日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
選択された号の論文の157件中151~157を表示しています
その他一般
  • 大浦 隆宏, 梶原 将
    セッションID: P-110
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/03/06
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    Fungal glucosylceramides (GluCer) are known to not only play an important role in host-pathogen interactions but also have important biological functions. A prime structural feature distinguishing fungal glucosylceramides from those of plants and animals is a methyl group at the C9-position of the sphingoid base. Recently, sphingolipid C9-methyltransferase genes from several fungi were identified by phylogenetic profiling. However, the functional and physiological roles of fungal-specific GluCer in many fungi has been little known. To investigate the necessity of fungal-specific GluCer for growth and cell differentiation of C. albicans, we have identified a functional sphingolipid C9-methyltransferase gene (SLM) and constructed slm disruptant in this yeast. From the analysis of slm disruptant, this disruption caused to decrease in the elongation of hypha during the induction of hyphal growth. This result suggested that methylation at the C9-position position of sphingoidbase included in GluCer has some relationship with the morphological change of C. albicans.
  • ヴィルトゥダゾ エリック, 大畑 美穂子, 大楠 美佐子, ミクロス イダ, スピツキ マティアス, 竹尾 漢治, 川本 進
    セッションID: P-111
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/03/06
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    Cryptococcus neoformansは、深在性真菌症を引き起こす重要な真菌であり、感染時は特徴的な細胞学的変化を示すことが知られている。我々の研究から、本菌の細胞周期制御は、S. cerevisiaeと異なることが分かった。従って、本菌の細胞周期制御メカニズムを解明することにより、病原性についての考察を深めることができると期待される。これまでに、C.neoformansのCdk1とcyclinホモログのクローニングを行ってきた。更に今回、Cdc25のホモログについても同定した。Cdc25は、多くの生物の核分裂制御において、Cdk1のチロシン残基の脱リン酸化を誘導し、Cdk1とcyclinの複合体を活性化させる機能を有する。CnCdc25の推定アミノ酸配列を一般的なCdc25ホモログと比較解析した結果、ホスファターゼ蛋白質が共有するコンセンサス配列のうち特にチロシンを標的とした基質結合に関与する領域を持つことが明らかとなった。また、他の担子菌類のCdc25ホモログとも高い相同性を示した。そこで、Sz. pombeのcdc25 ts mutantを用いて、CnCdc25の相補実験を行ったところ、CnCdc25はSz.pombeのCdc25の機能欠損を補うことが確認され、ホスファターゼとして機能する可能性が高いことが考えられた。しかし、C.neoformansCnCdc25遺伝子を破壊した際の影響は認められなかった。以上のことから、C. neoformansのCdc25は、Sz.pombeなどとは異なり、生存および核分裂制御に必須ではないことが示唆される。
  • 岩口 伸一, 横山 耕治, 鈴木 孝仁
    セッションID: P-112
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/03/06
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    真菌症の起因菌は、土壌などの自然界に生息しているため、その感染を阻止することは困難であり、感染の早期の検出が最重要である。また、手術室、病室等での真菌の生育は目視により認知しうるが、そのような状態ではもはや大量の胞子を形成しており、その汚染の拡大をくい止めることは非常に困難となる。 カビをはじめとする微生物は、それぞれの種類に特有な揮発性有機化合物(Microbial Volatile Organic Compounds; MVOCs)を分泌することが知られている。二次代謝産物であるMVOCsはカビを目視できない段階から放出されており、早期にカビの発生を検出するための標識となりうる。また、MVOCsには種や属による特異性も知られており、感染症を引き起こす菌種の検出も可能となる。 本研究ではアスペルギルス症の起因菌の1つであるAspergillus fumigatus(A. fumigatus)のKuboyama株(IFM40822)と古墳土壌由来株の発散するMVOScを固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて検出し、A. fumigatusのMVOCsとして、ビラジン化合物とセスキテルペノイドを確認した。MVOCsを微量濃度の段階で検出する方法に基づけば、真菌症診断、病院内での衛生管理等への応用可能性が期待される。(会員外共同研究者:竹内孝江、長谷川美穂、金子幸代/奈良女子大学、木内正人/産総研)
  • 中川 善之
