ITヘルスケア誌
Online ISSN : 1881-4794
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ISSN-L : 1881-4794
12 巻, 2 号
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巻頭言
原著論文
  • 薄 雄斗, 大野 ゆう子, 古田 誠朗, 小野 浩, 国松(佐貫) 志保, 岩瀬 愛子, 新家 眞
    2017 年 12 巻 2 号 p. 2-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/03
    ジャーナル フリー

    運転中に人がどこを見ているかという視点の追跡 (アイトラッキング) は、安全運転のための解析として利用されつつある。本報告では、眼科一般検査で正常と診断された被験者においてDriving simulator (DS) 下での運転時にアイトラッキングを計測し、健常人の自動車運転中の注視点を検討した。被験者は男性3名、女4名の計7名で年齢の中央値は47歳 (25-67歳) であった。DSにおいて対向車が来ない直線道路走行シーンを3シーン各3秒間を抽出し、注視点の分布を求め、その分布の重心から注視点が3度、6度、9度以内に入る割合を計算した。その結果、男女間に有意差には認められず年齢との相関も弱かった。注視点の重心から3度以内に90%以上の注視点が分布したのはのべ21例 (7名×3回) 中10例 (47.6%)、70%未満の視点しか分布していなかったのは同21例中5例 (23.8%) であった。また、個人において3シーンの注視点の分布が同じだった者は、7人中1人だけであった。以上より、健常人でも、障害物もなく直線道路というほぼ同じ条件における走行でも注視点がばらつくことが示唆された。

  • 伊藤 希美, 山本 瑛子, 岩崎 朋幸, 熊澤 美裕紀, 菅野 敦之
    2017 年 12 巻 2 号 p. 9-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/03
    ジャーナル フリー

    患者が薬剤を正しく服用すること, すなわち服薬アドヒアランスは, 薬物治療の前提となる重要な要素である. しかし, 5割以上の患者で薬剤が余った経験があり, その主な理由は飲み忘れであることが示されている. 本研究では, 我々の開発したスマートフォンアプリ「おくすりPASS」の服薬アラームの, 服薬アドヒアランス向上に対する効果を検証した. 201名の健常な男女を4群に分け, 各群で服薬アラームの使用期間を変化させた. 4週間服薬を模して分包紙を開封させ, その遵守率を求めた. その結果, 同一群内での比較においてアラーム使用期間の遵守率は不使用期間のそれに比較して有意に高く, アラーム使用開始のタイミングによらなかった. また, 服薬アラームの使用を続けた群は高い遵守率が維持されたのに対し, 初めの2週間だけ使用した群は後半2週間の遵守率が有意に低下し, 低下の幅は後者が有意に大きかったことから, 服薬アラームの効果は少なくとも4週間持続し, 2週間の服薬習慣化よりも有意に高い遵守率を保つことが示された. 以上から, 「おくすりPASSTM」の服薬アラームは, 分包紙を開封するという擬似的な服薬行為について効果的に遵守率を高めることが示された. 実際の患者の服薬アドヒアランスにおいても, 同様の効果を持つことが期待される.

編集後記
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