発達障害は、早期に気づき、適切に対応することにより、その個性を障害ではなく社会全体に適応した個性に導くことが可能である。5 歳児は、発達障害のある児童への気づきの場として適正な時期であり、就学に向けた相談、支援等のフォローを行うためにも最適な年齢と考える。地方自治体の中では、独自の健診プログラムを組み、5 歳児を対象とした発達障害のスクリーニングを行う動きが広がっている。しかし、2019 年度時点において宮城県内での5 歳児発達健診は実現されていなかった。
東北メディカル・メガバンク計画では、宮城県内の約3 万人の小児が参加する三世代コホート調査を実施しており、2019 年度は仙台市内在住の三世代コホート調査参加5 歳児340 名を対象に、5 歳児発達健診を予備的調査として実施した。一次検査(質問紙調査)126 名、その後の二次検査(対面調査)38 名が参加し、14 名で自閉スペクトラム症(以下、ASD)特性、12 名で注意欠如・多動症(以下、ADHD)特性有りとの判定が得られた。発達特性有りと判定された5 歳児は、東北大学病院での臨床診断および早期療育に繋げられる体制も構築した。同様の方法で大規模に5 歳児発達健診を実施するためには、相当数の専門職の確保、発達障害疑い児の早期療育体制の拡充が必要であり、自治体によって5歳児全員を対象に発達健診を実施する際の課題が浮き彫りとなった。
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