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Online ISSN : 2423-8473
Print ISSN : 1883-3284
9 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 正清 友香, 小倉 敦, 市原 健介, 由良 敬, 嶌田 智
    2016 年 9 巻 2 号 p. 61-76
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
    低塩濃度適応に関与する遺伝子について把握するために,近縁種である汽水産スジアオノリ (Ulva prolifera)と海水産ウスバアオノリ(U. linza)を用いて比較RNA-seq解析をおこなっ た。両種サンプルを,海水,汽水,淡水で培養し,海水に対して汽水または淡水で発現が増減 する遺伝子を選出した結果,海水に対し淡水中で発現が上昇した遺伝子はスジアオノリで42個, ウスバアオノリで139個,発現が減少した遺伝子がスジアオノリで93個,ウスバアオノリで51個 選出された。海水と汽水の比較では,スジアオノリで21個,ウスバアオノリで170個の遺伝子の 発現が上昇し,一方,スジアオノリで93個,ウスバアオノリで92個の遺伝子の発現が減少した。 選出された遺伝子について機能解析をおこなうと,両種で,発現が上昇した遺伝子にはDASSと いうイオントランスポーター,発現が減少した遺伝子には細胞膜,細胞接着に関する遺伝子が 含まれていた。スジアオノリについては,発現が上昇した遺伝子の中に細胞壁関連の加水分解 酵素が含まれ,発現が減少した遺伝子の中には脂質代謝に関係する遺伝子が含まれていた。一 方,ウスバアオノリでは,発現が上昇した遺伝子の中で,ヒートショックプロテインが目立っ た。
  • 川井 唯史, 田園 大樹, 品田 晃良, 黒田 寛, 四ツ倉 典滋
    2016 年 9 巻 2 号 p. 77-86
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
    1993年~2014年に,北海道日本海北部利尻・礼文島において,産業上重用種であるリシリコ ンブSaccharina japonica var. ochotensisとの競合が懸念されるホンダワラ類のヨレモク Sargassum siliquastrumとホッカイモクS. borealeの分布を潜水調査した。当海域における海洋環境は衛星画像と粒子追跡実験により分析した。ヨレモクの分布域は拡大し,利尻島の沓形 地区で2010年以降見られており,礼文島船泊地区では2014年に確認できた。当地区においてヨ レモクの分布が拡大した要因としては,対馬暖流の流路の変化が影響して,本種の繁殖時期で ある8月の水温が上昇したことが原因の一つである可能性がある。またヨレモクとホッカイモ クの垂直分布と生育環境を記録した。
  • 佐々木 秀明, 玉置 久志, 中田 芳幸, 佐藤 健二, 山口 祐司, 竹中 裕行
    2016 年 9 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
    陸生ラン藻イシクラゲ(Nostoc commune)は高濃度の放射性物質を蓄積することが知られて いるが,その蓄積機構は明らかにされていない。本研究では,イシクラゲにおけるストロンチ ウムおよびセシウムの局在性を分析走査型電子顕微鏡によって解析した。イシクラゲは塩化セ シウムあるいは塩化ストロンチウムを添加した化学合成液体培地で培養した。その結果,イシ クラゲは多量のストロンチウムおよびセシウムを吸収したが,数珠状に連なった細胞には収縮 が観察された。また,エネルギー分散型エックス線分析の結果,ストロンチウムおよびセシウ ムは細胞および細胞外基質の両方で検出された。これらの結果から,イシクラゲがストロンチ ウムおよびセシウムを細胞および細胞外基質の両方で吸収・蓄積していることが示唆された。
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