爬虫両棲類学雑誌
Online ISSN : 1883-4493
Print ISSN : 0285-3191
15 巻, 1 号
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  • 疋田 努
    1993 年 15 巻 1 号 p. 1-21
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    東アジア地域に分布するトカゲ属(Eumeces)の種および種内群に北アメリカに分布する近縁種を加え,これら種,種内群間の系統関係の解析をおこなった.単一種からなり,種群が異なるE.quadrilineatusを,他のグループの外群として用い,分類形質として,これらの種,種内群の間で差異の見られる鱗相と体色,模様を選び,種内変異のある状態も,一つの独立した形質状態として扱った.2つの種群,E.fasciatus群,E.obsoletus種群それぞれについて,形質データをブランチ・アンド・バウンド法にかけて,最節約系統樹を求め,得られた複数の最短系統樹から,合意分岐図を求めた.また,扱ったすべての種,種内群,26単位について絶対距離行列から近隣結合法による系統関係の推定もおこなった.これらの系統解析の結果,東アジアにおけるトカゲ属の種間の系統関係が明らかにされ,さらに従来の属内の分類に変更が加えられた.すなわち,Taylor(1935)のE.fasciatus種群内には,3つの群が認められ,北米のE.fasciatus種群,東アジアの島嶼に広く分布するE.latiscutatus種群,中国大陸に分布するE.capito種群に分割された.また,TaylorのE.obsoletus種群は単系統群ではなく,異なる3つの種群からなると結論付けられた.すなわち,北米のE.obsoletus種群,ベトナムのE.tamdaoensis種群,中国のチュウゴクトカゲと宮古・八重山諸島のキシノウエトカゲを含むE.chinensis種群である.このようにして推定された系統樹に基づき,地史的な観点から,これら種の分化に説明を加えた.すなわち,東アジアのトカゲ属は,北米からベーリング陸橋を経て,東アジアに渡来した複数の系統が分化したものと推定された.とくに,E.latiscutatus種群の種分化は,日本と琉球列島の地史と関係づけられた.
  • 〓 万兆, 楊 大同, 倉本 満
    1993 年 15 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    雲南省のカエル6種の核型を初めて報告した.Leptobrachium chapaensisは大形6対,小形6対よりなる2n=24の染色体,Rana andersoniiR.maculosaは大形5対,小形8対よりなる2n=26の染色体をもっていた.Rana unculuanaの核型は高等なカエル類の核型としては特殊なもので,2n=40の染色体をもち,それらを大きさによって区分することはできなかった.Polypedates dugriteiは大形5対,小形8対の2n=26の染色体,Rhacophorus rhodopusは大形5対,中形1対,小形7対の2n=26の染色体をもっていた.R.unculuanaを除き,これらの種の核型はそれぞれの科の基本的な核型にほぼ合致していた.核型の比較に基づいて,それぞれの種の分類上の問題点を論じた.
  • 松井 正文, 呉 貫夫, 宋 鳴涛
    1993 年 15 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    チュウゴクアカガエルの基準産地である陜西省産の標本の形態計量形質を,この種と同じく染色体数24本であることから近縁と考えられる日本産のエゾアカガエル,ヤマアカガエル,チョウセンヤマアカガエルと比較した.正準判別分析によって,チュウゴクアカガエルは雌雄とも完全に他種から分離された.また,体各部の頭胴長に対する比率を比較すると,とくに四肢の長さでチュウゴクアカガエルは,ヤマアカガエル,チョウセンヤマアカガエルにきわめて類似していたが,これまで同種とされてきたエゾアカガエルとは大きく異なっていた.
  • 下山 良平
    1993 年 15 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    長野県伊那谷北部に生息するトノサマガエル雌の繁殖特性を,2シーズンにわたって調査した.繁殖期は,5月中旬から7月上旬にかけての約2ヶ月間に及んだ.こうした長期にわたる繁殖は,卵巣卵の発達状況が雌間で大きくばらついていたために生じた.卵の発達は小さな雌ほど遅くなる傾向があった.一腹卵数と卵サイズは,雌の頭胴長との間に正の相関があった.
  • ゴリス R., 石橋 徹
    1993 年 15 巻 1 号 p. 42-43
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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