経営情報学会誌
Online ISSN : 2435-2209
Print ISSN : 0918-7324
30 巻, 2 号
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論文
  • 江口 彰, 領家 美奈
    2021 年 30 巻 2 号 p. 89-104
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

    許可のない情報の持ち出しを原因とするインシデント事例が多く報告されている.本研究の目的は,不正のトライアングル理論を用いて,ISO/IEC 27001の要求事項のうち,「認識」の向上により,逸脱行動の正当化が抑制できることを実証することである.筆者らは,方針,自らの貢献,逸脱行動による影響の3つの認識に関する潜在変数が,いずれも逸脱行動の正当化を抑制する効果があるものと仮定した.そのうえで仮説の設定および仮説検証モデルを構築し,質問紙調査により収集したデータに対して共分散構造分析ならびにISO/IEC 27001の認証取得組織と未取得組織の構成員集団による多母集団分析をおこなった.その結果,仮説が部分的に検証でき,また認証取得の有無により向上させるべき認識が集団ごとに異なることが明らかになった.

研究ノート
  • 菊地 剛正, 高橋 大志
    2021 年 30 巻 2 号 p. 105-119
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

    本邦では,社会の高齢化・長寿化の進展に伴い,老後の資産形成と取り崩しの問題に関心が高まっている.しかし,資産の枯渇に係る論点については,それを防ぐための方策を含め,必ずしも議論が深まっている状況とは言えない.本稿では,退職後の資産形成・取り崩しに係る本邦での今日的な議論に対して,実データを用いたシミュレーション分析による接近を試みる.個人の属性やリスク資産による運用を勘案した上で,外生的に与える各種シナリオにおいて,各種施策が資産の枯渇に与える影響を分析する.主な結果は以下のとおり:1)資産階級やリスク量,想定する余命に応じて資産の枯渇割合は異なること,2)資産階級の上昇に応じ枯渇率が単調に減少するわけではなく,資産残高と収支のバランスによること,3)枯渇割合を低下させるためには,個人の属性に応じたリスクテイクが必要なこと,4)公的年金給付水準の引き下げによる枯渇割合の上昇に対しては,退職年齢の引き上げや支出抑制により,当該上昇をある程度抑制しうること.

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