日本では、今後高い確率で発生が予測されている南海トラフ巨大地震や首都直下型地震、富士山噴火などの大規模災害による甚大な被害が危惧されている。また、超少子・高齢・人口減少・独身社会が日々進行している日本では、来たるべき大規模災害における防災・災害支援のマンパワー不足が懸念されている。
災害を経験するたびに、日本の災害医療の守備範囲は変化している。現在、日本の災害医療は、急性期医療だけでなく、震災関連死などの慢性期の災害関連死も含めた支援として、多職種連携で支える災害医療や多様者協働による災害支援が求められている。
一方、現在の日本の災害対策関係法令では、現地の災害対策本部の下に保健医療福祉調整本部が設置され、政府が定める災害支援の医療活動は、日本の医療に係る国家資格の免許取得者に限定されている。日本の医療に係る国家資格の免許取得者でない伝統医療や相補・代替医療従事者は、その活動に関わることはできない。
統合医療関係者においても、来たるべき大規模災害に備えるには、自治体の地域住民として、最低限必要な防災や災害支援の知識やマナーを身に付けることが望まれる。それは、被災地となる自治体において、統合医療関係者各自が災害を生き抜くためでもあり、将来、統合医療関係者各自が、防災や災害医療の専門家との多職種連携や地域のさまざまな人々との多様者協働により、統合医療を利活用した災害支援が社会実装されるための素地を養うことに繋がる。
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