内観法は今日、教育、心理学、精神医学の分野にも導入され、また、わが国のみならず、世界各地域に内観研修所が設立されるまでに普及している。とりわけ学会の設立や学術誌の刊行に伴って、内観法の学術的研究もさかんに行われるようになったが、十分に発達した理論がないとの指摘もある。世界的に研究者からの理解を得るためには、例えば認知や思考など、心理学の分野で取り扱われるテーマに焦点を当ててみることも効果的ではないだろうか。
本研究においては、内観の経験とは関係なく、我々が持っている内観的思考を評価する尺度の作成を試みた。全213名の対象者が作成された質問紙に回答し、このうち58名については、妥当性評価のため、TEGにも回答した。
プロマックス回転による主因子法の因子分析より、4因子が抽出された。クロンバックのα係数による尺度の信頼性は.88であった。内観的思考尺度とTEGの各下位尺度のピアソンの相関係数を調べたところ、一部、先行研究の結果と一致する結果が得られた。しかし、新たに作成された内観的思考尺度の妥当性を確認するには、さらなる研究が必要であると思われる。
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