日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
選択された号の論文の867件中301~350を表示しています
大気環境変化にともなう森林の生産性と分布の予測―対流圏オゾンの影響を中心に―
  • Shi Cong, Kitao Mitsutoshi, Komatsu Masabumi, Yazaki kenichi, Tobita H ...
    セッションID: T16-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
  • 北尾 光俊, 小松 雅史, 矢崎 健一, 北岡 哲, 深山 貴文, 小南 裕志
    セッションID: T16-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    大気汚染物質であるオゾンは葉に吸収されることで植物の光合成を低下させるため、森林の二酸化炭素吸収量へのオゾン影響の評価には森林レベルでのオゾン吸収量の推定が必要とされている。しかし、従来の手法では、葉が濡れているときや森林を構成する樹木の一部が落葉している場合には正確な吸収量推定ができず、我が国のように雨が多く、また、落葉樹と常緑樹が混在する森林では、オゾン吸収量の連続推定は困難であった。そこで、フラックスタワーで観測された二酸化炭素吸収速度のデータを用い、光合成依存の気孔反応モデルによってPenman-Monteith法による群落コンダクタンスの推定値を補完することで、従来は困難であった降雨時及び一部樹種の落葉時期の森林群落レベルでのオゾン吸収量を推定する手法を開発した。森林総合研究所関西支所山城試験地のコナラ・ソヨゴ林を対象として、この手法を用いて算出した森林群落レベルでのオゾン吸収量と、フラックス観測による二酸化炭素吸収量との関係について議論する。
  • 久米 篤
    セッションID: T16-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    アジア大陸の工業・都市地域から放出されたNOxやSO2は,オゾン(O3)や非海塩性硫酸塩エアロゾル(SO42-)等に変化しながら,風によって日本に輸送されるため,大陸からの広域大気汚染においてはO3とSO42-の濃度変化が相関し,複合汚染として作用する.その影響は,離島や山岳域の大陸側に面した斜面で顕在化することが多い.屋久島のヤクタネゴヨウにおいてもO3濃度とSO42-負荷量との間には高い相関があり,冬季の濃度上昇期には針葉からのK+の溶脱量やエチレン放出が大幅に増大し,大きなストレス要因となっていた.富山県立山のハイマツ林冠では,針葉への霧や降雨の付着に伴い,窒素が葉面から吸収されると同時に,多量のK+やMg2+が葉面から溶脱し,特にK+は針葉の濡れ時間とSO42-負荷量に比例していた.貧栄養環境下においてSO42-負荷量は,樹体の栄養塩バランスに大きな影響を及ぼす可能性が高く,2006年までの負荷量の急増は日本の森林に大きな影響を及ぼした可能性が高い.一方,2006年以降,中国の大気汚染対策が進み,SO42-負荷量は減少傾向にあるが,O3濃度には変化が見られないため,森林への影響変化を注意深く見守る必要がある.
遮断蒸発研究のあり方を議論する-森林管理に伴う公益的機能評価に向けて-
  • 篠原 慶規
    セッションID: T17-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    近年,西日本を中心としてモウソウチク林の拡大が報告されている。著者は,共同研究者と共に,モウソウチク林の拡大が,森林の公益的機能に与える影響を解明すべく研究を行っている。その一環として,蒸発散の主要な要素となる遮断蒸発量についても,モウソウチク林において計測を行い,他のモウソウチク林の計測結果,他の森林タイプの計測結果と比較を行った。著者らの計測結果も含め,国内のモウソウチク林の遮断蒸発量の計測例は3例存在する。これらの3つのモウソウチク林の林分構造(立木密度など)は異なるが,遮断蒸発量が降水量に占める割合である遮断蒸発率は,どのモウソウチク林でも概ね10%となり,他の森林タイプで計測された遮断蒸発率よりも小さかった。このことから,モウソウチク林は,その特有な樹冠構造が遮断蒸発量を小さくしていると考えられる。このことは,遮断蒸発のメカニズムを議論する上で有用な情報となろう。
  • 小田 智基, 江草 智弘, 大手 信人, 武田 愛美, 堀田 紀文, 田中 延亮, 鈴木 雅一
    セッションID: T17-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    本研究では、スギ幼齢林における樹冠遮断量の長期観測に基づき、スギの成長に伴う樹冠遮断量の変化とその要因を明らかにすることを目的とした。対象地は、東京大学千葉演習林袋山沢試験地におけるスギの幼齢林と壮齢林とした。幼齢林では樹齢7年、11、12、13年時、壮齢林では80、87、88、89年時において林内雨、樹幹流を計測することにより、樹冠遮断量を推定した。その結果、7年生から13年生への成長過程で、樹冠遮断量は大きく変化せず、樹冠遮断量は降雨の10%以下であった。それに対し80~90年生のスギ林では20%程度であった。開空度やLAIは同程度であったが、明らかに壮齢林よりも幼齢林で樹冠遮断量は小さかった。さらに、幼齢林において斜面の上部と下部で分けて樹冠遮断量を調べた結果、斜面上部の方が樹木の成長が遅いにも関わらず、下部よりも樹冠遮断量が大きいという結果になった。これらの結果から、成長過程の樹冠遮断量の変化には、樹冠の構成に加えて、流域内で生じる微気象条件の分布が大きく関与していると考えられる。
  • 飯田 真一, 清水 貴範, 玉井 幸治, 延廣 竜彦, 壁谷 直記, 清水 晃
    セッションID: T17-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    【目的】蒸発要求の小さい降雨時の現象にも関わらず、遮断量(I)は林分水収支の大きな割合を占めているが、そのメカニズムには不明な点が多い。高時間分解能での計測事例の不足が、その一因であると考えられる。そこで、林外雨(GR)、樹冠通過雨(TF)、樹幹流(SF)を高時間分解能で計測し、Iの変動傾向を検討した。【方法】茨城県筑波山系南部に位置する筑波森林水文試験地のスギ壮齢林分を対象とした。尾根部開空地において転倒マス型雨量計でGRを計測した。幅20cm、長さ10mの樋2台でTFを集水するとともに、対象林分内の全14個体のスギのSFを計測対象とし、各16項目を転倒マス型流量計で計量した。同時に、直径20cmの貯留型雨量計30台を用いてTFを別途計測した。【結果】樋によるTFは貯留型雨量計のTFと良い一致を示し、樋の測定精度の妥当性が確認された。降雨開始からIの時間値は正の値を示したが、降雨後半ではGRとは無関係にIは減少する傾向を示した。さらに、降雨中盤の大きなGRの後、Iの時間値は一時的に負の値を示した。これらの傾向から、Iの時間値は樹体表面の雨水の飽和度に依存している可能性が示唆される。
