塚 誠也, 佐竹 恭介, Carmen Tamas, 栗原 考次
    原稿種別: ノート
    2016 年 26 巻 p. 147-154
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    岡山大学では,2012年度入試より理・医(保健)・工・農学部及びマッチングプログラムコース(MPコース)で国際バカロレア(IB)4月入学入試(定員若干人)を取り入れ,2013年度入試より10月入学入試をMPコース(定員若干人)で導入,更に2015年度入試では全学部及びMPコースで4月入学入試(定員若干人,医学科のみ定員3名)に拡大した。

    今後IB入試を更に拡大・発展させていくにはどのような課題があるのか,IB教育を取り入れている国内の高等学校及びインターナショナルスクール(以下IB校という)に実際にアンケートや訪問取材をすることで見えてきた課題等について報告する。

  • 島田 康行, 本多 正尚, 大谷 奨, 白川 友紀
    原稿種別: ノート
    2016 年 26 巻 p. 155-161
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    平成26年度,筑波大学は国際バカロレア資格取得者を対象とする入試を開始した。本稿では,この入試の導入に至った背景として,諸機関による提言等や学内の動きを整理する。また,募集開始までの広報活動等の概略と,この入試の趣旨やアドミッションポリシー,選抜方法等の概略を報告するとともに,入試実施の結果と今後の課題についても言及する。

  • ―改訂の意図と背景―
    石岡 恒憲
    原稿種別: ノート
    2016 年 26 巻 p. 163-169
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    アメリカの大学に入学するための共通試験の一つであるSATが2016年春から改訂される。カレッジボードによれば主たる変更点は8つとしており,(1) 難解語彙の知識を要求する問題を止めること,(2) 3セッションの2400点満点から2セッション1600点満点にし,数学の比率が相対的に増大すること,(3) エッセイが必須ではなくなりオプションになること,(4) 思考の過程や解答への根拠の提示が試されるようになること,(5) 提示される資料の一部は米国建国文書や有名な演説から出題されることなどが示されている。改訂の意図として,できるだけ大学での成功への予測妥当性を保ちつつ高校の履修を反映させるように再設計したとしている。カレッジボードによればこれらの変更は多くの研究成果に基づくものとしているが,改訂内容の多くはもう一つの共通試験であるACTへの追随ととらえることができる。

  • 大澤 公一
    原稿種別: 資料
    2016 年 26 巻 p. 171-177
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    山口大学に平成27年度より新設された国際総合科学部について,初年度入試の前期日程における入試データの記述的な集計を行った。入試初年度は広報活動の時間不足等もあり志願倍率が1.28と低調であった。センター試験の成績では,大学全体の志願者層の中では英語の学力が相対的に高いものの,数学の学力が低いことが観察された。センター試験の受験タイプ別(文理別)に個別試験の成績を集計したところ,データ数が僅少のこともあり一貫した傾向の結論は得られなかった。

  • 塩見 均
    原稿種別: 資料
    2016 年 26 巻 p. 179-185
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    大学に入学してくる学生の数学の基礎・基本の理解不足や数学的思考力,論理力の低下が顕著になっている。基礎教科としての数学力の低下は,高校の基礎教科である国語,英語,理科の学力の低下などとも関連し,大学教育の上でも大きな支障を来たしている。本稿では,高等学校の学習指導要領の単位数の変遷,特に数学の必修単位数の変化や学習内容の変化を通して,現在の文系大学生が身に付けている数学の素養について述べる。また本学の入学試験文系において,数学選択者数の変化や合格者数の割合の変化,そして入学試験で数学を選択して入学した学生の入学後のGPA平均との関係について考察する。

  • 竹内 正興
    原稿種別: 資料
    2016 年 26 巻 p. 187-192
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/01/07
    ジャーナル フリー

    本研究は,大学入試における共通テストでの外部検定導入の方向性について,高校教員への意識調査から,高校現場に与える影響を考察することを目的とする。調査の結果,受験機会の実質的な複数回化による高校生の学習意欲向上と自己の実力の納得度向上という2つのメリットをもたらす可能性が示唆された。一方で,外部検定を移行措置として活用するのか,あるいは全面的に導入するのかによって英語以外の教科・科目への波及の可能性を含め,高校現場に与える影響範囲が大きく異なる可能性が窺われた。また,受験機会や受験料による経済的格差の拡大や学習指導要領との整合性といった問題に対する高校教員の意識が高いことがわかった。

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