本研究の目的は、発達理論、発達段階に関する枠組みを持つことの意味、支援に関する省察、及び研究と実践について論ずることであった。支援に関する枠組みを持つこと、学習と教育との関係に関する理論、生態学的発達理論、関係論的発達理論、省察的実践に関する理論について解説した。また、発達支援における「最近接発達領域」と足場かけ・足場はずしの意味、振り返りと省察、〈行為における省察〉から〈行為の中の省察〉と制約、及び〈記述〉することの意味づけを行った。さらに、「プロフェッショナルが実践の中の研究者として機能するとき、実践そのものが再生の源泉となる。誤りを認めること、その結果として生じる不確実性は、自己防衛の機会ではなく、発見の源泉となり得る」(Schön, 1983)ことについて記述した。省察的実践家は、〈行為の中の省察〉により自らの枠を確認し、その上で事例に関するその枠の見直しなどを通して、新しい道を切り開いていくことが大切であること、クライアントとのコミュニケーションを通して枠組みを転換し、省察しながら実践を継続することが発達支援においても重要であることなどを述べた。
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