作業科学研究
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日本作業科学研究会第25回学術大会基調講演
  • 吉川 ひろみ
    2023 年 17 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
    本論の目的は,作業科学と幸福との関連を考えることである.まず,作業療法士である筆者の疑問から,どのように作業を考えてきたかを紹介する.作業の意味についての議論を 8 側面で整理することができる.まず感情を揺さぶる作業は意味がありそうだ.作業は手段にもなるし目的にもなるし,両方のこともある.作業を通して人,物や場所,時間を超えたつながりを感じる.アイデンティティとつながる作業もある. 作業は健康に影響を与える.ある作業を生活に取り入れると生活が組織化される.作業には時代や文化が作り出す社会的意味がある.作業をどの分類として語るかにより何らかの意味を帯びる.そして,前野氏による幸福の 4 因子が,上記の 8 側面とどのように関連しているかを考える.最後に,作業の類似語である労働についての考えを参照し,作業科学が個人の幸福を超えて,社会のビジョンとして作業的公正を目指していることに言及する.
日本作業科学研究会第25回学術大会特別講演
  • Lorrae MYNARD, 春原 るみ, 杉田 美歌
    2023 年 17 巻 1 号 p. 10-20
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
    新型コロナウィルスは世界的な作業の混乱を招き,日常生活に広範囲な変化をもたらし,健康や Well-being に対する挑戦を与えている.この状況は作業療法士に作業療法のアートとサイエンスを実践する機会を与えてくれる.作業療法理論と作業科学の知識を,日常生活の混乱に対する支援での実践的スキルに統合することで,作業療法士はこのパンデミックへの対応においてクライアントと同僚の両方,そして広く地域を支援するのに適切な立場にいる.本稿ではパンデミックの状況における市民レベルでの介入の事例を紹介し,新たな機会の提示として考察の重要性と混乱に対する考え方を検討する.
研究論文
  • 高崎 友香, 齋藤 さわ子, 伊藤 文香
    2023 年 17 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
    米国における COVID-19の感染拡大でロックダウンとなった地域の,英語学校に通う非ネイティブスピーカーを対象に,各作業領域の参加制約感の程度と,QOL・主観的健康感,および生活全般への悪影響の程度との関係を調べるためアンケート調査を実施した.参加制約感は,余暇,対面社会的交流,学習,コミュニティ参加,仕事の順に大きく,学習への参加制約感は QOL,精神的健康感,ルーチン,作業バランスに, 家事は QOL に,対面社会的交流は身体的健康感に,いずれも有意な比較的強い相関があった.非ネイティブスピーカーのロックダウンによる作業参加制約の状況理解が深められ,単純に参加制約感が大きければ,QOL・主観的健康感および生活全般への悪影響が大きくなるのではなく,作業形態・意味・機能の多様性と,作業を行う人の役割や,将来自分が担いたい作業に結びつく作業領域であるかどうかが関係することが示唆された.
  • 地域在住高齢者における横断研究
    小林 昭博, 前場 洋佑, 今井 忠則
    2023 年 17 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
    【目的】コロナ禍の自粛生活による地域在住高齢者の余暇活動の制限と基本チェックリストにはどのような関係があるのかを明らかにする.【方法】茨城県の地域在住高齢者498名を対象に調査を実施し,365部を分析対象とした.「現代高齢者版余暇活動尺度」を使用し,現在とコロナ禍以前の値から変化量を算出した. 基本チェックリストは20項目を使用した.余暇活動尺度の各項目の変化量と基本チェックリストの相関分析 を行なった.【結果】女性前期高齢者では「植物の世話」,女性後期高齢者では「電子機器の利用」,「地域・ 社会活動」,「友人との交流」,「運動」,「文化的活動」,「創作芸術活動」,「植物の世話」,男性後期高齢者では 「地域・社会活動」,「友人との交流」,「学習活動」,「文化的活動」,「旅行」で有意な負の相関が認められた. 【結論】余暇活動制限の悪化した人ほど,基本チェックリストで測られる各種機能・状態が不良となる傾向が あった.
日本作業科学研究会第25回学術大会基調講演「作業科学×幸福学」
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