  • 村上 茂樹, 鳥羽 妙
    セッションID: T17-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    樹冠遮断による蒸発は降雨強度に比例して増加するが、そのメカニズムは未解明である。本研究では模擬木(プラスチック製クリスマスツリー)を用いて、自然降雨による樹冠遮断実験を行い、降雨中蒸発と樹高・林分密度依存性について検討した。模擬木は高さ65cm、110cm、及び240cmの3種類を用い、それぞれトレイ上に41本配置(樹冠はほぼ閉鎖)したところ、樹冠遮断は樹高と伴に増加する傾向を示した。次に、高さ110cmと240cmの林分を間伐してトレイ上の本数を25本に減らすと、110cmの林分では樹冠遮断が増加し、240cmの林分では減少した。この結果から、樹高や葉量のみでは表現できない樹冠の空間構造が樹冠遮断の重要なパラメーターであることが示された。単木重量から推定した林分貯留水量と林内外の雨量から降雨中の蒸発を時間分解能5分で算出したところ、蒸発のほとんどが降雨中に生じており、降雨休止中の濡れた樹冠からの蒸発はほとんど無いことが分かった。これは降雨自体が蒸発の原動力となっていることを示しており、飛沫蒸発を裏付ける結果となった。
  • 仲吉 信人, 神田 学, 森脇 亮, 河合 徹
    セッションID: T17-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    都市キャノピ-(以下CP)の遮断蒸発(以下RI)研究は、森林CPでの研究に比して数が限られている。その理由は、都市CPでのRI計測の難しさにある。樹冠下空間を有する森林CPでは、鉛直1次元的な降雨-流出計測からRI評価が可能であるが、都市CPでは水収支の3次元的な評価が必要であり、実都市では有意な精度でRIを評価することが難しい。著者らは、水収支を簡略化可能な屋外準実都市模型(COSMO)上で、実降雨に対するRI計測を9ヶ月間行った。COSMOは、実都市との力学・物理相似性を有しており、ここで評価されたRIは都市CPからのそれと見なされる。
    都市CPでのRIは以下の特徴を有しており、森林CPのそれと量・動態の両面で様相が異なっていた。
    ①都市CPのRIは総降雨量の6%であった(森林CPでは20-50%程度)。
    ②都市CPでは飽差がRIを駆動していた。
    ③都市CPのRIを支える熱源は晴天時のCP蓄熱量であった(森林CPのRIは熱収支的に説明出来ない程多い)。
    これらの違いをもたらす要因として、都市と森林のCP構造の違いがもたらす、有効蒸発面積、空気力学的粗度、CP熱容量の違いに焦点を当て、両者のRIメカニズムについて考察する。
  • 田中 延亮
    セッションID: T17-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    地形等の影響により、霧が頻繁に発生するような森林の樹冠水収支を考える場合、降雨の樹冠遮断とは別に、霧の樹冠遮断についても考慮する必要がある.ただし、樹冠による降雨の遮断はよく知られた現象であり、また、その測定方法がある程度確立されているのに対して、霧の遮断については、そのメカニズムや量的な重要性などが十分に理解されておらず、また、その測定方法も様々で確立されていない.筆者はこれまで、霧が発生するようなタイの山地林において、林外雨、林内雨、樹冠上の霧の並行観測をおこない、同森林サイトでは、降雨を伴わず、霧の樹冠遮断だけで林内雨が発生するようなケースは稀であるが、降雨中あるいは降雨と前後して発生した霧の樹冠遮断により、少なく見積もっても3年間で300 mm以上の林内雨が発生していることを報告してきた.ここでは、タイ山地林での霧と降雨の遮断の観測結果を具体例として紹介しながら、霧の遮断のメカニズムとその計測法、樹冠水収支における重要性、今後の課題について整理したい.
  • 鈴木 和良
    セッションID: T17-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】積雪地に生育する森林の降水遮断については,降雨遮断とともに降雪遮断が重要なプロセスである.降雪遮断は,森林内の積雪水量を減少させ,さらに融雪洪水流出ならびに融雪水の土壌への供給を減らす.日本における降雪遮断の研究は,1950年頃から四手井らによって精力的に行われ,近年の水文気候学的な降雪遮断研究に至っている.その主だった研究については,鈴木ら(2006)にまとめられている.本発表では,筆者が直接あるいは間接的に関連した降雪遮断研究を中心として,これまでの研究をレビューする.
    【方法】具体的な内容は,以下の4部から構成される.1.降雪遮断の遮断率,2.樹冠への最大冠雪量,3.大気との水・エネルギー交換,4.広域の降雪遮断評価,である.さらに,今後の課題等についても述べる.
  • 小松 光
    セッションID: T17-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は,遮断蒸発現象そのものを議論するのではなく,遮断蒸発の森林水循環における重要性を示すものである.題材として,筆者が作成中の「スギ林,ヒノキ林の管理(成長,間伐,皆伐)による年流出量増加(dQ)の推定法」を紹介する.この方法はdQ=-dEi,dQ<-(dEi+dEt)を仮定する.dEi,dEtはそれぞれ,管理による年間遮断蒸発量,年間蒸散量(上層木)の増加である.前者の式は,dEtが林床面蒸発散量の変化と打ち消しあうことを仮定した式であり,dQの概算に利用できる.後者の式は論理的に成立する式で,管理による年間流出量制御ポテンシャルの評価に利用できる.
    dEi,dEtは,それぞれ43,13の計測データをもとに,管理前後の立木密度と直径,気象要素の関数として表現された.dQが計測データより得られる6試験地について,dEiとdEtを計算した.dQはdEiによってよく近似された(R=0.93,回帰直線の傾き=0.89).また,dQは概ねdEi+dEt以下であった.これらの結果は,dQ推定においてdEi推定が一義的に重要であること,dEt推定は補足的な意味を持つにとどまることを意味する.