    セッションID: P-113(SIII-03)
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/03/06
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    病原真菌Candida glabrataは、近年増加しつつあるnon-albicans yeast の代表的な菌種として知られるようになってきた。特に臨床で頻用されるfluconazole に低感受性を示すことから、予防投与の網をかいくぐって臨床での分離頻度が上昇する危険性も秘めている。 我々はこれまでC. albicansを用いて酸化ストレス応答、とりわけカタラーゼの挙動を検討してきた。これまでに得ているC. albicansについての過酸化水素耐性と比較するため、C. glabrataを用いて過酸化水素耐性を検討した。その結果、C. albicansでは100 mM 1 時間処理により90% 以上の細胞が死滅し2時間後には完全に死滅するのに対し、C. glabrataでは1時間ではほとんど無処理と変化がなく2時間処理でも90% 前後の細胞が生存していることを見いだした。またC. glabrataカタラーゼ遺伝子破壊株を作成して同様な実験を行ったところ、C. glabrataカタラーゼ遺伝子破壊株はC. albicans破壊株に対して明らかに高い過酸化水素耐性を示した。これらの結果から、C. glabrataC. albicansに比較して高い過酸化水素耐性を持っていること、またその耐性はカタラーゼ活性以外の要因によって付与されている可能性が示唆された。
  • 天内 孝昌, 又賀 泉, 中村 康則, 仲村 健二郎, 久和 彰江, 青木 茂治
    セッションID: P-114(SII-06)
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/03/06
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    【目的】ヒト・カンジダ性骨関節炎は、主にCandida albicans によって発症する。高度医療化等を背景とした易感染性患者の増加に伴い、発症リスクは増大傾向にある。我々は、第50回総会で、実験的カンジダ性骨関節炎ラットをマイクロCTで観察して報告した。今回は、μCTを用いた三次元骨形態解析を試みたので報告する。
    【方法】 C. albicans細胞107個を4.5週齢のSD系雄性ラットの尾静脈内に接種し、経日的な体重変化、疼痛による歩行異常等を骨関節炎発症の指標とした。発症後は、関節の経時的骨形態変化をμCTで観察した。三次元骨形態解析には、中性ホルマリンで固定後、自然乾燥した踵骨を用いた。
    【結果】同一個体で、発症側および非発症側の踵骨を比較した結果、発症側では骨表面が粗ぞうであった。また、皮質骨の厚さが厚くなっていた。次に、海綿骨の三次元形態パラメーターを比較すると、骨密度BV/TV(%),骨梁幅 Tb.Th(μm)と骨梁数 Tb.N (1/mm)は発症側で低く、骨梁間隙Tb.Sp(μm)と骨パターンファクターのTBPfとSMIは発症側で高くなった。これらのパラメーターの変化は、発症骨における骨梁の粗化を示している。故に、μCT法は骨の病態を客観的に評価する上で非常に有用である。
  • 落合 恵理, 亀井 克彦, 佐藤 綾香, 永吉 優, 渡辺 哲, 豊留 孝仁, 渋谷 和俊
    セッションID: P-115
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/03/06
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    我々はこれまでに黒色真菌の一種であるStachybotrys chartarum の胞子を経気管的に反復投与したマウスで肺動脈壁の著しい肥厚が形成され、肺高血圧が惹起されることを確認してきた。今回の研究はS. chartarum 以外にも同様の病変を惹起する真菌があるかどうかを検討することを目的とした。被検菌にはAspergillus fumigatus (Af) を5株、Cladosporium cladosporioides (Cc)、Penicillium citrinum (Pc) を各1株ずつ用い、各菌株の胞子懸濁液をマウスに4週間かけて計6回経気管的に反復投与した。投与菌量は1回あたり1×104spores/mouseとし、CcとPcでは1×105及び1×106spores/mouseの投与も試みた。この結果、1×104spores/mouseのAf投与群の一部の株で肺動脈壁の肥厚が確認された。Ccを大量に投与した場合にも同様の病変が形成された。Pcではこのような病変は形成されなかった。いずれも肺内で胞子は発育しなかった。また、肝、腎、脾に病理組織学的変化は認められなかった。現在、株数を増やして更に検討を進めているところである。
  • 大川原 明子, 山越 智, 橋本 ゆき, 大野 秀明, 新見 昌一, 宮崎 義継
    セッションID: P-116
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/03/06
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】Candida属菌の最外層を構成するN結合型糖鎖は共通のコア構造を有している。コア構造から伸びた末端糖鎖部分のマンナンの結合様式は種によって異なり、この違いが宿主応答に影響を及ぼすことが考えられる。C. albicansマンノース転移酵素の推定遺伝子を破壊して宿主の炎症惹起に関与するマンナン構造を同定する。【方法】C. albicansゲノム情報から46種類のマンノース転移酵素遺伝子を抽出し、C. albicans (Serotype A, ura-,arg-)を用いて未報告の遺伝子を対象に破壊を開始した。各破壊株の増殖速度および菌糸形成能などの性状を調べ、破壊株から精製したmannoprotein (MP)と抗カンジダ多糖因子血清との反応性を検討した。また、単球系培養細胞J774A.1あるいはマウス腹腔マクロファージをMPで刺激し、初期免疫応答の指標として炎症性サイトカインの産生誘導を検討した。【結果・考察】これまで11種類の遺伝子破壊株を作製し、その内1株は寒天培地中での菌糸形成能が親株に比べて顕著に低下した。MPと因子血清との反応性およびマクロファージによるIL-6とTNF-Α産生誘導についてはいずれの破壊株も親株との相違は認められなかった。従って、これらの遺伝子産物はCandida感染の初期応答にかかわっていないことが示唆された。(研究協力者:臺 由紀)
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