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岸本 幸樹, 上田 顕, 砂入 允哉, 吉田 順哉, 植田 大地, 吉沢 英樹, 森 初果
セッションID: 17aD51-7
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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最近我々は、π電子-プロトン相関型有機伝導体であるk-H_3_(Cat-EDT-TTF)_2_(H-TTF)において、室温から非線形なI-V特性が現われ、185K以下で負性微分抵抗を示すことを見出した。この特異な現象について知見を深めるために、今回、TTF骨格の一部の硫黄原子をセレンに置換したk-H_3_(Cat-EDT-ST)_2_(H-ST)や、水素結合部の水素を重水素置換したk-D_3_(Cat-EDT-TTF)_2_(D-TTF)などの類縁体の非線形伝導特性を調査し、その起源を考察したので報告する。
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近藤 潤, 下澤 雅明, 杉井 かおり, 山下 穣, 上田 顕, 森 初果, 木俣 基, 杉浦 栞理, 寺嶋 太一, 宇治 進也
セッションID: 17aD51-8
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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近年発見されたプロトン-!LaTeX${\pi}$電子連動型有機モット絶縁体!LaTeX${\kappa}$-H_3_(Cat-EDT-TTF)_2_ (H-EDT)では、水素結合上のプロトンが揺らぐことで量子スピン液体が安定化する可能性が報告されている。今回我々は、プロトン揺らぎと量子スピン液体の関係性を調べるために、H-EDTの元素置換体について磁気トルク・ESR・熱伝導率測定を行った。その結果、全ての置換体で極低温まで磁気秩序が現れず、ギャップレスの量子スピン液体状態が実現していることが分かった。当日は、これらの詳細について発表する予定である。
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山本 陸, 古川 哲也, 伊藤 哲明, 宮川 和也, 斉藤 みく, 佐々木 孝彦, 鹿野田 一司
セッションID: 17aD51-9
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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モット転移近傍に位置するモット絶縁体!LaTeX${\kappa}$-(ET)_2_Cu[N(CN)_2_]Cl(以下、!LaTeX${\kappa}$-Cl)は23 K以下で反強磁性長距離秩序を示す。我々はこの系にX線を照射することで乱れを導入し、長距離秩序が消失し量子常磁性状態が実現することを明らかにしてきた。本研究では、さらに詳細を明らかにするため、これまでとは別の単結晶!LaTeX${\kappa}$-Cl試料にX線を800時間照射し、^1^H-NMR測定を行った。その結果、1.36 Kまでの長距離秩序の消失とT_1_^-1^の異常な増大を観測した。このT_1_^-1^の異常な増大は特異なダイナミクスの存在を示唆するものであると考えられる。
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林 正彦, 吉岡 英生, 友利 ひかり, 神田 晶申
セッションID: 17pB21-1
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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歪みを導入したグラフェンの電気伝導度を,等方弾性体的な歪みを考慮したTight-bindingモデルに基づいて計算した。計算には再帰的グリーン関数法をスライスや特異値分解の導入によって並列化したものを用いた。講演では,電荷中性点付近での電気伝導度のバイアス依存性について,界面や不純物の影響を考慮しつつ議論する。
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長田 俊人, 内田 和人
セッションID: 17pB21-2
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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3次元グラファイト結晶は積層方向の波数を固定すると、2層グラフェンあるいは単層グラフェン的な分散を示す。単層および2層グラフェンのzigzag端に形成されるエッジ状態(藤田状態)がグラフェイトではフェルミアークを持つ表面バンドとなること、2つの基底ランダウ準位(n=-1,0)がWeyl半金属的のカイラル異常と似た機構で負の層間磁気抵抗を導くことを示す。
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松本 直樹, 峰晴 正彰, 荒川 友貴, 松永 正広, 落合 勇一, フェリー D.K., バード J.P., 渡邊 賢司, 谷口 尚, リ ...