ポスト“ESDの10年”を見据えた森林教育
  • 木山 加奈子, 井上 真理子, 大石 康彦, 土屋 俊幸
    セッションID: T18-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    「屋内外に存在する様々な資料により森林に関する学習が可能な、開かれた施設」(木山・土屋,2014)である森林学習施設は、森林環境教育の場として、いつでも誰でも利用できるという特徴を持つ。森林学習施設は全国に992もの数があり、その設置には林野行政だけでなく環境行政、社会教育行政の関わりが見られる(木山ら,2014)。そのため、様々な教育内容を提供していると考えられる一方で、その実態は不明確である。そこで、森林学習施設の特徴を捉えることを目的とし、施設の名称に着目して、その共通部分を抽出することにより分類を行い、分類ごとに施設の設置年や設置者、施設の設備などの特徴を把握した。
     その結果、全体の約6割が名称に「森林公園」、「ビジターセンター」などの共通部分を持っていた。数が多かったものは「少年自然の家」(96施設、9.7%)、「ビジターセンター」(79施設、8.0%)、「森林公園」(51施設、5.1%)などであった。設置年と設置者の検討においては、多く設置された時期など、分類間で特徴がみられた。施設の設備に関しては、「自然観察の森」のように類似性を持つものがある一方で、「森林公園」のように多様性を持つ施設も含まれていた。
  • 青柳 かつら
    セッションID: T18-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】日本の中山間地域では、住民の社会生活の維持や地域資源の管理が危機に瀕している。地域資源の魅力を探索し活用するツール、地域資源マップに着眼し、住民参加型のマップ製作の効果を明らかにすることを目的とした。【方法】士別市朝日町において、1)地域資源マップの製作過程と得られた効果を参与観察し、2) アンケートで製作を担当した博物館ボランティアのマップへの評価と地域づくりへの参画意識の変化を把握し、3)マップに関連した講演会での中学生の感想文から学習効果を分析した。【結果】流域からの関心の獲得を契機にボランティアの自主性が向上し、全体会議6回、作業部会4回、関連行事3回を経てマップが完成した。アンケートでは、ボランティアは、町の魅力を再発見できた点、異世代交流や地域交流に役立つ点などで、マップを高く評価していた。ボランティアの地域づくりへの参画意識は、マップ製作前後で高く保持された。中学生の感想文には、講演会によって地域資源への訪問意欲や町の歴史を評価する価値観の形成が見られた。マップの活用や関連行事を継続的に実施し、地域がこれらの効果を自治する力として具現化することが課題である。
  • 井倉 洋二
    セッションID: T18-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
     鹿児島大学高隈演習林では、1999年より地域の子どもたちや市民を対象とした森林環境教育プログラムを実施している。2006年には地元集落の閉校した施設を活用して、垂水市が「大野ESD自然学校」を開設した。演習林でのプログラムは自然学校に引き継がれ、演習林職員、地域住民および学生らの協働により運営されている。学生はボランティアまたは授業で参加し、環境教育の実践的な学びの中から自身を成長させる場となっている。
     自然学校での活動を通じた地域住民との交流の中で、自然と共生した農山村の暮らしの知恵や文化を次世代へ伝えていくことが、持続可能な未来社会に繋がることを実感し、そのためには農山村に新たなビジネスを生み出すことが必要であると感じるようになった。
     そして2013年~、新たなチャレンジが始まる。NPO法人「森人くらぶ」を設立し、自然学校でやってきた活動を事業化し、ソーシャルビジネスを起業しようとするものである。NPOは学生が主体的に経営に参加することで、農山村でのコミュニティービジネス起業の実践的な学びの場となり、持続可能な地域社会の創出に貢献できる人材育成、さらに新しい時代の大学教育につながるものである。
  • 井上 真理子, 大石 康彦, 東原 貴志
    セッションID: T18-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    森林や林業,木に対する一般の人々からの理解を得るための森林環境教育や木育が推進されている。普及効果を高める方法として,森林や木に関する教育(森林教育)が学校教育で行われることが挙げられる。これまでにも,森林教育は理科や社会科などで実践されてきているものの,森林教育の実践校は限られている。学校の教育課程で森林教育が位置づけられれば,より多くの学校で森林教育が行われる可能性が高まるであろう。そこで本稿では,森林教育の目的・内容と学校教育(普通教育)の教科・科目等および環境教育(ESDを含む)とを比較して,学校教育と森林教育の関連性を検討した。森林教育は,井上・大石(2014)による「森林での直接的な体験を通じて,循環型資源を育む地域の自然環境である森林について知り,森林と関わる技能や態度,感性,社会性,課題解決力などを養い,これからの社会の形成者として,持続的な社会の文化を担う人材育成を目指した教育」の定義を用いた。その結果,教育内容に森林や樹木が明記されることは少ないものの,教育目的との共通性を見出だすことができ,森林教育の実践を通じた教科等の教育目的の達成を図れる可能性が考えられた。
  • 丸山 翔平, 東原 貴志, 井上 真理子, 大谷 忠, 荒木 祐二
    セッションID: T18-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,中学校技術・家庭科における生物育成技術としての林業教育の指導内容を検討するため,中学校職業・家庭科時代の学習指導要領で扱われていた造林の技術に関する知識・理解についての指導内容と,職業・家庭科教科書ならびに現在の技術・家庭科教科書における林業に関する学習内容を抽出し,高等学校学習指導要領解説農業編の指導内容と比較・整理した。これらを林木の育成を中心とした林業の知識に関する指導内容と考え,中学校における作物を栽培する上での指導の流れに沿って,作物を栽培する準備段階,作物を生み出す段階,作物を育てる段階,作物の利用段階に分類した。
    その結果,気象因子,土壌因子,生物因子の内容を追加することにより,林木の育成技術について準備段階から終期段階まで一貫した指導内容で構成されることがわかった。
  • 荒木 祐二, 中田 圧史, 東原 貴志, 井上 真理子, 大谷 忠
    セッションID: T18-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    中学校技術科の「生物育成に関する技術」では,農林水産の一翼を担う林業も学習対象となっている。しかし,林木の育成には長い歳月がかかる上に広範な土地が必要であることから,林業を学ぶための時間や空間の確保が難しい。そこで本研究では,短期間かつ省スペースでの栽培が可能であるハツカダイコンの容器栽培により,間引き技術と収量の関連性を明らかにし,林業における間伐効果の理解を促す題材の開発をめざした。
    調査は,2013年8~10月に人工気象室内にてハツカダイコンのプランター栽培を行い,間引きの回数やタイミング,間引き率,播種間隔の異なる9通りの栽培条件を設定した。その結果,(1)林業の間伐方法を踏襲した条件において,ハツカダイコンの根茎重量と草丈が最大となること,(2)初期段階の間引きの遅れが根茎の生育を阻害すること,(3)間引きを行わない条件に比べ,密植した状態から適切な間引き施業を行った条件の方が,収量が増加することが明らかになった。本結果は,林業における間伐施業の意義を間接的に示すものであり,ハツカダイコンの容器栽培をとおして,生徒たちに間伐施業とその効果についての理解を促すことが可能となることが示された。
  • 中島 皇, 山下 貴之, 岡本 亮, 宮沢 敬治
    セッションID: T18-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
     森林には我々の現代社会とはかなり異なった時間が流れている。頭ではこのことを理解していても、現実の感覚を持っている現代人は多くはない。特に森の時間を経験したことの少ない若者や子供達、また、都市に住み便利で快適な暮らしに慣れてしまった人たちにとっては、どうしようもない経験不足・実感不足を引き起こしている。その結果、経済性や効率性の追究のみが是であるような錯覚を持った、局所最適化ばかりに気をとられた社会が出来上がった。自然の法則や人間の限界など基本中の基本が我々人間の中で忘れ去られている。
     このように重要な感覚を養うためには、どのような経験や知識が必要になるのであろうか。この問に答えるために森林教育プログラムを作成・実施して、参加者の反応を調べることにした。具体的には環境保全活動に熱心な企業との協働で森林環境プログラムを作成・実施し、参加者である企業の従業員とその家族にアンケートを行って意見や感想を収集した。
     今回は実施された幾つかのプログラムを参加者からの感想や意見を含めて紹介すると同時に「森の時間」に関係する事例についても紹介してみたい。
    連絡先:中島皇tnakashi@kais.kyoto-u.ac.jp
  • 山口 登
    セッションID: T18-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
     木曽山林学校は1901(明治34)年開校の日本最古の林業専門の実業学校である。林業教育の草創期おける学者・研究者との関係を、同校の資料をもとに明らかにすることを目的とした。資料は、木曽山林学校の生徒・教職員・卒業生の三者の組織である校友会の『校友会報』に掲載された講演会や林業の現場での指導の記録、『大日本山林会会報』、『東京帝国大学一覧』等をもとにした。その結果、本多静六(1866~1952)が果たしていた役割が以下の3点にまとめられた。第一に山林学校がつくられる前段階において、大日本山林会の講演会で造林と林業教育の必要性を説き、学校設立を模索していた木曽地方の若手幹部に方向性を示した。第二に自らの教え子である木曽山林学校初代校長の松田力熊(帝国大学農科大学林学科卒)によって本多流の林業教育が実践された。第三に直接生徒に技術教育の基本を教授するとともに、人間教育という側面から青年の生き方を熱烈に説いた。
     我が国における林業教育の出発時点において、本多静六を中心にした学者・研究者らが、実業学校での教育、いわゆる啓蒙的なことに時間を惜しまず真摯に取り組んでいたことが明らかになった。
  • 大石 康彦, 井上 真理子
