日本統合医療学会誌
Online ISSN : 2436-2158
Print ISSN : 2435-5372
13 巻, 1 号
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総説
原著
  • 藤村 佳奈, 吉村 春生, 赤羽 理紗, 山下 仁
    2020 年13 巻1 号 p. 24-33
    発行日: 2020/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    目 的 : 鍼灸師による擦過鍼を用いた認知症高齢者のケアの臨床的意義に関して量的手法では評価されていなかった概念を探察するため。

    方 法 : グループホーム入居中の認知症高齢者に対する施術の観察記録、介護記録、介護者インタビューの収集データから、鍼灸施術に関連した言動や情景についての記述を抜き出し、同質の意味内容を象徴するキーワードにまとめ、質的・統合的な解釈を試みた。

    結 果 : 擦過鍼施術を受けた11名の認知症高齢者に関する反応や変化に関する記述は、【心地よさ】【怒りの軽減】【気分の改善】【楽しみの追加】【コミュニケーション】【社交性の獲得】【痛みの軽減】【展望記憶の想起】【不満のはけ口】という9つのキーワードにまとめられた。

    考察・結論 : 擦過鍼施術の物理的特性による【心地よさ】と【痛みの軽減】、および鍼灸師との【コミュニケーション】が、その他の評価概念を示すキーワードにつながっていったと解釈している。これらの観点を踏まえると、鍼灸師による擦過鍼を用いた認知症高齢者に対するケアは、日常的・標準的な介護ケアを補完する役割を担っていることが示唆された。

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