セッションID: 17pB21-3
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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BNを用いた高移動度化と、2層グラフェン対する垂直電場印加によるバンドギャップ形成を用い、電界閉じ込め効果による量子構造の作製を目指した研究を進めている。試料作製と低温における伝導特性評価の結果について講演する予定でいる。
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浅川 友太, 増渕 覚, 井上 尚子, 森川 生, 渡邊 賢司, 谷口 尚, 町田 友樹
セッションID: 17pB21-4
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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ABA三層グラフェンは面直磁場下で単層グラフェン様のランダウ準位(MLG-LL)と二層グラフェン様のランダウ準位(BLG-LL)が重なったランダウ準位を形成する。今回、スピン・バレーの分離したN=0のMLG-LLとN=2のBLG-LLの交点において面内磁場を印加したところ、二準位間の反交差が観測された。さらに、面内磁場を印加したランダウ準位の数値計算を行ったところ、実験結果をよく説明する結果が得られた。
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森川 生, Quentin Wilmart, 増渕 覚, 渡邊 賢司, 谷口 尚, Bernard Placais, 町田 友樹
セッションID: 17pB21-6
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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高移動度櫛形グラフェンnpn接合を作製し、バリスティック伝導するキャリアの軌道を制御することで抵抗変調を実現した。具体的にはp型部とn型部のキャリア密度を変調することで、pn界面における電子波の屈折を制御し、コリメーションと全反射を組み合わせることで電子波の接合透過率を抑制した。グラフェン中の電子波を古典光学のように操る”Dirac fermion光学”を実験的に実現した結果と言える。
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町田 洋, 井澤 公一, K. Behnia, 秋葉 和人, 三宅 厚志, 徳永 将史, 赤浜 裕一
セッションID: 17pB21-8
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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半導体の低温極限における熱電現象を明らかにすることを目的として、ナローギャップ半導体である黒リンの低温ゼーベック係数測定を行った。その結果、熱流をa軸方向へ流した場合、ゼーベック係数は温度のべき乗則に従って減少し、絶対零度では消失することを示唆する結果を得た。また黒リンは、蜂の巣格子が台形波状に折れ曲がった2次元層状構造をもつことから、その特異な構造に起因した異方性が期待されているため、熱輸送特性の異方性についても調べた。
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藤元 章, 長尾 祥吾, 三木 孝浩, 寺澤 大樹, 福田 昭, 太田 椋也, 大東 隆文, 小山 政俊, 原田 義之, 神村 共住, 佐々 ...
セッションID: 17pB21-9
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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グラフェンの研究について,最近,表面に異種原子・分子を吸着させた系などに注目が集まっている。本研究では,カルボン酸の有機錯体を原料とし,化学的な熱分解法により,トルエン中に分散した酸化インジウムナノ粒子を作製し,これをグラフェントランジスタ表面に塗布した。ナノ粒子を付けることにより,ドレイン電流の増加や電荷中性点の移動が観測された。また,低温におけるガスの吸着実験の結果も報告する予定である。
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田邉 洋一, 伊藤 良一, 菅原 克明, 北條 大介, 越野 幹人, 藤田 武志, 相田 努, X. Xu, K. K. Huynh, 下谷 ...