    セッションID: T18-09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
     わが国の森林教育は1882年の東京山林学校設置に始まり、現在では幅広い内容を持つに至っている。しかしながら、1925年以降90年近い森林教育研究のなかで、森林教育全体を体系的に整理した例はみあたらない(大石・井上 2014)。筆者らはこれまで、森林体験活動が成立するために必要な要素として森林、体験者、ソフト、指導者をあげ(大石 2001)、森林教育の内容として森林資源、自然環境、ふれあい、地域文化をあげた(井上・大石 2010)。このように、森林教育をとらえる切り口は提示されているものの、森林教育全体を体系的に整理するには至っていなかった。そこで本論では、これら既往の研究を手がかりに森林教育の体系化を試みた。その結果、森林教育全体を、(1)歴史・経緯、(2)社会・地域、(3)活動現場の3相でとらえ、これらを共通して律するものとして、森林教育の目的・内容を位置づけることができたので、ここに試論として提示する。すなわち、(1)歴史・経緯においては目的・内容の分化、(2)社会・地域においては目的・内容と実施主体の関係性、(3)活動現場においては目的・内容と活動現場の構成要素の関係性が、各相の構造を規定するものと考えられた。
よりよい明日のための熱帯林研究
  • Takeshi Toma
    セッションID: T19-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    Deforestation and degradation of tropical forests have been continued at alarming rate more than several decades. To address the problems surround tropical forests requires good information, serious thinking, informed dialogue, experimentation and learning from past mistakes. Considerable works to address deforestation and degradation of tropical forests as well as to promote sustainable use of forests have been conducted in the world for many years. There are rich experiences but they are not utilized well. One of the biggest obstacles has been the poor flow of information between stakeholders including researchers. We often fail to share our findings with each other. I hope that our theme symposium helps to solve this problem by providing opportunities to know each other in this research filed. The symposium is not an end but a start to build a better tomorrow through dialogue among participants.
  • Masazumi Kayama, Reiji Yoneda, Iwao Noda, Sutjaporn Hongthong, Suchart ...
    セッションID: T19-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    【Introduction and Method】In northeast Thailand, teak (Tectona grandis Linn.f.) plantations have been expanding. However, the typical soil in northeast Thailand is light textured sandy soil, and growth of teak is suppressed by low water retentivity. We practice an experiment to select a material for improvement of water retentivity. We prepared four materials (charcoal, bentonite, perlite, and corn cob) for improvement of water holding capacity, mixed 4% into sandy soil, and planted teak seedlings.
    【Results】Bentonite showed high capacity to improve water retentivity, water potential of teak seedlings was high, and their leaf biomass was no decrease even in dry season. Charcoal and perlite were decreased leaf biomass of teak seedlings in dry season, and water holding capacities were probably inferior to that of bentonite. In contrast, corn cob increased permeability, as a result, growth of teak seedlings were suppressed.
  • Nyein Chan, Shinya TAKEDA, Yasuyuki KOSAKA, Lamphoune Xayvongsa, Khams ...
    セッションID: T19-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    This study focused on biomass recovery in forests fallowed after swidden agriculture in a Khmu village, northern Lao PDR. In total, 20 sample plots were randomly set up by nested sampling design in 3-, 5-, 7- and >9-year-old fallows and in the conservation forests nearby the village settlement area. The above-ground biomass (AGB, including trees, bamboo and understory) were estimated by a destructive sampling method. The AGB in 3-, 5-, 7- and >9-year-old fallows were 13.67, 31.39, 35.89 and 68.15 Mgha-1 respectively, while the value was 73.03 Mgha-1 in the conservation forests. Despite being, fallowed land, the average AGB for >9-year-old fallows was about 93% of the total AGB in the conservation forests. In general, biomass accumulation is very rapid compared to fallow recovery in Myanmar, where the AGB accumulation in 30-year-old fallows is about 83% of the total AGB in old forests.
  • Thinn Thinn, Takeda Shinya
    セッションID: T19-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    This paper investigates the recovery of the mangrove forests in the Ayeyarwady Delta that were degraded by cyclone Nargis in May 2008. Field data were collected in December 2012 through household surveys in a village. Changes in height were assessed both in RS/GIS and field measurements. The heights of a sample of 32 trees derived from the model compared with the field heights of the same trees. Avicennia officinalis was the dominant species. The mean heights were 4.5±1.3 m and 8.9±1.0 m in the model and the field, respectively. The relative height of the trees in the model was observed with an accuracy in the range of 0.2 ? 1.4 m. The stereo model and the field survey showed an increase in the height of the trees. After local people recognized that mangrove forests minimize the loss of life and property damage during a cyclone, mangrove forests were recovered near the village as the human impact on these forests diminished.
