内観研究
Online ISSN : 2435-922X
Print ISSN : 2432-499X
18 巻, 1 号
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巻頭言
特別講演
特別企画座談会
原著論文
  • − インタビューと家族画を通しての考察 −
    辻田 奈保子, 真栄城 輝明
    2012 年 18 巻 1 号 p. 27-40
    発行日: 2012/09/18
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル 認証あり

     本研究の目的は、家族に対する認知を修正する上で、内観法が効果的な方法であるか、そして認知の変化をもたらす要因とは何かを検討することである。今回、内観施行群として集中内観者8名、及び対照群として非内観者8名に協力を依頼し、インタビューと家族画テストを実施した。両群の結果を比較したところ、内観施行群では8名中6名に、対照群では8名中1名に認知の変化が見られた。また、内観施行群に認知の変化をもたらした要因として、①内観面接者の存在、②内観課題への集中の二要因が見いだされ、変化を促す心的プロセスとして、③カタルシスの発生、④夢の検証・報告が関連している事例がみられた。

  • 粟飯原 史代, 葛西 真記子
    2012 年 18 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2012/09/18
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

     内観法は今日、教育、心理学、精神医学の分野にも導入され、また、わが国のみならず、世界各地域に内観研修所が設立されるまでに普及している。とりわけ学会の設立や学術誌の刊行に伴って、内観法の学術的研究もさかんに行われるようになったが、十分に発達した理論がないとの指摘もある。世界的に研究者からの理解を得るためには、例えば認知や思考など、心理学の分野で取り扱われるテーマに焦点を当ててみることも効果的ではないだろうか。

     本研究においては、内観の経験とは関係なく、我々が持っている内観的思考を評価する尺度の作成を試みた。全213名の対象者が作成された質問紙に回答し、このうち58名については、妥当性評価のため、TEGにも回答した。

     プロマックス回転による主因子法の因子分析より、4因子が抽出された。クロンバックのα係数による尺度の信頼性は.88であった。内観的思考尺度とTEGの各下位尺度のピアソンの相関係数を調べたところ、一部、先行研究の結果と一致する結果が得られた。しかし、新たに作成された内観的思考尺度の妥当性を確認するには、さらなる研究が必要であると思われる。

  • − 状態怒りと特性怒りの評価 −
    古市 厚志, 長島 美稚子, 黒川 敦子, 大谷 優子, 鈴木 道雄
    2012 年 18 巻 1 号 p. 51-62
    発行日: 2012/09/18
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル 認証あり

     集中内観を行なった25名を対象として怒りの変化をしらべた。集中内観前後にState and Trait Anger Expression Inventory(STAXI)のうち状態怒り尺度と特性怒り尺度を施行した。内観後は内観前と比べて状態怒りと特性怒りの得点が有意に減少したが、特性怒りの変化の方がより顕著であった。アンガーマネジメントの視点からは、怒りを引き起こしやすい心理的特性への働きかけとして内観法が応用できる可能性がある。

  • 竹元 隆洋
    2012 年 18 巻 1 号 p. 63-72
    発行日: 2012/09/18
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

     統合失調症で入院し安定期(寛解期)に1週間の集中内観を行って13〜14年間経過した内観群(9人)と13〜14年前に入院し内観を体験しなかった非内観群(8人)の長期予後を比較した。両群の背景や症状や経過は類似していた。入院歴で内観群の2人は内観後に入院はなかったが、7人は3〜6回の入院歴があった。両群ともに安定と再発を繰り返していた。しかし両群の意識調査(父母のこと、自分について、反省・決意したこと、治療効果について)では差違が認められた。内観群は父母の愛や感謝が深く、自己未熟や甘えなど父母や自分について深く理解し、内観療法を高く評価し、自己の内面の主体性を自覚している。非内観群は外面的、表面的な状況の認識しかなく、治療も薬の効果を高く評価している。内観群は再入院を繰り返してはいるが、心豊かに豊かな人生を生きており、実存的でスピリチュアルな生き方が継続されている。

短報
  • ~薬物常用者と健常人に対する記録内観の比較研究~
    チェルウェンコヴァ ヴェリザラ
    2012 年 18 巻 1 号 p. 73-85
    発行日: 2012/09/18
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル 認証あり

     本論文は、東欧と著者の母国ブルガリアで初めて実施された内観療法に関する研究結果を示している。本研究は、平均年齢が29歳のブルガリア協力者の二つのグループに記録内観を実施した。第一グループは、デイケアセンターで心理的・社会的リハビリテーションを受けている薬物常用者4人を含まれている。第二グループは、4人の健常対照群である。参加者全員がこれまで内観療法について知識や経験は全くなかった。文化差を念頭に置きながら、本論文は日本国外、特にブルガリアで内観療法を応用する上での可能性を検討した。二つの調査結果は、日本の代表的な心理療法である、内観療法が、ブルガリアの薬物常用者の更正とブルガリアの一般向けの一つの方法として、可能性が高いことを示した。

学会報告
論点
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