セッションID: 17pB21-10
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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グラフェンを3次元的に組んだグラフェン3次元構造体の物性は、理論からはグラファイトスポンジとして研究されてきたが、実験からは明らかではなかった。最近我々は、ナノポーラス金属を用いてCVD法でグラフェン3次元構造体(ナノポーラスグラフェン)を合成し、これを用いた電気2重層トランジスタの動作に成功した。本講演ではナノポーラスグラフェントランジスタの輸送現象について報告する。
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内山 貴生, 後藤 秀徳, 秋吉 秀彦, 上杉 英里, 江口 律子, 長田 洋, 西川 尚男, 久保園 芳博
セッションID: 17pB21-11
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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2層グラフェンは垂直電場下でバンドギャップを開くことが知られている。我々は分子からの電子移動によって同じ効果が生じるかを調べた。その結果、電子供与性の自己組織化単分子膜と電子受容性分子で挟まれた2層グラフェンの電気抵抗の温度依存性からバンドギャップを確認した。しかし、電子受容性分子の吸着量が増加するとバンドギャップが閉じる現象がみられた。分子吸着によるキャリア移動度の変化、グラフェン表面での分子の吸着状態からこの原因を考察をする。
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野内 亮
セッションID: 17pB21-12
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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電極/半導体の接合部は、電荷キャリアが電極から半導体へと注入される際のエネルギー障壁(Schottky障壁)の存在を通じて、電気的特性を支配している。層状物質を母物質に持つ半導体(遷移金属ダイカルコゲナイドなど)では、面内欠陥の有無とは無関係に不可避な「欠陥」として、層状薄片の端がある。本講演では、この端が電極接合に及ぼす影響について調査した結果を報告する。
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林 大介, 柳川 勇治, 沢辺 健太朗, 中井 祐介, 客野 遥, 宮田 耕充, 山本 貴博, 斎藤 毅, 真庭 豊
セッションID: 17pC21-1
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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層カーボンナノチューブ(SWCNT)薄膜は、大きなゼーベック係数S、巨大なパワーファクターPを持つ。このような薄膜の熱電物性の理解において、薄膜内に存在する多数のSWCNTの接合界面が重要であることが示唆されている。本報告では、2本のSWCNTの接合界面について、Sや電気抵抗を計算し、接合がバルクの熱電物性に与える影響を明らかにする。計算結果は、薄膜についての実験と比較される。
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沢辺 健太朗, 柳川 勇治, 林 大介, 中井 祐介, 客野 遥, 宮田 耕充, 斎藤 毅, 真庭 豊
セッションID: 17pC21-2
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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単層カーボンナノチューブ(SWCNT)フィルムのゼーベック係数Sはフィルムの構造やモルフォロジーにあまり依存しないが、電気伝導度は敏感である事が発表者らによって示唆されている。本研究ではSWCNT試料の配向性をX線回折実験により見積もり、試料の熱電物性(S、電気伝導度、熱拡散率)とSWCNTの配向性の関係を検討した。当日は高配向の糸状試料の測定結果を含め、配向と熱電物性の相関について議論する。
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山本 貴博, 福山 秀敏
セッションID: 17pC21-4
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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小形-福山によって定式化された熱電応答に対する久保公式は、厳密な熱電応答係数を与える理論であり、ボルツマン方程式が破綻するような系(例えば、強く乱れた系や強相関系など)に対して、その威力を発揮する。本発表では、熱電応答に対する久保公式の最初の応用例として、強く乱れた系の熱電物性について報告する。
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石関 圭輔, 笹岡 健二, 小鍋 哲, 相馬 聡文, 山本 貴博
セッションID: 17pC21-5
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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本研究では、時間依存シミュ−ディンガ−方程式と古典分子動力学法を組み合わせて新たに構築した量子輸送理論をArmchair型金属カーボンナノチューブ(CNT)に応用し、有限温度における電気伝導特性の解析を行った。その結果、様々な長さのCNTの電子-フォノン散乱による散乱波動関数から量子バリスティック輸送から古典オーミック輸送へのクロスオーバーを示し、また、運動量緩和長と位相緩和長を定量的かつ精密に見積もることに成功した。
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安藤 恒也
セッションID: 17pC21-6
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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つぶれた単層カーボンナノチューブの反磁性帯磁率を有効質量近似で計算した.電子状態と同様に,カイラルナノチューブの帯磁率はつぶれた形状に伴う有効磁場の変化の効果を除けば,大きな影響を受けない.一方,肘掛け型およびジグザグ型の非カイラルナノチューブは大きな影響を受ける.それには,つぶれた領域の2層グラフェンのバンド構造が大きな効果を与える.