  • Ali Suhardiman, 露木 聡
    セッションID: T19-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    Tree crown forms the structure of forest canopy. It can be estimated from the ground by measuring its vertical projection but vulnerable to yield errors. On the other hand, very high spatial resolution imagery is now available which brings opportunity to estimate tree crown size from different angle. In this study, 0.15 meter pan-sharpened color digital aerial photo of Mahakam delta in East Kalimantan, Indonesia was explored to estimate tree crown size of mangrove. The geostatistical technique was applied to the image by calculating the semivariance of pixel pairs and fitting several mathematical models to semivariogram graph. The model parameter i.e. “range” was used to estimate the tree crown size. Comparing to the ground measurement of 4 plots, our study revealed the potentiality of semivariogram in estimating mangrove tree crown size. However crown size of mangrove plantation plots had slightly under estimated while natural mangrove showed convincing estimation
  • Nguyen Tam, Masuda Misa, Iwanaga Seiji
    セッションID: T19-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    Despite many initiatives working on the restoration, mangrove forest area in Vietnam has been steadily decreasing for decades, from 408,500 ha (1943) to 96,322 ha (2009). Restoration efforts as well as studies tend to focus on large-scale concentrations, and less attention has been paid on small-scale mangrove conservation. We focused on small-scale mangrove conservation and characteristics of mangrove as well as its values in Thua Thien Hue province. From the results of interview for households survey by questionnaires (76 of 420 households was selected), it can be divided into two groups (G1 and G2) that impact or not impact mangrove. We recognized that G1 gave impact to mangrove not only by their occupation but also their gathering firewood. However, G1 has higher perception and much more attention than G2. So can they become “effective conservationists”? We estimated the potential of community-based small-scale mangrove conservation for answering that question.
  • Vo Thu, Masuda Misa, Iwanaga Seiji
    セッションID: T19-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    This study examined the applicability of community-based forest management (CBFM) to protection forests, particularly to mangrove forests in GiaoAn commune- a buffer zone of XuanThuy National Park, Viet Nam. Field survey was conducted by randomly interviewing 72 households, of which 38 households were members of CBFM. CBFM activities consisted of mangrove planting, removing harmful oysters from the stems, collecting mangrove fruits, and patrolling. The result showed local people highly depended on mangrove environment for their livelihoods. As high as 78.9% of CBFM members evaluated mangrove forest as “very important” while non-members accounted for only 52.9%. Members also joined in more activities (4 activities) than non-members did (2 activities including mangrove planting and removing oyster). However, respondents answered that the benefits from mangrove resources decreased over the last three years, which may lead to lack of motivation in participating in CBFM.
  • Mardiana Wachyuni, Lilik Budi Prasetyo, Ellyn Kathalina Damayanti
    セッションID: T19-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    In Indonesia, production forests located in Java is managed by State Forestry Corporation (Perhutani). Since 2001, Perhutani has been implementing Management of Forest Resources with Community (PHBM). The first implementer of PHBM is Kuningan District. This study aims to determine level of reforestation and identify socioeconomic factors associated with reforestation. Two types of surveys were conducted: land cover change and household survey. From the result of these surveys, PHBM villages in Kuningan District had higher increases in reforestation. There were one village taken as sample area namely, Segong Village with reforestation of about 6.77 ha per year. Based on statistical analysis using logistic regression models, it was found that socioeconomic factors have gave significantly affect to reforestation was participation in the reforestation of state forestry activities.
  • Kasukoyo Hari, 井上 真
    セッションID: T19-09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    This study analyzed the contribution of Community Forest (CF) program in protection forest on the local people and forest by using livelihood capital framework. The study is conducted in Lampung Province of Indonesia where CF has been implemented for almost two decades. Data was collected by interviewing 120 purposefully selected farmers from three villages located around protection forests. The study found that CF has improved human capital of farmers through trainings on forest and farmer’s group management; natural capital by increasing the number of trees planted, planting agroforestry crops in their farmland and; financial capital by increasing their income by selling NTFP. Although the management of the protection forest under CF has also improved, the ongoing conversion of it to plantations dominated by coffee and rubber needs consideration of balance between income generation for local people and conservation of biodiversity.
  • Palihakkara Indika, Inoue Makoto
    セッションID: T19-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    Trees inside tea plantation of Marginal Small Tea Farm holders (MSTF) of Sri Lanka play a pivotal role to sustain production of tea and livelihood of the farmers. This study identified tree species found inside tea plantation of MSTF in Matara and Badulla district which represent lowland and highland tea plantation of the country. Data was collected by observing tea plantation of and conducting questionnaire survey for 50 marginal tea farmers from Matara and 31 from Badulla. Five species in Matara and eight in Badullah were identified. The purpose of each species varied from proving shed to and mulch for tea plantation, to providing edible food, medicine, fuelwood and timber to local people. Gliricidia sepium was found to be dominant in both district followed by Milia azedarach , Albizzia moluccana and Calliandra calothrysus,Erythrina lithosperma in Matara and Badulla respectively. The smallest land holders had the highest density of most of the identified species.
  • KC Birendra, 井上 真
    セッションID: T19-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    The aim of the present study is to augment understanding on the processes of rural income generation and diversification in eastern Terai Region of Nepal under the Community Forestry (CF) Program, a much appreciated devolution policy in the country that aims to protect and conserve natural forests as well as fulfill local resource needs. Specifically, it explores the relationship between household occupational characteristics, asset endowments and income-generation patterns using descriptive and econometric analysis. Data collected through a household survey show land-holding to be the most significant factor in determining the income source as well as diversification pattern, mostly in the form of livestock retention as sources of non-farm income was closely linked to participation in CF activities. Fuelwood and fodder from CF were the most important inputs for income. On the basis of these findings, forest policy implications for household livelihoods are drawn and recommended.
  • Ms EI, Shinya TAKEDA
    セッションID: T19-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    [Objective] This study was conducted at three different sites in the Bago mountains, Myanmar, where taungya teak plantations have been expanded by both the Forest Department and the private sector in recent years, to explore changes in livelihoods of local residents especially after the expansion of private plantation programs. [Method] A household survey was conducted at each study site by using a semi-structured interview with the head of each household and field observation with the help of informants from the plantation programs. Information acquired by the interviews was household structure, crop production, subsistence satisfaction through cultivation, income generating sources and so on. [Results] It was observed that there were diversifications of local livelihoods not only in crop production system but also in off-farm activities. This was also related with labor availability in teak plantation programs.
  • Toda Miki, Masuda Misa
    セッションID: T19-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    The importance of medicinal plants for health and as possible income source in the developing countries is internationally recognized. However, utilization of medicinal plants from the viewpoints of both health care behavior and commercial activity has not yet been studied. Focusing this point, the study examines the use of medicinal plants in the relation to the medical services and commercialization of medicinal plants based on household survey and interviews in a native community of Shipibo in the central Peruvian Amazon. The result shows that although people use medicinal plants for health, there is a strong dependency on medical service and drugs. Within the community, medicinal plants are sold only in a form of remedies in a small extent. It indicates that, while medicinal plants are not much commercially demanded locally, only limited people who have skills and knowledge to prepare remedies are able to sell medicinal plants.
