人工呼吸
Online ISSN : 2436-3103
Print ISSN : 0910-9927
最新号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
エディトリアルEditorial ―本号のトピックス―
特集「重症呼吸不全終末期へのアプローチ」
総説
  • 中西 信人
    2023 年40 巻2 号 p. 143-149
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/11/27
    ジャーナル フリー

     人工呼吸管理を要する重症患者では、横隔膜、肋間筋、腹斜筋、腹横筋、腹直筋の萎縮を認める。これらの呼吸筋の萎縮は人工呼吸管理、自発呼吸の消失、炎症、不動化、栄養不良、薬剤、虚血などが原因で生じる。呼吸筋の萎縮や機能障害は超音波を用いて評価可能であるものの、超音波検査は術者の技量に影響されるため適切な訓練が必要である。呼吸筋萎縮・機能障害の予防には、人工呼吸管理における自発呼吸の温存、適切な呼吸補助、過度の呼気終末陽圧(PEEP)の回避、リハビリテーション、神経筋電気刺激療法、蛋白質投与などが有効である。しかし、重症患者における呼吸筋萎縮・機能障害は依然として明らかでないことも多く、今後の研究が必要である。

解説
原著
  • 石原 敦司, 吉眞 孝, 森 輝樹, 増田 篤紀, 森下 健太郎, 山本 拓巳, 豊田 泉, 野田 俊之
    2023 年40 巻2 号 p. 157-162
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/09
    ジャーナル フリー

     2021年1月からの半年間にICUに入室した挿管患者93例のうちICU死亡もしくは抜管を行わず気管切開術を行った22例を除外したICU抜管患者71例を対象とし、再挿管の有無による抜管2時間後のP/F比とROX indexの比較および高流量鼻カニュラ(high flow nasal cannula:HFNC)導入・再挿管のCut-off Pointを後方視的に検討した。抜管後にHFNCを導入した患者は14例(19.7%)、再挿管患者は8例(11.3%)であった。初回挿管期間(ICU入室から抜管までの期間)は3.6(1.9~6.3)日、延べ挿管期間(再挿管後も含む挿管の期間)は3.9(1.9~8.9)日、ICU在室日数は5.0(3.0~10.0)日、抜管2時間後のP/F比は307.5(230.0~360.0)、ROX indexは15.3(12.3~17.8)であった。再挿管の有無による抜管2時間後のP/F比は(176.6 vs. 315.0、p<0.05)で、ROX indexは(10.4 vs. 15.4、p<0.01)とROX indexで1%水準の有意差を認めた。再挿管の有無におけるICU在室日数は(24.0日 vs. 5.0日、p<0.05)と再挿管で有意に延長した。ROX indexの再挿管におけるCut-off Pointは10.2、HFNCのCut-off Pointは13.5であった。つまり、ICUに入室した挿管患者の再挿管はICU在室日数延長につながり、抜管2時間後のROX indexはHFNC導入・再挿管の一指標となる可能性がある。

  • 川田 麻菜, 今田 寛人, 小松 千里, 坂本 龍之介
    2023 年40 巻2 号 p. 163-167
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/09
    ジャーナル フリー

    目的:侵襲的陽圧換気(invasive positive pressure ventilation:IPPV)導入時の症例の特徴における人工鼻(heat and moisture exchanger:HME)から加温加湿器(heated humidifier:HH)に変更となる要因を検討する。

    方法:2021年3月1日から2022年10月31日の期間に広島赤十字・原爆病院でIPPVを使用し、導入から離脱までHMEを使用した症例はHME群、HMEからHHへ移行した症例はHH群とした。IPPV導入時の症例の特徴について2群間比較を行い、その後、加温加湿不足関連要因分析を行うため、多重ロジスティック回帰分析を行った。

    結果:対象はHME群119例、HH群36例であった。特徴の比較では全44項目中16項目で有意差が認められた。要因分析の結果、神経系疾患および呼吸器系疾患、P/F比低値、血糖高値の関連が示唆された。

    結語:神経系疾患および呼吸器系疾患、P/F比低値、血糖高値の関連が示唆された。これらの特徴を有する症例ではIPPV導入時からHHの選択を検討する必要がある。

短報
feedback
Top