スニール地熱地帯の地質は,先第三紀の花岡岩類とそれを不整合に覆う第四紀の安山岩質~流紋岩質火山噴出物からなる。これらの地層はいくつかの断層によって断たれ,NE-SWに伸長する陥没構造が後期更新世以降に形成された。高温地熱流体は,隆起帯の深部からもたらされ,陥没地帯で地表に流出している。地熱レザーバーの地下水面は,標高1950mにあり,それは,地下温度が高くなるにつれて,西方に向って高くなり2050mに到る。高温のアルカリ性塩化物熱水によって形成された地熱変質は,この地下水面以深にのみ認められる。4450年以前に形成された珪質温泉沈澱物が,実測される地下水面より100m以上も高い位置で見い出された。地熱熱水変質は,地下水面が現在より高い位置にあった時代に形成されたものと考えられ,その時の地下温度は,現在実測される地下温度より高温であった可能性がある。
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