支援工学理学療法学会誌
Online ISSN : 2436-6951
2 巻, 2 号
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原著
  • 小川 秀幸, 中野 克己, 笠井 健治, 石井 佑穂, 清宮 清美
    原稿種別: 原著
    2023 年 2 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2023/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー

    【目的】身体障害者更生相談所の判定記録を調査し、更生用短下肢装具作製に関する課題を検討すること。

    【対象と方法】更生相談所の来所判定を受けた脳血管障害者41名を対象とした。来所時の治療用装具の種類と判定された更生用装具の種類、治療用装具から更生用装具を作製するまでの期間、作製理由を調査した。

    【結果】更生用装具は、治療用装具に比べて制動力がより大きい装具に変更となる傾向が見られた。作製までの期間は、全ての装具で障害者総合支援法での耐用年数を超え、平均6.1年以上経過していた。作製理由は、医療関係者からの助言が約半数を占めていた。

    【結論】更生用装具作製に関する課題として、装具使用者は退院後も治療用装具を長期間使用し続けている傾向が高いことが明らかとなった。一方、身近にいる医療従事者がそれらの問題解決に向けた助言をすることで生活に必要な更生用装具作製につながる可能性が高いことが示された。

症例報告
  • 宮川 万里子, 石渡 正浩, 小倉 征慈
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 2 巻 2 号 p. 58-65
    発行日: 2023/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー

    【目的】デメリットが多く選択されることが少ないといわれる糖尿病壊疽による膝関節離断(以下、膝離断)術後の症例を回復期リハビリテーションから外来リハビリテーションまでを経験したので報告する。入院中は義足不適合による疼痛の出現、退院後は治療を要する頻回な断端損傷に難渋した。

    【症例】40歳代男性。右足部糖尿病壊疽、右下腿ガス壊疽により緊急で右膝離断術を施行。術後5週目に当院に入院し回復期リハビリテーション開始。術後21週目に仮義足完成後、自宅退院。その後、本義足作成目的で外来リハビリテーションを開始。しかし、治療を要する断端損傷が2回生じ、義足作成に難渋した。術後110週目に本義足が完成し現在は定期的な外来フォローは終了している。

    【結論】糖尿病の膝離断患者の断端損傷を予防するためには、適合したソケットの作成や、入院中からの患者教育の定着、退院後の継続した指導が重要である。

原著
  • 山本 裕晃, 善明 雄太
    原稿種別: 原著
    2023 年 2 巻 2 号 p. 66-71
    発行日: 2023/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー

    【目的】見学実習の装具療法の現状を明らかにし、装具療法の留意点を見出すことで、装具学の学内教育に活かすことを目的とした。

    【対象と方法】対象は、見学実習を終了した3年制専門学校理学療法学科の学生20名とした。装具の種類に関する9項目と装具の内容に関する11項目について、見学実習に対する装具療法の現状を質問紙によりリッカート尺度にて調査した。

    【結果】装具療法に関して、見学が不十分である項目が多く挙げられた。

    【結論】見学実習にて、僅かながらにも見学がされている項目は見学実習により経験することの可能性が高いことが示唆され、反対に多くの不十分の項目については見学実習における装具療法の現状としてその原因を分析する必要性があると考えられる。

  • 小川 秀幸, 宮原 拓也, 小野塚 雄一, 實 結樹, 松岡 廣典, 澤入 彩佳, 三井 直人, 中野 克己
    原稿種別: 原著
    2023 年 2 巻 2 号 p. 72-79
    発行日: 2023/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー

    【はじめに】先行研究における下肢装具のチェック項目は、選定方法が不明確などの課題が挙げられる。本研究は、下肢装具に関する経験豊富な理学療法士の意見を集約してチェックシートを作成し、内容的妥当性を検証した。さらに、使用感を確認し有用性を高める検討をした。

    【方法】下肢装具チェックシートは、先行研究から選定し、Delphi法を用いて内容的妥当性を検証した。次に、介護支援専門員を対象に実際の使用感に関するアンケート調査を実施した。

    【結果】26項目から17項目を採用した後、類似している内容を集約し8項目のチェックシートとした。アンケートの結果、チェックシートの使用感に関する回答は「分かりやすい」などポジティブな回答が60%以上であった。

    【考察】作成したチェックシートは、内容的妥当性が保証され、使用者の意見収集を実施した有用性の高いものであると考えられた。

    【結論】内容的妥当性を検証し、使用者の意見を反映した有用性の高い下肢装具チェックシートを作成した。

総論
  • 中野 克己, 石森 翔太, 實 結樹, 佐藤 博文, 宮原 拓也, 小川 秀幸
    原稿種別: 総論
    2023 年 2 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 2023/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー

    下肢装具は歩行障害に対して広く用いられ、その効果は多くの書籍や文献で認められている。一方で下肢装具を活用する理学療法士の知識や技術が不足していることが問題となっている。そこで(公社)埼玉県理学療法士会では、令和3年度に装具の普及・啓発活動及び装具作製後のフォローアップを目的として、装具療法地域連携対策委員会を立ち上げた。初年度は、理学療法士対象の研修会を3回、他職種対象の研修会1回の計4回を開催した。理学療法士対象の研修会はすべて100名以上の参加者であった。令和4年度には、装具の修理や再作製に対応する医療施設一覧「装具マップ」の作成と装具使用者に関する実態調査を実施した。今後も装具活用の普及・啓発やフォローアップにつながる研修会や活動を続けていく予定である。

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