ジオテキスタイルシンポジウム発表論文集
Print ISSN : 0913-7882
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  • 小島 謙一, 館山 勝, 丸山 修, 三浦 正宣, 米澤 豊司
    1994 年 9 巻 p. 1-7
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    剛壁面補強土擁壁は、盛土材を選ばないという特徴がある。しかし、現実にはほとんどが砂質土系の良質な材料を用いている。今後、様々なところで施工性をあげかつ経済的なものを構築するためには、粘性土系の盛土材を用いることが要求される。
    長野市内において北陸新幹線長野車両基地が幅約100m、全長約2kmの剛壁面補強土擁壁で建設されている。特徴として、約30mの超軟弱地盤上に施工していること、盛土材に粘性土を用い補強材に織布と不織布のコンポジット材を用いた永久鉄道構造物であることがあげられる。
    本論文では、長野車両基地における軟弱地盤上の粘性土剛壁面補強土擁壁の土/水連成有限要素法による変形予備解析結果、及び実施工状況を示す。
  • 桑野 二郎, 今村 芳徳, 櫻井 実, 今成 達郎, 木村 隆之, 菊地 洋司, 堀江 直樹
    1994 年 9 巻 p. 8-17
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    連続長繊維混入土は、その施工方法から変形強度特性に強い異方性を有することが知られている。そこで、本研究では繊維の打設角度を変化させ、単純せん断試験及び一面せん断試験を行い、異方性を調べた。また、強度及び耐侵食性の向上をねらいとして、少量のセメントを混入した連続長繊維混入土の一面せん断試験を行った。
    その結果、繊維は最小主ひずみ方向に打設されたとき最も補強効果を発揮し、また、セメントを混入することにより強度は増加し、変形を抑えることができた。そして、耐侵食性も向上した。
  • 福岡 正巳
    1994 年 9 巻 p. 18-28
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    伸びないスチールのメッシュを補強材にした高さ15.4mで砂を裏込に使った擁壁と伸び易いHDPEを補強材にした高さ7.5mで粘性土を裏込に使った急傾斜盛土の観測データを解析して、補強材の上下面に働く摩擦力を求めた。その結果、一般に上下面の摩擦力は作用方向が反対で分布も一様ではないことが分かった。粘性土の盛土は完成直後は補強材に殆どひずみが生じなかったが、雨期を通して約5ヵ月放置している間にひずみが大きくなった。これは土中の水分の増加によって、土の物性が変化した結果である。変形を許さない土構造物で、土の物性の変化が予想される場合には盛土の材料の選定を含めて設計に配慮を行わなければならない。
  • 福田 直三, 田尻 宣夫, 苗村 正三, 小野寺 誠一, 趙 三徳, 土橋 聖賢, 石川 重則
    1994 年 9 巻 p. 29-37
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオテキスタイル補強土壁はその利用目的から変形挙動の予測が重要な場合がある。通常,この予測はFEM解析によることが一般的であるが,本報告では極限釣合い法を基本としてジオテキスタイル補強土壁の変形挙動,ジオテキスタイルの張力分布,並びに壁面土圧の推定を試みることを目的とするものである。
    解析の都合上,補強土壁は分割型コンクリートパネル形式とし,壁の前面から支持され,築造終了後にその支持を除去する条件を想定している。また,解析の簡略化のために直線すべりによる試行くさび法(クーロン土圧の方法)を適用し,各パネルの連結部から発生する一連の仮想すべり面に対する釣合い条件を基に補強土壁の内部応力~変形挙動を推定した。
  • 松尾 修, 古関 潤一, 島津 多賀夫, 藤井 照久, 福田 直三, 田尻 宣夫
    1994 年 9 巻 p. 38-46
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    過去の地震時において,軟弱な砂地盤上の多くの土構造物は地盤の液状化によって被害を受けている。土木研究所では,これまでジオテキスタイルで補強した盛土モデルの振動台実験を行っている。この実験では,補強された盛土は基礎地盤の液状化に伴い沈下は生じるが,沈下量は無補強盛土よりある程度小さくなる結果が得られている。このような対策は,沈下低減効果として積極的な対策とはなり得ないが,盛土体はその形状を保持するため,道路あるいは堤防としての機能を維持できる効果を期待できる。
    本報は,以下の3点について述べたものである。
    (1) 二次元地震応答解析に用いた軟弱な砂地盤上に築造した無補強および補強盛土モデルの設定。
    (2) 規模の異なる二種類の地震波形を適用した場合の液状化後の永久変形量について二次元地震応答解析を行った結果。
    (3) 盛土補強による沈下低減効果の考察並びに今後の課題。
  • 宮田 喜壽, 木暮 敬二, 落合 英俊
    1994 年 9 巻 p. 47-57
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年、ジオテキスタイルが、粘性土を用いた盛土施工に水平ドレーン材として用いられる。この場合、ジオテキスタイルの有限透水性を考慮して、材料を選択し設計することが重要となる。本研究の主目的は、ジオテキスタイルを水平ドレーン材として用いる場合の材料選定基準の確立である。本文は、ジオテキスタイルのドレーンレジスタンスを考慮した盛土内間隙水圧の分布とドレーン内の間隙水圧の低下に関する解析法を提案するものである。
  • 草間 一
    1994 年 9 巻 p. 58-68