  • Kazi Kamrul Islam, Takahiro Fujiwara, Noriko Sato
    セッションID: T19-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    Bangladesh agriculture is dominated by small-scale subsistence farming, but the farmers do not get proper prices for their products due to improper marketing systems. This study analyzes agroforestry marketing channel and the impact of intermediaries on marketing and also identifies the major problems of marketing in Bangladesh. The study conducted at Madhupur Sal forests and data were collected through questionnaires surveys. Agroforestry markets were characterized by the involvement of many intermediaries; thus, the marketing channel is complex and long for both crops and woody products. The study also identified the poor road infrastructure, lack of storage facilities together with intermediaries’ unanticipated interference. So, there is an immediate need to introduce farmer cooperatives in order to handle the intermediaries, and harmonizing and executing marketing legislations.
  • Mohammed Abrar, 井上 真
    セッションID: T19-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    With 85% of the population engaged in agriculture, land is an important capital for the Ethiopian rural population. This study aimed at providing preliminary insight on the role previous land reforms played in livelihood of forest dependent local people. Household established in distinctive land tenure eras, i.e. prior to 1973 (feudal era), between 1975- 1994 (socialist era) and current regime (post 1995) are compared with respect to selected socioeconomic parameters. The result showed that early established households maintain upper level while the recent established lag behind. The dependency on the forest seemed to increase for all groups, albeit with different degree. The constriction of land for the newly established household, together with current poor wealth and high proportion of dependents means the dependency on the forest will continue unabated. A comprehensive intersectoral policy from education to health and to land reform is needed to minimize future forest dependency.
人工林の高齢級化にどう向き合うべきか?-持続的な管理と利用を目指して-
  • 宮本 和樹, 酒井 敦, 大谷 達也, 伊藤 武治, 佐藤 重穂, 河原 孝行
    セッションID: T20-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    間伐は樹冠管理の技術であるといわれるように、樹木の樹冠サイズ(樹冠長、樹冠長率、樹冠幅など)は人工林、とりわけ長伐期の人工林管理を行ってきた人工林において、間伐の際の重要な選木基準のひとつと考えられてきた。しかし、実際に樹冠サイズとその後の個体成長との関係をみると、両者の相関が必ずしも高くない場合もみられ、個体成長を予測する上で有効な指標としては、樹冠サイズよりもむしろ期首の胸高直径や個体間の配置(競争効果)が重要であることが示されるようになってきた。それでは、人工林を管理する上で樹冠サイズはそれほど考慮する必要はないのであろうか?本発表では四国地方の壮齢および高齢人工林の調査事例を紹介しつつ、樹冠サイズとその後の個体の成長との関係を壮齢段階と高齢段階で比較し、高齢級化する人工林の管理における樹冠サイズの有効性について考察してみたい。その後、テーマ別シンポジウム(T20)の趣旨を簡単に説明する。
  • 新田 響平, 金子 智紀
    セッションID: T20-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    標準伐期を迎えたスギ人工林を高齢林に誘導していく過程において、間伐による密度管理は不可欠である。しかしながら、間伐時における保残木と間伐木の選木基準についての知見は少ない。著者らは、諸被害に対する抵抗性と成長の持続性という視点から、長伐期化に適応する個体の形質として養水分の供給や樹体の支持を担う「根張り」に注目した。秋田県湯沢市秋ノ宮地内の43年生及び86年生のスギ人工林を対象として、根張り直径(根株地際直径)、相対根張り直径(根張り直径/胸高直径)によって成長量や形質を分析し、選木指標として利用できるか検討した。その結果、根張りは86年生林分において密度の影響を受けるとされる樹冠長率と弱い相関が見られ、根張り直径が大きくかつ相対根張り直径が大きい個体ほど樹冠長率が高く、上層木である個体が多い傾向にあった。一方、43年生林分ではそれらの傾向が見られなかった。平均相対根張り直径は43年生に比較して86年生の方が小さかった。これらのことから根張りは成長に伴いサイズが大きくなるだけでなく、その形状も変化していることが示唆されたものの、指標化には今後さらに調査を進めていく必要があると考えられた。
  • 正木 隆, 櫃間 岳, 八木橋 勉, 杉田 久志, 長池 卓男, 斎藤 哲, 壁谷 大介, 梶本 卓也, 太田 敬之, 梶谷 宜弘
    セッションID: T20-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    スギ、ヒノキの高齢人工林において、個体間の競合が生じている距離スケールを解析し、樹種、地位、林分構造との関連を分析した。解析には、東北地方から70年生のスギ林2林分、100年生のスギ林2林分、茨城県の110年生ヒノキ林3林分、山梨県の100年生ヒノキ林1林分、の計8林分のデータを用い、方法はMasaki et al. (2006) JFR 11:217-225と同様に、個体の直径増加とその周辺の半径xメートル以内の他個体のBAの相関係数を計算し、xの増加にともなう相関係数の値の変化から競合距離スケールを推定した。その結果、スギ林においては、各個体は地位・林齢・林分平均直径に関係なく半径8~10m以内の個体と競合していると推定された。ヒノキ林においては、スギよりも狭い4~7m以内の個体と競合していると推定され、また競合距離は林分平均直径と正の相関を示した。以上のことから、スギ林で長伐期施業をおこなう場合には、林分状況に関係なく個体間距離8-10mを基準にそれよりもどれだけ密に管理するか、という考え方が基本となり、ヒノキ林では林分の状況に応じて個体間の競争を制御する空間距離が変化することを考慮することが必要となるであろう。