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田村 了
セッションID: 17pC21-7
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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2つの単層アームチェアナノチューブA,Bを「部分的に」層間ファンデルワールス結合させた構造は全電流を接触層間に強制的に流すことが可能なので層間結合の特徴が強く電流電圧特性に反映される。ここで接触領域の左右はそれぞれ単層領域A,Bになっており、ここにバイアス電極を接続する。望遠鏡型接触と側面接触の間には接触面がチューブの円周方向に広がりを持つか否かの違いがあり、その違いの影響を議論する。
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中村 新男, 山中 健一, 宮浦 健志, リム ホンエン, 松田 一成, テンディ ボアネルゲス, 宮田 耕充, 篠原 久典
セッションID: 17pC21-8
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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ポリマーとカーボンナノチューブの複合系では、両者のバンドアライメントによって励起エネルギー移動または電荷移動が起こる。ポリチオフェン内包ナノチューブでは電荷移動が起こることをこれまでに報告したが、今回はポンプ・プローブ分光で測定した超高速の電荷移動ダイナミクス(~0.50ps)について報告する。一方、コロネン分子を重合させて合成したグラフェンナノリボン内包チューブの場合、励起エネルギー移動が示唆され、その移動時間は~0.63psであることがわかった。
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佐々木 健一
セッションID: 17pC21-9
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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カーボンナノチューブは軸に並行な偏光しか吸収しないことが知られているが、我々はドープすることにより垂直な偏光しか吸収しなくなることを提案している。今回、久保公式を用いて動的伝導度を計算し、光吸収スペクトルのドーピング依存性とカイラリティー依存性を明らかにした結果について報告する。
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瓜生 誠司
セッションID: 17pC21-10
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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カーボンナノチューブの集団励起を有効質量近似と乱雑位相近似を用いて数値的に調べた。金属ナノチューブとドーピングした金属・半導体ナノチューブでは、近似的に線形なエネルギー分散を持つ、平行偏光によって励起されるプラズモンが現れる。金属・半導体ナノチューブに高ドーピングした場合にのみ、エネルギーギャップを持つ垂直偏光によって励起されるプラズモンが現れる。後者の結果は実験結果と整合する。
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中西 章尊, 石河 孝洋, 清水 克哉
セッションID: 17pC21-11
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
フリー
硫化水素は高圧で超伝導転移温度が最大で203Kもの超伝導体になることが知られている。本研究では、硫化水素にドーピングした場合の超伝導転移温度を第一原理計算で予測した。リジッドバンドモデルでは、超伝導転移温度が最大で約30K上昇することが明らかになった
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久保園 芳博, 西山 佐希, 寺尾 貴博, Xiao MIao, 宮崎 隆文, 後藤 秀徳, 山岡 人志, 石井 啓文, Yen-Fa Li ...
セッションID: 17pC21-12
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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新しい炭素系超伝導体であるSr1-xCaxCyについて、輸送特性とX線回折から明らかになった常圧ならびに高圧の超伝導特性を報告する。また、Kxpiceneの超伝導特性に関して最近の進展を報告する。
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杉本 崇, 石井 龍太, 村川 寛, 花咲 徳亮
セッションID: 17pC21-13
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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分子性結晶では、それぞれ形状が大きく異なる陽イオン分子AとBおよび陰イオン分子Cからなる(A_x_B_1-x_)Cのような分子性混晶を作成できることは極めて難しい。そのような中で我々はP原子に対して4つのフェニル基(Ph)が結合したPPh_4_と、K原子の周りをエタノール(EtOH)が4つ取り囲んでいる超分子K∙4EtOHという2種類の陽イオン分子を有する新規分子性混晶(K∙4EtOH)_x_(TPP)_1-x_[Co(Pc)(CN)_2_]_2_を電解結晶法により合成することに成功した。この手法より、物質設計や物性制御の幅を広げられることが期待される。
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豊田 雅之, 斎藤 晋, 劉 崢, 飯島 澄男
セッションID: 17pC21-14
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
フリー
最近、アルミニウム水酸化物のゲル中に一次元ナノリボン構造を持つ擬ベーマイト(!LaTeX$\gamma$-AlOOH)の新物質が発見された.この物質について,我々は第一原理計算を用いて構造安定性を評価し,安定な一次元構造を理論的に予測したので報告する.また,一次元構造の電子状態を調べてバルク構造の電子状態と比較したところ,表面に局在した電子状態が伝導帯付近に現れることでバンド・ギャップの大きさが変化することがわかったので,併せて報告する.
