本研究の目的は,統合と発展を並列に捉えて行うこれまでの実践に対し,マッピング式授業過程モデルを用い授業を構成することで,統合という観点で発展的に考察する力を高め,算数の深い学びを創ることである.
この目的の授業を5年生「式と計算」で構想し,サイクリックな授業実践研究を行った.はじめに,三角形の1辺がおはじき4個・3個等と条件を変え,かける数とかけられる数を帰納的に考え,言葉の式が「(1辺の個数-1)×3」で一般化する.次に,発展的にこの式の適用範囲を拡張するために,三角形の式化の経験を活かして統合的・発展的に考えて四角形の式を見つける.さらに,三角形や四角形の式をもとに, 統合の観点から発展的に五角形の場合を考察し,かける数が形の辺の数であることを言葉の式でまとめて一般化した.
この実践を通して,統合の観点から発展的に考察し,算数の深い学びを創る授業づくりは,マッピング式授業過程モデルにより,無理なく対象の水準が高まる授業展開を構想すれば,児童が一旦三角形の場合で構成した式をもとにして,多角形の場合へ,統合の観点から発展的に関連づける深い学びをすることが分かった.
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