  • 横井 秀一, 早川 幸治
    セッションID: T20-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】人工林の長伐期施業を進める上で、伐期に想定されるような林齢の現存林分の構造から施業に結びつく情報を得ることは有意義である。とくに構成個体の径級と他の因子との関係が明らかになれば、施業方法の検討に多くの示唆が得られると期待できる。 【方法】岐阜県・愛知県で、80~113年生のヒノキ人工林61林分を調査した。調査区(0.1ha程度)を設置し、区内の立木(DBH≧10cm)の胸高直径・樹高・枝下高・樹冠幅を測定した。樹高から枝下高を引いた値を樹冠長とした。解析に当たり、本数密度と林分材積はヒノキ以外の樹種を含め、胸高直径などの平均値はヒノキだけで計算した。 【結果】調査林分は、本数密度238~1891本/ha、平均樹高14.2~25.8m、平均胸高直径19.4~52.1cm、林分材積185~1099m3/haであり、それらの値は調査地により大きく異なった。林齢と本数密度や平均胸高直径には、関係がみられなかった。平均胸高直径は、本数密度と負の、平均樹冠長や平均樹冠幅と正の相関がみられた。平均胸高直径を応答変数、林齢・本数密度を説明変数とする重回帰分析で、重決定係数0.69を得た。
  • 渡邉 仁志, 茂木 靖和, 大洞 智宏
    セッションID: T20-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
     高齢人工林の管理方法を検討するため,岐阜県美濃地方の高齢ヒノキ林分(2箇所)を異なる選木方法で間伐し,その後の幹の肥大成長と樹冠サイズ(樹冠長)を調査した。両林分は過去50年以上,無間伐で放置され収量比数は1に近い過密林分であった。これらの林分に固定調査地を設け,約100年生時に林分1(地位級高)では下層木を中心に,林分2(地位級低)では上層木を選木して伐採した(材積間伐率はそれぞれ56.5,40.5%)。
     再調査時,林分1では胸高直径,断面積ともに成長し,間伐効果が認められたのに対し,林分2では成長が認められなかった。個体レベルでは樹冠長と胸高直径,断面積(もしくはそれらの成長量)との相関が高かった。高齢林分,特に地位級の低い林分では,樹高成長の鈍化により間伐による樹冠(葉量)の拡張は限られる。選木方法の違いにより,林分1では胸高直径がより大きな個体が,林分2では胸高直径が小さい個体が残存したことが,間伐後の肥大成長に影響したと考えられた。木材生産を目的に伐期を延長するのであれば,どんな形状の個体を残すかが重要であり,林分2の事例のように上層間伐的な選木は適切ではなかったといえる。
  • 高橋 絵里奈
    セッションID: T20-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    間伐選木は、経験と勘による個人的技能に頼るところが大きい。しかし、間伐選木の技術者は減少しており、誰にでも分かり易い間伐選木の客観的指標が求められる。吉野林業地では、間伐選木の際に樹冠を見極めることが重要であるとされる。また、光合成に大きく寄与する陽樹冠の量は、樹木個体の幹の成長と大きく関わりがあると考えられる。そこで、吉野林業地の38年生、52年生、106年生、210年生のスギ人工林において、陽樹冠量の測定をおこない、樹木個体の胸高直径成長量との関係を解析した。その結果、陽樹冠直径の範囲によって、年輪幅が2mm程度であるか否かを判別することが可能であり、陽樹冠直径を間伐選木の指標とすることが可能であることが明らかとなった。さらに、島根大学三瓶演習林の56年生スギ人工林で同様の調査、解析をおこなった。三瓶演習林でも陽樹冠直径を間伐選木の指標とすることが可能であった。ただし、胸高直径が同一である個体の陽樹冠の大きさは三瓶演習林の方が小さく、1林分内での個体の大きさのばらつきは三瓶演習林の方が大きく、地域差がみられた。陽樹冠量を間伐選木の指標とする際にはこれらの差を十分考慮する必要がある。
  • 石川 実
    セッションID: T20-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】愛媛県では、スギ・ヒノキ人工林のうち40~60年生の占める比率が高くなり蓄積量も増加し、様々な施策により間伐が推進され、素材生産量増加が期待されている。一方で、下刈り後1回程度の間伐後、20年以上無施業の林分も見られる。このような林分は蓄積量は増加しているが、高密度で樹冠が枯れ上がり枯死木や気象被害木も見られ、間伐遅れと思われる。この実態を分析し今後の施業について考える。【方法】愛媛県今治市、西条市、松山市の10箇所のスギ人工林35~53年生(2012年時)において、1999年、2010年、2012年と、成長量、気象害状況及び間伐実施状況を調査した。【結果】立木密度が1500本/ha以上の林分では、10年間で14~25%が自然枯死していた。ほぼ無間伐だった4調査地では、形状比が90を超え、間伐後も80以上と気象災害に弱い状態であった。間伐後に冠雪害を受けた調査地で被害木の特徴を見てみると、胸高直径が小さく形状比の高い個体が幹折根倒れしていた。樹冠が枯れ上がり成長量が低下している劣勢木は、気象害を受けやすいため、間伐後の成長回復に期待せず、被害を受けにくい優勢木を残存させて成長量回復を期待したほうが良いと思われた。
  • 與儀 兼三
    セッションID: T20-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    戦後の拡大造林世代の人工林は,主伐されずに長伐期化が進み高齢級林が増加している。これに伴い尺上丸太(末口径30cm以上)となるような大径材も増えており,これらは従来の機械・作業システムでは全木集材方式による搬出が困難となりつつある。このために新たな高齢級林の管理および大径材の搬出方法を確立する必要がある。そこで検討しているのが,高齢級林分の3次元レーザースキャナ(3D)による計測である。これにより立木の位置,胸高直径,樹高の情報が得られ,さらに幹の曲がり具合など個々の形状を知ることも可能であることから,この3D技術を高齢級林の管理に活用し,立木の品質管理を行うことにより,川下側の要求する形質の丸太を安定供給することができるものと考える。一方,中欧から導入した林業用トラクタおよび高性能搬器を適用するための諸条件を明らかにするため,異なる地形・傾斜,集材距離での効率的な作業の可能性について実証試験を実施し,一定の評価を得ることができた。導入した機械のウインチが持っている強い引張・巻上能力を活かすことにより,高齢級林における大径材の全木集材も十分可能であると考えられた。
  • 鈴木 保志, Ahmad Hidayat Setiawan, 後藤 純一
    セッションID: T20-09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
     必要な路網の道幅と密度は、集材システムとの兼ね合いで決まる。長伐期化・高齢化にともない単木材積は増加し、一般的には大型機械が使用できる高規格(幅広)の路網が必要となる。路網整備では壊れない道をつくるということが最重要である。どのくらいの道幅の道路が、どのくらいの地形(傾斜)条件ならば、どのくらいの密度まで崩壊危険度を高めることなく作設可能か、ということが示される必要があるが、現在の研究成果では定量的な基準の提示には至っていない。本報告では、既往の知見や路網の事例を紹介し、現時点で可能な考察を試みる。そして路網整備の結果得られる伐出コストが、材の価値に見合うものかどうかも重要である。伐出コストは作業経費と生産性とから決まり、高い機械では作業経費が高くなるので生産性を高める必要がある(大型機械は幅広の道が必要)一方で、生産性が高くなくても作業経費が低ければ伐出コストは必ずしも高いものにはならない(例えば小型の機械と幅の広くない作業道の路網の組み合わせ)。本報告ではあわせて、スイングヤーダからタワーヤーダに移行した事例の分析等から、長伐期化・高齢化に対応した路網のありかたを考察する。