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稲垣 雄介, L. Dong, 田村 雅史, 宮川 和也, 鹿野田 一司
セッションID: 17pD51-1
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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質量ゼロのDirac電子系に磁場を印加するとLandau準位が形成される。各準位はスピン状態とバレー状態で4重縮退しており、磁場はこれらの縮退を解く効果がある。しかしスピン分裂とバレー分裂どちらの寄与が大きいかは未だ議論されている。今回、有機導体!LaTeX${\alpha}$-(BEDT-TTF)_2I_3におけるDirac電子系の磁場によるLandauゼロモードの縮退の分裂を磁気抵抗測定により調べた結果を報告する。この物質のDirac電子系は圧力をパラメータとして電荷秩序絶縁体相に隣接しているため、電子間相互作用が大きいことが期待される。発表では、磁場角度に対するゼロモードにおける縮退が解ける振舞いとその圧力依存性について議論する。
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吉村 健太, 佐藤 光幸, 田縁 俊光, 長田 俊人
セッションID: 17pD51-2
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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有機ディラック電子系!LaTex $\alpha$-(BEDT-TTF)_2_I_3_は、常圧で電荷秩序絶縁体状態、高圧でディラック電子状態となる。これまでの研究ではディラック電子相近傍の電荷秩序相において磁気抵抗測定を行った結果、シュブニコフ・ドハース振動を観測し、金属状態が実現することを明らかにした。本講演では今回作成した相図や量子振動の圧力依存性および試料依存性から電子状態の詳細について議論する。
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森成 隆夫
セッションID: 17pD51-3
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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高圧下でディラック電子系となる擬2次元有機導体α-(BEDT-TTF)2I3は,常圧下で電荷秩序を形成する電子間の強い系である.そのため,ディラック電子状態においても何らかの電子相関効果が存在していると考えられる.本講演では,ディラック電子状態におけるバレー散乱効果について議論する.特に,磁場下において,バレーとスピンが強くエンタングルした状態が安定化する機構について報告する.
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小林 晃人, 松野 元樹
セッションID: 17pD51-4
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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本研究では、有機導体α-(BEDT-TTF)_2_I_3_を記述するハバード模型を無限遠まで到達する長距離クーロン相互作用を含む模型に拡張し、自己エネルギーを考慮したバンド構造においてスピン感受率を計算した。その結果、NMRにより観測されるナイトシフトの抑制とフェリ磁性分極を同時に再現することができた。また、(T_1_T)-1の圧力変化は、圧力により長距離クーロン相互作用の強さが変化していると考えることでその傾向が理解できることがわかった。
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開 康一, 島本 匠弥, 高橋 利宏
セッションID: 17pD51-6
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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ゼロギャップ系物質ET2I3のSe系ドナー類似塩である表題物質のNMR研究の第2報。低温でのケミカルシフトの角度依存から、主に低温でAA'分子の対称性が保たれているか否かに着目して電子状態を議論する。
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高須 康弘, 大嶋 一樹, 田嶋 尚也, 梶田 晃示, 西尾 豊, 内藤 俊雄, 加藤 礼三
セッションID: 17pD51-7
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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α-(BEDT-TTF)_2I_3は無加圧下で135 Kで電荷秩序を伴う金属-絶縁体転移を起こし、圧力印加により転移温度が低温側へシフトし、15 kbar 以上ではDirac電子系を形成する。しかし未だDirac電子系の電子比熱の定量的評価はされていない。本研究では加圧に伴って、通常の電子系からDirac電子系へどのように移行していくのかを明らかにするため、転移に伴う自由電子系の消滅により電子比熱の定量的評価を行うとともに低温の電子比熱の温度依存性を測定する。
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小川 健太郎, 林 頌也, 秋田 百合香, 田嶋 尚也, 川椙 義高, 須田 理行, 山本 浩史, 加藤 礼三, 西尾 豊, 梶田 晃司
セッションID: 17pD51-8
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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高圧化にあるα-(BEDT-TTF)_2I_3は質量ゼロのディラック電子系である。グラフェンとは異なり、最初にバルクな(多層構造をした)結晶で実現したディラック電子系で、ディラックコーンが大きく傾いているという特徴を有する。本研究ではこのような特徴の背景にある新しい物理現象を見出すことを目的に、層間磁気抵抗の角度依存性を調べた。結果、磁場方位が2次元面に平行極近傍の時に、磁気抵抗に異常なピーク構造が観測された。講演では、この磁気抵抗の異常なピーク構造について議論する。
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秋田 百合香, 坪井 瑛里紗, 林 頌也, 小川 健太郎, 田嶋 尚也, 川椙 義高, 須田 理行, 山本 浩史, 加藤 礼三, 西尾 豊, ...
