本研究は,考案した膝内反軽減シューズを1ヶ月間履いて歩くことによって,変形性膝関節症患者の患者立脚型QOL である日本版膝関節症機能評価尺度(JKOM)が改善するか否かを検証した。対象は,変形性膝関節症患者20名(すべて女性:平均年齢63.8±7.1歳)とした。介入の効果検証にはベースライン期(A)とそれに続く介入期間(B)を設定して,その測定値を比較するABデザインを採用した。一般の運動シューズを履いて生活してもらった1ヶ月間の統制期間に比べて,膝内反軽減シューズを1ヶ月間履いて生活してもらうと,介入後にはVisual analog scale で評価した疼痛の程度,JKOM の合計点,下位項目の「痛みとこわばり」が有意に改善した。今回の結果から,膝内反軽減シューズは,変形性膝関節症患者の膝痛軽減および患者立脚型QOL の改善に効果的であることが示唆された。
〔目的〕大腿骨近位部骨折患者の総在院日数に影響を及ぼす要因を地域完結型急性期病院の電子化された地域連携クリティカルパス項目から検討した。〔対象〕大腿骨近位部骨折332名とした。〔方法〕急性期と回復期病院の日数を合計した総在院日数を,中央値を境界として短期群と長期群の2群に分類し,急性期から回復期病院へ転院する際の急性期パス項目から影響要因を後方視的に調査した。〔結果〕ロジスティック回帰分析の結果,年齢,認知症および術式など既知の交絡因子で調整した影響要因は,杖歩行開始日数であった。〔結語〕杖歩行開始日数は,総在院日数の影響要因として臨床的に有用である可能性がある。
本研究の目的は,要介護高齢者143名を対象に50m ラウンド歩行テストに影響を及ぼす要因を検討することである。方法は,上下肢筋力,30秒椅子立ち上がりテスト(CS‐30),Functional reach test(FRT),片足立ちテストと50m ラウンド歩行テストとの関連から分析した。50m ラウンド歩行テストと有意な相関を認めたのは,相関係数が高い順にCS‐30(r=-0.48),FRT(r=-0.40),大腿四頭筋筋力(r=-0.23),片足立ちテスト(r=-0.20),握力(r=-0.17)であった。Stepwise 法による重回帰分析の結果,50m ラウンド歩行テストに影響を及ぼす要因は,CS‐30(β=-0.39)とFRT(β=-0.28)が抽出された。これらのことから,50m ラウンド歩行テストは,上下肢筋力や静的バランスよりも筋持久力や動的バランスに影響を受けるテストであることが示唆された。
本研究の目的は,幅20cm・長さ5m の歩行路をはみ出すことなくゆっくり歩行する「バランス歩行テスト」の運動学的メカニズムを明らかにすることである。健常成人女性16名を対象に,歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋長頭,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量について表面筋電計で測定し,歩行パラメータは歩行分析装置を用いて評価した。その結果,バランス歩行は通常歩行と比べて歩行速度,立脚時間,両脚支持時間,遊脚時間は有意に延長し,歩幅,ストライド長,ケイデンスは有意に減少した。また,バランス歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋の活動が有意に増加した。今回の結果から,バランス歩行では下肢の筋活動がバランスよく高まることから,高齢者の歩行能力向上や下肢筋力の協調トレーニングとして活用できる可能性が示された。またバランス歩行は,特殊な機器やスペースを必要とせず簡便に行えることから,高齢者の介護予防対策としての活用が期待される。
運動負荷後における循環応答の経時的変化
公開日: 2015/06/18 | 5 巻 1 号 p. 19-24
小西 佑磨, 村田 伸, 窓場 勝之, 阪本 昌志, 杉森 信吾, 山川 瑠奈, 白岩 加代子, 安彦 鉄平, 阿波 邦彦, 堀江 淳
足底への感覚刺激が足底感覚および足趾把持力に及ぼす影響
公開日: 2014/03/18 | 3 巻 3 号 p. 129-133
大杉 紘徳, 本塚 貴裕, 佐久間 崇, 横山 茂樹, 村田 伸
脳卒中片麻痺患者の歩行自立に影響を及ぼす要因
公開日: 2013/04/02 | 1 巻 2 号 p. 93-99
大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 村田 伸, 溝上 昭宏, 小野 武也, 梅井 凡子, 大塚 彰, 川上 照彦
歩行時のToe clearance と足趾把持力について
公開日: 2016/07/29 | 6 巻 1 号 p. 1-7
相馬 正之
背部および頭頸部のギャッチアップ時にみられる血圧変動
公開日: 2019/03/29 | 8 巻 4 号 p. 187-191
村田 潤, 梅木 奈穂, 古後 晴基, 大山 美智江, 山形 茂生
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