本研究の目的は,若年健常成人において座位での股関節開排筋力(Strength of the Muscles in Hip Abduction with Flexion: SMHAF)の再現性と妥当性を検討することである。若年健常者34名(男性15名,女性19名)を対象とした。座位SMHAF の再現性について,テスト―再テスト法による級内相関係数を求めて検討した。座位SMHAF の妥当性については,男女別にピアソンの相関係数を求めて,臥位SMHAF,大腿四頭筋筋力との関係を検討した。座位SMHAF の再現性は級内相関係数0. 98と極めて高かった。また男女ともに,座位SMHAF と臥位SMHAF,大腿四頭筋筋力との間に有意な相関(p<0.05)が認められた。以上の結果から,座位SMHAF は,若年健常成人において再現性と妥当性に優れた下肢筋力の指標となる可能性が示された。