日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
3 巻 , 2 号
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総説
  • 横田 博之
    2018 年 3 巻 2 号 p. 31-36
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/29
    ジャーナル フリー

    製薬会社から報告されたプロテオミクス応用に関する最近の論文を中心に,製薬企業におけるプロテオーム研究動向を考察した.プロテオミクスの創薬応用は,2000年代初期の困難な時期を乗り越え,薬物代謝,安全性,臨床開発,製造など,製薬会社の様々な部門に広がった.タンパク質発現プロファイリング,薬剤の結合タンパク質を同定するケミカルプロテオミクス,SRM/MRM等を用いた個別タンパク質定量,キナーゼ阻害剤関連研究を中心としたリン酸化プロテオミクスなどの翻訳後修飾解析,タンパク質間相互作用解析など,創薬研究における様々な課題解決にプロテオミクスは不可欠となっている.翻訳後修飾解析や高深度プロテオーム解析など,プロテオミクス技術の今後の一層の進展が,創薬研究をさらに加速することが期待される.

  • 幡野 敦, 黒田 真也
    2018 年 3 巻 2 号 p. 37-45
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/29
    ジャーナル フリー

    近年,細胞内で分子活性を計測するオミクス技術が次々と開発され,オミクス研究はこれまでの網羅的解析以上に多様な付加価値を持つようになった.一方でこれらのオミクスデータをどのように解析するかに関して明確な指針はなく,研究者それぞれが試行錯誤の末,データから新たな知見を見出すことが一般的である.そこで我々はオミクスデータ解析の一つの指針として多階層生化学反応ネットワークの再構築を行うトランスオミクス解析を提案している.トランスオミクス解析では複数のオミクスデータをデータベースに基づいた事前知識により統合することで多階層生化学反応ネットワークを再構築し,生化学反応の数理モデルにより反応網羅的にその特性を明らかとする.本稿ではトランスオミクスの概念を示し,実際にトランスオミクス解析に有用なプロテオミクス技術とそのメリット・デメリットについて紹介する.

総合論文
  • 伊藤 慎悟, 大槻 純男
    2018 年 3 巻 2 号 p. 47-54
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/29
    ジャーナル フリー

    薬物動態研究は,創薬における医薬品開発の迅速化と効率の上昇,臨床における薬効や毒性・副作用発現,薬物相互作用を理解・予測する上で重要な役割を果たしている.近年,ヒトにおける薬物動態を精度高く予測するためには,薬物の輸送や代謝に関わる薬物トランスポーターや薬物代謝酵素の特性・活性解析だけでなく,multiple reaction monitoring(MRM)法を用いた定量プロテオーム解析によって得られるタンパク質発現定量情報が必要であることが明らかにされてきた.Sequential window acquisition of all theoretical fragment ion spectra(SWATH)法は1回の測定で試料中から得られるすべてのMS/MSスペクトルデータをもとに網羅的にタンパク質定量が可能であり,MRM法よりも多分子を同時に定量できる利点を有する.そこで本論文では,SWATH法を用いた網羅的定量プロテオーム解析の薬物動態研究への有用性と将来性について概説する.

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