1985年から1989年の繁殖期間にわたって,北海道の十勝地方に生息するエゾサンショウウオの繁殖場所について研究をおこなった。82地点の繁殖地が確認され,それらは繁殖地内の水の流れに応じて流水地(水の速度が毎秒5cm以上),静水地(同毎秒5cm未満)そして止水地の3つに分けられ,それぞれの割合は13.4%,52.4%,34.1%を示した。流水地の平均水温は,水底と水面直下との間には有意な差はなかった。しかし静水地と止水地では,水底と水面直下の水温においてそれぞれ有意な差が認められた。静水地では天敵(例えばニホンザリガニやムラサキトビケラの幼虫)が繁殖地の60.7%で,また止水地では14.0%,流水地では0%の割合で確認された。卵嚢が産み付けられていた水深は平均3.1cmであった。
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