セッションID: 17pD51-9
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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我々は、プラスチック基板上にα-(BEDT-TTF)_2I_3の薄片結晶を固定するだけで、接触帯電法により正孔を注入することに成功し、ディラック電子系特有のランダウ準位構造を観測してきた。前回は、Sdh振動から磁場を傾けることでスピン分裂したランダウ準位交差を観測した。ここで重要なのはベリー位相がπから0へ変わることを見出したことである。そこで本研究では、量子ホール効果からこの現象を調べた。講演ではこのことについて議論する。
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林 頌也, 小川 健太郎, 秋田 百合香, 田嶋 尚也, 川椙 義高, 須田 理行, 山本 浩史, 加藤 礼三, 西尾 豊, 梶田 晃示
セッションID: 17pD51-10
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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高圧力下にあるα-(BEDT-TTF)2I3で電荷秩序絶縁体相に隣接た質量ゼロのディラック電子系が実現した。従って、電子間相互作用が強いディラック電子系である。本研究では、ゼロモードの分裂現象から電子間相互作用効果を調べた。温度の低下に伴い、約5Kでゼロモード分裂の主起源がスピン分極からバレー分極へクロスオーバーを起こすことを示唆する結果が得られた。本講演では、以上について議論する。
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岸木 敬太, 長谷川 泰正
セッションID: 17pD51-11
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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alpha-(BEDT-TTF)_2I_3の強束縛モデルを使い、磁場中のエネルギーを計算する。エネルギーの磁場依存や量子ホール効果や磁化を計算し、実験との比較も行う。
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鈴村 順三, 加藤 礼三
セッションID: 17pD51-12
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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加圧下の分子性導体[Pd(dddt)_2_]の電気抵抗の温度依存性がディラック電子の振舞いを示すことから、HOMO-LUMOを含むtight binding 模型の解析を行い、ディラック点が3次元波数空間でループを描くことを明らかにしてきた。本講演では、この電子状態はノーダルライン半金属であること、及びこの場合のスピン磁化率の温度依存性を報告する。
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山崎 雄司, 荒井 美穂, 守谷 頼, 増渕 覚, 卞 舜生, 為ヶ井 強, 上野 啓司, 町田 友樹
セッションID: 18aB21-1
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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遷移金属ダイカルコゲナイドは、層間に異なる元素をインターカレートすることにより強磁性や超伝導などの様々な物性を発現する。我々は劈開可能な層状物質強磁性体の候補として、2H-TaS_2_にCrをインターカレートしたCr_1/3_TaS_2_に着目し、その電気伝導及び磁化特性を調べた。さらにこの物質を劈開した試料における伝導特性についても報告する。
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佐田 洋太, 守谷 頼, 増渕 覚, 町田 友樹
セッションID: 18aB21-2
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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我々はグラフェンを電極として用いた二次元層状カルコゲナイド化合物NbSe_2_の伝導特性を調べた。グラフェンを電極として用いた場合、NbSe_2_の超伝導臨界電流は金属電極の場合と比較して減少した。さらに臨界電流値は電界効果によって変調可能であることがわかった。これらは電流によるグラフェンのジュール熱発生により,NbSe_2_の臨界電流が大きく影響を受けているためである。グラフェンの抵抗値のゲート依存性を利用することで,NbSe_2_の臨界電流値を制御することができる。
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横井 雅彦, 河村 智哉, 荒川 智紀, 新見 康洋, 小林 研介
セッションID: 18aB21-3
