トゥレット症は、発達障害のひとつとされ、その発生頻度は、子どもの1,000人に3~8人とされる。一方、チック症状だけを取り上げれば、子ども5~10人に1人がチック症状を体験するとされている。チック症状自体に対しての認知度は高いが、チック症の中で重症とされるトゥレット症への認識は十分に広がっていない。本稿では、トゥレット症の理解を広げることを目的として、まず、トゥレット症の概要について紹介した。次に、当事者である酒井隆成氏と「これまでのこと、これからのこと」をテーマとした、日本発達支援学会第3回大会で小講演(トークセッション)から、教師を含めた周囲の人々の理解や、居場所づくりといった環境からの影響が大きいことや、理解や支援を得た経験が自ら生活しやすい環境を構築するためのエンパワメントとなることなどについて報告した。
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