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    土のうは強度が小さいなどの理由から仮設の補強盛土などに利用されてきた。今回開発した2種類の連結式土のうは、連結材で補強されるため高盛土の補強土等に利用できるものと期待される。
    この報告では、開発した2種の連結式土のうの構造と形状、連結式土のうを用いた高さ6mの補強土の安定性の試算、連結式土のうの試作試験、連結式土のうと別に開発したポスト硬化式コンクリートブロックとの合成補強土の試作試験などについて述べた。
  • 田中 満, 坂口 昌彦
    1994 年 9 巻 p. 69-76
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    筆者等は、ジオテキスタイルを用いた補強土壁の耐震性に関する研究に於て、遠心力載荷実験装置を用いた小型の振動模型実験を行ない、補強土壁の動的挙動確認の資料の一つとして補強材(ジオテキスタイル)に作用する引張力を計測した。この種の実験は、相似則に従ったものであるが、補強材としては、縮小した極めて薄いものを用いなければならない。補強材として極薄の不織布を採用した。しかし、このような極薄不織布へのひずみ計測は大変困難である。その主な理由は、布のような伸びの大きな材料のひずみに追随するゲージおよび接着剤の選定が困難なことである。特に、今回のような動的ひずみ計測に於ては、一般的なひずみ計測技術によって信頼性の高い計測結果が得られるか否か明かではない。
    今回、ジオテキスタイルに特殊な接着材により大ひずみケージを貼って、遠心加速度30G場に於ける加振実験でひずみ測定を行なった。その結果、極めて薄く伸びの大きな不織布のひずみ測定ができ、計測結果は、大型実験の値や計算値とも整合する良好な結果を得た。
  • 高橋 悟, 今泉 繁良, 横山 幸満, 坪井 正行
    1994 年 9 巻 p. 77-85
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    覆土中に埋め込まれたジオメンブレンが引き抜かれる場合、ジオメンブレンの幅を変えることによって,覆土崩壊の様子が変わり、それに伴い単位幅当たりの引抜き抵抗力も変化することが予想される。覆土厚が10cmと20cmの下で、ジオメンブレン敷設幅を1~60cmと変化させて引抜き試験を実施し、敷設幅の変化が引抜き抵抗力や覆土の挙動に与える影響を検討した。その結果、次に示すような結論が得られた。
    (1) この程度の覆土厚さの下では、敷設幅が40cm以上の時、ジオメンブレン上の覆土はジオメンブレンの伸び変形と共に小さな土塊としての移動が後方に進展する。その結果として、引抜き抵抗力はジオメンブレンの下面にのみ摩擦力が発揮されているとして評価した値に等しい大きさとなる。
    (2) ジオメンブレン幅が10cm以下の場合、ジオメンブレンが伸び変形をしても覆土形状は安定している。この時の引抜き抵抗力は、摩擦がジオメンブレンの上下面で発揮するとして評価される値よりも大きくなる。
  • 鈴木 実, 矢口 直幸, 御船 直人
    1994 年 9 巻 p. 86-93
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオメンブレン、ジオテキスタイルの土構造物への適用は鉄道、道路をはじめとして拡大している。こうした材料に要求される機能は主として、土構造物の補強、安定化、排水、土層と水層との分離などである。分離に関しては、ジオシンセティックの貫通抵抗力は最も重要な機能の一つである。しかしながら,こうした材料の耐貫通性能に関しての評価方法は確立されていなかった。そこで、貫通抵抗試験器を開発し、貫通抵抗力を求めた。さらに、時間-温度重ね合わせの原理のもとに貫通抵抗力のマスターカーブを作成した。このマスターカーブを用いて、広い速度領域での貫通抵抗力を予測することが可能となった。
  • 今泉 繁良, 横山 幸満
    1994 年 9 巻 p. 94-101
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    今日用いられているジオメンブレンライナーの厚さ設計法は、強度にのみ着目しており、供用中にジオメンブレンが受ける変形量については考慮していないように思われる。本論文では、簡単な弾性論に立脚した変形を考慮する設計法を提案している。また、2つの計算例が、Koerner法と比較する形で示されている。結論として、以下の事柄が指摘されている。(1)強度と変形を保証するような必要厚さはtre≧{2・D・E・(μUL)・σn}/σAL2.の形で表される。ここに、D,E,μ,σn and σALは、それぞれ、変形量、変形係数、ジオメンブレンと接触材料との摩擦係数、上載圧力、許容応力である。(2)大きな変形を保証するには、ジオメンブレンとその近接材料との間の摩擦を低減するような機構が好ましい。(3)提案した設計法はKoerner法よりも幾分厚めの値を評価する傾向がある。
  • 岩崎 高明, 平井 貴雄
    1994 年 9 巻 p. 102-110
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    斜面からの滑落を防止する目的で、斜面の小段部分や最上部においてジオメンブレン端部を土中に埋め込み、アンカーとして作用させるような使用形態では、その埋め込み長さを決定する上でジオメンブレンと土との引抜きによる摩擦特性の評価が必要である。本報告では、考えられる材料間の摩擦特性のうち、数種類のジオメンブレン材料と、数種類の土試料について引抜き試験による摩擦特性の評価を試みた結果、試験方法および評価方法に関し、いくつかの問題点が生じた。
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