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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遷移金属ダイカルコゲナイドのような層状物質では、劈開により薄膜化することで、これまでのバルク結晶で行えなかった電界制御が可能となる。例えばMoS_2_では、キャリア密度の変調による超伝導転移温度の制御が実現されている。また、表面弾性波技術を用いると、電気的にフォノンを制御することができ、超伝導体における電子格子相互作用の制御が期待される。本研究では、超伝導NbSe_2_薄膜に表面弾性波を印加することで、その超伝導特性の変調を試みた。その結果について報告する。
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河村 智哉, 河上 司, P. Noel, 日野 航佑, 竹下 俊平, 荒川 智紀, 新見 康洋, 小林 研介
セッションID: 18aB21-4
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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逆スピンホール効果とはスピン流が電流に変換される現象である。超伝導体中では準粒子を介した逆スピンホール効果が現れることが報告されたが、この現象について未解明な点も多く残されている。本研究では電界効果で超伝導転移温度の変調が可能な層状超伝導体の一種であるNbSe_2_を用いて、準粒子を媒介とした逆スピンホール効果の検出を目指している。NbSe_2_単結晶を横型スピンバルブ構造に組み込み、スピン輸送測定を行ったのでこれを報告する。
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蒲 江, 枝川 祐介, 三田村 昌哉, 河合 英輝, Lain-Jong Li, 蓬田 陽平, 柳 和宏, 伊東 裕, 竹延 大志
セッションID: 18aB21-5
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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二硫化モリブデン(MoS_2_)は古くから化学ドーピングによる相制御の研究が行われてきた。特に最近では、剥離法により分離された薄膜試料において、超伝導転移の電界制御も報告されている。これら興味深い物性は現状単結晶試料を用いて実現されているが、多結晶薄膜における伝導特性は未解明である。そこで今回我々は、化学気相成長した多結晶MoS_2_単層膜と電解質を用いたトランジスタ構造を組み合わせ、キャリア数を連続的に制御しながら電気伝導特性を評価した。その結果、高密度キャリア蓄積下において、 1.9Kまで金属伝導を観測した。当日は磁気抵抗特性や超伝導転移の可能性についても議論する。
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若村 太郎, Sophie Gueron, Helene Bouchiat
セッションID: 18aB21-6
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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内因的なスピン軌道相互作用が弱いグラフェンにスピン軌道相互作用を導入することは、スピンホール効果を始めとするスピントロニクスへの応用や、量子スピンホール状態の実現など、昨今の物性物理分野において極めて重要な現象をグラフェンを用いて観測することを可能にする。本研究では、強いスピン軌道相互作用を持つ遷移金属二硫化物とグラフェンのヘテロ接合を作製することによりグラフェンに強いスピン軌道相互作用を導入し、その大きさを弱反局在効果を用いて評価する。また複数の種類、膜厚の遷移金属二硫化物を用いて、導入されるスピン軌道相互作用の大きさを比較する。遷移金属二硫化物とのヘテロ接合を作製した場合のグラフェンのスピン緩和機構についても述べる。
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中田 優樹, 菅原 克明, 清水 亮太, 岡田 佳憲, P. Han, 佐藤 宇史, 一杉 太郎, 上野 啓司, 高橋 隆
セッションID: 18aB21-8
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
会議録・要旨集
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原子層NbSe_2_の特異物性解明を目的として、MBE法による単層1T-NbSe_2_の作製を行い、高分解能ARPESを用いてその電子状態の測定を行った。その結果、単層NbSe_2_の価電子帯は、理論計算により得られた単層1T-NbSe_2_とほぼ一致していることから、これまで報告例のない原子層1T-NbSe_2_が作製されたと結論した。講演では、詳細なARPESおよびSTMの実験結果から、単層1T-NbSe_2_における特異物性について報告する。
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草場 哲, 吉川 尚孝, 齊藤 哲輝, 宮田 耕充, 田中 耕一郎
セッションID: 18aB21-9