  • 椎葉 淳, 荒武 志朗, 森田 秀樹
    セッションID: T20-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    【緒言】大径化が進むスギの建築分野への需要拡大のためには、在来軸組住宅における部材別シェアが高く、かつ国産材の割合が低い横架材として使用することが有効な手段のひとつと考えられる。そこで、大径丸太から歩留まり良く製材できる心去り平角材について、心持ち材平角材との比較も含めて強度性能などを検証した。【方法】実験には宮崎県産のスギ丸太54本を供試した。材質測定後、末口径により振り分け、35cm程度以下の丸太からは心持ち平角材を1本、それ以上の丸太からは心去り平角材を2本製材した。この場合、1本は中心定規挽き、もう1本は側面定規挽きとした。その後、気乾状態に達するまで約700日間にわたり天然乾燥を行った。その間、定期的に曲がりや干割れなどの材質を測定し、最後に曲げ試験に供した。【結果と考察】曲がり矢高をみると、梁背方向及び幅方向ともに心去り材の方が心持ち材よりも小さい傾向であった。また曲げ試験の結果、心持ち材と心去り材で曲げ強さに大きな違いはなく、全ての試験体が基準強度をクリアした。これらのことから、心去り材は心持ち材と同等の性能を有しており、少なくとも短期的には横架材として適用可能であることが分かった。
  • 青井 秀樹
    セッションID: T20-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    大径材が、なぜ中目と同じ材積単価で買われないかは、単価の高い建築用材(柱角)として売れる部分以外は、あまり稼ぎにならないためと考えられる。従って、売れる部分を体積当たりに割り戻すと、中目よりも安価となってしまうのである。このため、柱角以外の部分で、比較的高い単価となることを期待できる需要を開発していく必要があると考える。また、大径材だからといって、特別な用途がある訳ではないことも付記したい。もちろん、太い角材は伝統工法等の建築市場で需要があるが、それはあくまでニッチな市場であり、充分な大きさの需要を生み出せるかは疑問である。そこで、柱角以外の部分をひき板に加工することを前提に、ひき板の用途開発を地道に行うことが重要と考える。具体的な用途としては、集成材やCLTのラミナ、枠組壁工法構造用製材(2×4材)が挙げられる。
ポスター
林政
  • 小山 泰弘, 竹垣 英信, 岩崎 唱
    セッションID: P1-001
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
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    利用されなくなった牧場の森林化を行うため、企業の社会貢献活動の一環として企業等からの支援により、牧場に隣接するブナ林の林縁部に発生した稚樹を活用したブナの移植を行った。移植を行った牧場跡地は、未利用の牧草とその根系が5cm 程度の厚さで堆積していたため、三機工業や和信化学工業等の企業からの支援金を活用して重機を使って牧草をはぎ取った。その後、6~10月までの5回にわたり林縁部のブナ稚樹を堀取り、はぎ取った場所へ移植させた。本年度は、八十二銀行をはじめとする協賛企業および一般公募のボランティアに関係者延べ約300名が植樹に参加し、10,000本のブナ を0.7haの範囲に移植させた。なお6月に植栽したブナは10月現在で95%以上が活着し、植替え作業そのものは良好だった。本方法では、NPOが仲立ちをすることでボランティアの公募や企業の協賛に加えて、NPOに対する支援を行っている東京ガスや地球環境基金なども活用できるため、公的資金や地元負担が少なくなり、コストをかけずに地域の種苗を用いた自然再生を行うための手法の一つとして効果的だと思われる。
  • 峰尾 恵人, 松下 幸司
    セッションID: P1-002
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
     寺社・城郭といった大規模な伝統木造建造物の築造・補修には、一般的なものより長大・高品質な木材が必要であり、近年このような木材の確保が課題となっている。本報告はこうした課題について俯瞰的に知見を得ることを目的とし、1.各宗派を代表する寺院である本山寺院の、最も長大・高品質さが必要な部材である本堂の丸柱に着目し、木材利用形態の歴史的特徴を分析した。2.伝統建築を扱う業者への聞き取り調査を実施し、長大・高品質材供給の現状と課題を分析した。
     その結果、地域等による差はありながら、9~16世紀はヒノキ、17~19世紀はケヤキ、昭和期から平成初頭までは台湾ヒノキおよび鉄筋コンクリートが主であった。本堂丸柱のように特に長大・高品質な木材の生産方法は、少なくとも近世以降は持続可能な形態ではなかったことが示唆された。一方現在では海外からの供給見込みは厳しく、今後も「木の文化」を継承していこうとするならば、国内での育成が不可欠であると考えられた。しかし国内では、役物市場の崩壊による優良林所有者の育林意欲低下や資源の空洞化が懸念され、何らかの手立てが必要である。今後さらなる情報収集と具体策の検討が望まれる。
  • 齋藤 千尋, 井上 みずき, 蒔田 明史
    セッションID: P1-003
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、自然環境への興味・関心から多くの来訪者が景勝地を訪れている。動植物や気候等によって成り立つ自然環境へのより深い理解を促し、景勝地の保全につなげていくためには来訪者への適切な環境教育が必要である。桑ノ木台湿原は来訪者の増加による湿原の荒廃が生じた。その対策の一環として環境教育プログラムの開発や現地ガイドが組織され、その活用が課題となっている。そこで、現地ガイドが簡単に利用可能な環境教育プログラムを開発した。【方法】秋田県由利本荘市役所の資料、桑ノ木台湿原の来訪者や現地ガイドに行ったアンケート、現地調査により必要な情報を取得し、カード式環境教育マニュアルを開発した。【結果】マニュアルはカードごとに異なる項目を示し、年齢層や季節に合わせて内容が入れ替えられるように工夫した。1枚のカードはA4サイズで、表は来訪者に示す情報(写真など)、裏には現地ガイドが解説すべきポイントを載せた。また、来訪者のニーズ、現地ガイドの知識や課題を踏まえた内容を盛り込み、季節の特徴的な植物・動物写真を多用した。生態学視点を加え、自然環境をより深く解説でき、現地ガイドが利用しやすいマニュアルとした。
  • 森野 真理
    セッションID: P1-004
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    生物多様性の保全における我が国の問題として、人間活動の縮小による危機が指摘されている。そのひとつが森林の利用不足である。代替品や輸入材の台頭などにより、人の生活と森林との関わり方は大きく変わってきた。将来の森林資源利用のあり方を考えるには、かつての利用形態を明らかにし、生物多様性保全の観点からとらえ直す必要がある。そこで、兵庫県淡路島を事例に、かつての森林利用の実態を調査した。淡路島では江戸時代に瓦産業が興り、明治以降、主要な地場産業として発展した。瓦産業は瓦を焼くために大量の燃料を要するが、昭和30年代まで主に薪が使われ、その後重油、ガスへと転換した。当時の瓦産業と森林との関わりを明らかにするため、島内の瓦生産の中心地である津井地区・阿万地区において、現地の瓦製造者、森林管理者、製材業者等へのヒアリングおよび、資料による分析をおこなった。その結果、いぶし瓦の製法過程ではマツを中心とした薪(約800kg/製瓦1000枚)のほか、松葉(約12束/製瓦1000枚)が使用され、マツ林の豊かな他地区から購入されていたことが分かった。こうした事例をもとに、当時の木質バイオマス消費量の推定を将来的な目標とする。
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