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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単層遷移金属ダイカルコゲナイドはバンドのバレー構造に関連して励起光と発光の間で偏光状態が保たれることが知られる。本研究では、窒化ホウ素基板上に化学気相成長させた単層MoS_2_に対して偏光分解発光分光を行った。共鳴励起下では、励起子発光に加え、1フォノンおよび多フォノンによる共鳴ラマン散乱が観測された。励起子発光および今回観測された共鳴ラマン散乱はいずれも励起光の偏光状態を保存していることが確認された。発表では発光のダイナミクスに関する議論を行う。
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宮内 雄平, 小鍋 哲, 王 飛久, 長谷川 勇介, 毛利 真一郎, 松田 一成
セッションID: 18aB21-10
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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WSe_2_などの単層VI族遷移金属ダイカルコゲナイドは、空間反転対称性の破れに起因する価電子バンドのバレーとスピンのカップリングにより円偏光によるバレー選択光励起が可能な直接ギャップ半導体として注目を集めている。講演では、単層WSe_2_における励起子バレー分極度、励起子寿命などの温度依存性の実験結果と理論計算との比較から、WSe_2_におけるバレー分極の緩和機構について議論する。
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佐々木 将悟, 小林 佑, 劉 崢, 長谷川 勇介, 末永 和知, 真庭 豊, 宮内 雄平, 宮田 耕充
セッションID: 18aB21-11
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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遷移金属ダイカルコゲナイド原子層の物性制御に向け、不純物準位やキャリア制御など、元素置換による効果の理解は重要な課題である。この課題解決に向け、本研究では単層NbドープWS_2_を合成しその光学特性の解明を進めてきた。試料は自由励起子発光に加え、室温で1.4-1.6 eVに新たな発光ピークが確認され、さらに発光強度が励起光強度の増加に伴い飽和する振る舞いを示した。発表では単層NbドープWS_2_の光学特性の詳細について報告する。
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齊藤 哲輝, 小林 佑, 渡邊 賢司, 谷口 尚, 真庭 豊, 宮田 耕充
セッションID: 18aB21-12
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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遷移金属ダイカルコゲナイドの積層型へテロ構造では、電子とホールが異なる層に存在する層間励起子が形成されると言われている。本研究では、窒化ホウ素(BN)基板上にWS_2_/MoS_2_積層型へテロ構造をCVD合成し、層間励起子由来の発光特性について報告する。BN基板上のヘテロ構造では、既存のシリコン基板上でのヘテロ構造の研究では観察されていない層間励起子由来の発光ピークが確認された。発表では新たな発光ピークの起源を議論する。
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小林 佑, 吉田 昭二, 櫻田 龍司, 高島 健悟, 山本 貴博, 斉藤 哲輝, 小鍋 哲, 谷口 尚, 渡邊 賢司, 真庭 豊, 武内 修 ...
セッションID: 18aB21-13
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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本研究では,MoS_2/WS_2半導体ヘテロ接合の,界面における電子状態の変調について報告する。試料は化学気相成長法で作製し、界面の局所状態密度をSTM/STSを用いて調べた。興味深いことに、界面において伝導帯と価電子帯の両方が高エネルギー側へシフトすることが観測された。観測されたバンド曲がりは、界面での固定電荷の存在を考えた場合にガウスの法則による予測と一致した。本結果は、界面を利用した微細伝導チャネルの実現に向けた基礎になると期待される。
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別役 潔, 小野 新平
セッションID: 18aC21-1
発行日: 2017年
公開日: 2018/04/19
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有機半導体のベンチマーク物質であるルブレンは、非常に高い正孔移動度示すが、その伝導機構については議論が続いている。ルブレン結晶中で分子はvan del Waals (vdW) 力で結合していると考えられ、vdW力に含まれる分散力による補正を考慮して電子状態計算を行う必要がある。本発表では、分散力補正を考慮したDFT-D汎関数およびvdW汎関数を用いて計算した電子状態について報告する。
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